今回に登場する「メディア王」ルパート・マードックは、もとオーストラリア人で米国に帰化した人物です。私は、オーストラリアにあってその「米国市民権獲得」の話を聞いた時、その理由が気になりました。それが今回の訳読を通じ、そのねらいの実相がようやく明瞭となったとの印象があります。つまり、「王国」と称されるメディア支配体制を完成させるには、まさに、米国がその最適地であったわけです。そしてそれでは、なぜ、米国であったのでしょうか。 詳細記事

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企業力のコントロール

テディー・ルーズベルト大統領は、一世紀以上も前にこう述べていた。「これらの国際銀行やロックフェラー・スタンダード石油は、従順な記者クラブ員とさせるか、あるいは、隠れた政府をなす強力な利権集団の誘惑を拒否した政府官職を追放させるかして、新聞や新聞のコラムの大半をコントロールすることに腐心している」。そして彼と議会は、シャーマン・反トラスト法を首尾よく成立させた。この法は、急成長する企業を分割し、金権がらみの影響を制限する打撃を与えるものであった。彼の政府は、また、企業と金持ちに、国を運営する公正な税の分担を強いる累進的所得税制を成立させた。同政府は、労働組合の結成を許す法を通過させ、この国に中産階級を生み、アメリカ民主主義を世界の羨望の的とさせる国の繁栄と安定を可能とした。議会は、他の成果とともに、上院の直接選挙を成立させ、1907年、連邦政府政治家と連邦議員候補への企業献金を禁じる法律を通過させた。

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