私はこれまで、アメリカは今なおキリスト教の影響の強い国と考えてきました。たとえば、大統領の演説は常に「Good bless you〔神の祝福を〕」で結ばれ、あるいは、相当数の同教の宗派が、あたかもビジネスであるかのごとく繁盛しているかと受け取ってきているからです。

こうした受け止めが妥当なものかどうか、それはそれで確かめてみる必要はありそうなのですが、アメリカのメディアをテーマとした今回の訳読の限りでは、そうした宗教的“配慮”は、支配のための意図的なものだと述べられています。逆に言えば、アメリカ国民一般は、それほどに「宗教的」ではない――日本のように――ということです。にもかかわらず、アメリカ社会のあちこちに、ことに主要メディアの報道姿勢のなかに、いわば「宗教臭」が意図的に挿入されているという著者の主張です。 詳細記事

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「ちょっと、自分のまわりを見ればいい。なにもかもが後ろ向きで、上下転倒している。医者は健康を破壊し、弁護士は正義を破壊し、大学は知識を破壊し、政府は自由を破壊し、主要メディアは情報を破壊し、そして、宗教は霊魂を破壊している。」

マイケル・エルナー〔米国の医療批判家〕

もし大衆社会を、容易にコントロールでき、一定の傾向をもって考えるよう仕向けることができるなら、それはひとつの資産になりえないか。もし、成人社会の関心を、深刻な問題からそらすことができるのなら、それは大衆コントロールの手段として有用なのではないのか。もし、社会の関心を生の社会問題から現実には重要でない事柄に向けることができるのなら、新世界秩序を構築するための障害にはならないのではないか。権力を握るものたちは、ある事柄が、まして重大で劇的な問題が、主要メディアで報道されないかぎり、大半の人々はそうしたことの存在すら信じないことを知っている。メディアのプロは、社会感情にどう関わるかを熟知しており、人々の欲望を、セックスと暴力とあらゆる形のいざかいや争奪の洪水といったような、低俗なスリルでいかに飽満させておくかに腐心している。巧みな支配者は、片方では、決断に必要な重要な情報を拒みつつ、他方では、人々に彼らの望むものを、ことに頭のジャンクフードを過剰にすら与える。こうしたもろもろは、隠された戦争の沈黙の兵器である。

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