世界を覆う秘密主義

〈訳読‐2〉「東西融合〈涅槃〉思想」の将来性 (その5)

 

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何が隠されており、誰が何の目的でそうしており、私たちにとってその意味は何なのか。見えないカーテンの向こうにあるものとは・・・  

 

歴史の緒言

 

「誰の支配であれ、その国の貨幣の量こそ、すべての産業と通商の文句なしの主人である・・・ そして、いったん君が、その全システムが次から次にその頂点に立つ一握りの権力者により簡単に支配されているのを知れば、どのようにインフレやデフレの時期が始まったのか、君はそれを告げられるはずはないだろう。」――1881年、ジェームス・ガーフィールド大統領(この発言の数週間後、彼は暗殺された)

 

「国際銀行家やロックフェラー・スタンダードオイル関係者による支配は、大半の新聞社やその記事から、隠蔽政府を牛耳るその強力な結託集団との談合を拒否した記者クラブメンバーや政府官僚を追放するまでにおよんでいる。」――1922年、セオドル・ルーズベルト大統領

 

「ロックフェラーやその一団の企ては世界単一政府の構築で、それは巨大資本主義も共産主義も一つの屋根の支配の下にするものである・・・ これは陰謀を意味しているか? その通り。私は、広さにおいて世界的に、長さにおいて幾世代にわたり、意図においておそろしく悪魔的に、そうした企てがあると確信している。」――1976年、ラリー・P・マクドナルド下院議員(ソ連によって撃墜された大韓航空747便で死亡)

 

「我々は、地球的変化の淵にある。我々誰もが必要としていることは、主たる危機であり、各国が『世界新秩序』を受け入れることである。」――1994年、デイビッド・ロックフェラー〔1915-〕

 

「もっとも冷酷な嘘は、沈黙することである。」――ロバート・ルイス・スティーブンソン

 

「真実を発見するのは困難ではない。困難は、いちど発見したことから逃げ出さないことである。」――プロメチウス

 

「我々は、羊の国民であり、羊はつねに屠殺される。知識と秘密には巨大な力がある。その秘密を取り去れば、すべてが知らされることとなり、事は変化する。」――ウィリアム・クーパー

 

「もし真実を封じ、それを地下に埋めてしまえば、それはにわかに成長し、そしてその力を集めて、ある日それは爆発してすべてを吹き飛ばしてしまう。」――エミール・ゾラ(19世紀フランスの小説家)

 

「君に不条理を信じさせようとする者は、君を非道に加担させる。」――ヴォルテール

 

「すべての政府は繰り返される問題を抱えている。権力は病的人格を引きつける。それは、権力が腐敗するのではなく、それが腐敗しがちなものを呼び寄せるのである。」――フランク・ハーバート『Dune(砂丘)』

 

「一般国民は何が起っているのかを知らず、知らないことすら知らない。」――ノーム・チョムスキー

 

 

 

ノーモア 隠蔽国家

 

「国家の平和時にはマネーパワーが働き、戦時には陰謀が働く。銀行パワーは君主制よりもっと横暴で、独裁制よりいっそう横柄で、どんな官僚制よりさらに利己的である。それは、その手法に疑問をいだきその犯罪性を採り上げる者を、誰であれ、社会の敵と非難する。」

 

アブラハム・リンカーン大統領

 

もし、私たちが公平で開かれた民主々義社会に暮らしているなら、私たちは、何にも増して「知る自由」を持つに値していよう。にもかかわらず隠蔽が続けられているということは、それは嘘の一形態と言ってよい。ことに、特定の情報を公表しないことが人を傷つける場合、それはおそらく嘘の中でも最悪のものだ。無言は万言を語る。米国や世界における隠蔽行為の蔓延は、生命を脅かされる人々の拡大を意味している。

隠蔽は結局、高価につき、かつ、マイナスの結果をともなう。元上院議員のダニエル・パトリック・モニハンは、1998年出版のまさに正しい書名をもつ自著『隠蔽』にこう述べている。「ここに登場する役者らは、演じている〔芝居の〕一連の定めをほとんど知らないようだ。最も問題なのは、彼らは自分で起こしうる代価を決して知らないようだ」。さらに、UFO問題や懐疑論者によるその否定について彼は述べている。「陰謀論〔訳注〕は、過去二世紀にわたる、まさにアメリカ文化そのものであった。しかし、この数十年間でその様相は変わり、人々はそれを受け入れつつある」。もし、この国の諜報機関や政府高官が事態の変化と彼らのなした行為の結果を充分に認識しなかった場合、アメリカの隠蔽の大きさと深刻さを、国民はどれほど納得できるのであろうか。UFO問題のもみ消しは、さらに大きい隠蔽問題の氷山の一角にすぎない。上記の本は、UFO現象が「陰謀」つまり「絵空事」ではないことを、信頼しうる証拠をあげて立証している。しかしそれが現実の現象あり、かつ腫れ物であるがゆえにだろう、表沙汰になることを避けるために陰謀論を作り出し、したがって、隠蔽への信奉は、この上ないのである。

〔訳注〕 用語「陰謀」については、本書の「著者の使命観」にある「「陰謀論」についてのコメント」を参照。

終局的には、過剰機密化(不必要な機密保持や嘘の公表の拡大)は政府への国民の信用と確信を失墜させる。私たちは誰でも、最近の出来事から判断して、政府高官がだんだん信用しきれなくなっている事例を見出している。最近の世論調査は、アメリカ国民の半分以上が政府が信用できないとこたえている。隠蔽化――(政府高官の主張にもかかわらず)その正当性に欠ける――は、この信頼の失墜に大きく寄与している。また不幸なことに、UFO問題の扱い方に見られるような処置は、人々の信頼の度を減じ、またその度合いは、政府に信頼をおいてきた人たちにおいていっそう顕著である。

 

忌み嫌われる隠蔽体質

1961年4月末、ジョン・F・ケネディー大統領は、全米新聞協会において、主流エリートたちによる隠蔽体質のもたらす危険を指摘する演説を行った。彼は、政府内部に秘密組織が活動しており、強大な力をおよぼしていることを明らかにした。彼はそうした組織を「一丸となった容赦なき陰謀団で、影響範囲を拡大するために明かされない手段を駆使する」と表現した。そしてケネディーはこの演説でこう続けた。

「まさに『秘密』という言葉こそ、自由で開かれた社会でもっとも嫌われべき言葉である。加えて、私たちは歴史的に、秘密の社会、秘密の宣誓、秘密の手続きを根本的に反対してきた。私たちははるか以前、関連事実を過剰かつ不当に隠蔽することを、指摘されるべき極めて重大な危険と定めた。だが今日にあっては、きまぐれな制限を装ったそうした閉塞社会の脅威に反対することにすら、何らの価値もおかれていない。今日にあっては、わが国の存続が、私たちのこうした伝統の維持をぬきにしてなされていても、何らもかえりみられることはない。そして、安全保障強化の必要が宣言されても、そうした懸念が、きわめて限られた公的検閲と隠蔽へとすり替えられることをもって握り潰されるという、きわめて重大な危険を生んでいる。私が許しがたいことは、そうした危険が私の権限をもって執行されることである。したがって、今夜のこの私の言葉を、どの政府高官も、その地位の高い低い、あるいは文官、軍官にかかわらず、報道を検閲し、異論者をなだめ、自らの誤りをもみ消し、あるいは、知らされるべき事実を報道陣や国民社会から隠蔽するための私の口実であると解釈してはならない。」

定義によると、陰謀とは、一団の人々が、秘密裏に、だまし、悪魔的行為を行い、もしくはそれを試みることである。ナポレオンは、歴史は合議された嘘だと述べている。事実、戦争の勝利者は歴史を書き直しはじめる。それは、共謀から排除されていた者を犠牲者にしたてる。そしてその共謀は、それが巧妙になればなるほど、その犠牲者は自分が犠牲になっていることすらわからない。ナチの宣伝大臣ヨーセフ・ゲッベルスはいみじくもこう述べている。「嘘は、十分大きく繰り返しおこなわれるならば、人々は最後にはそれを信じるようになる。嘘は、国家が国民をその嘘のもたらす政治的、経済的、軍事的結果から守ることができる時にのみ許される。つまり、真実は嘘の致命的敵であり、その真実が拡大すれば国家にとっての最大の敵となるがゆえ、嘘は、国家にとって反対者の抑圧に全力をあげる手段として、きわめて重要である」。すなわち、共謀は、本書のエソテリックな言説においては、二重の視点をもって解明される。第一にそれは、真実を抑圧する手段であり、第二に、その抑圧が「国家」によって秘密裏に行われたことは、常に継続されていることである。

大規模な秘密の企てを維持する鍵は、典型的ピラミッド構造で、人々が自らの責務を果たすために必要なだけを知る「相応知」システムにある。そこでは、各ピラミッドの全貌を知っているのは、その頂点にある人物だけである。CIA、銀行、主要企業、軍部、主要メディア、宗教階級組織をはじめ、秘密結社や宇宙・軍事複合体は、すべてこうした方式をもって機能している。

1.1.1 Pyramid-Capitalist

「資本主義のピラミッド」は、今日でも、世界中の人々の上に君臨している。人間の死と悲惨さという意味において、「強欲資本主義」による弊害は限度を超えており、私たちはそれを放棄し、新たな生命尊重の社会システムを作り上げる時がきている。この惑星はもはや、そうした前時代の資本主義を維持できなくなっている。(with permission, (c) Brad Olsen, 2015)

 

公開・民主的情報機関

今日、私たちは「ウィキリークス」という政府のカーテンの向こう側を見せてくれる、内部告発のウェブサイトを持っている。1971年にダニエル・エルスバーグがペンタゴン・ペーパーを暴露した出来事に限らず、国家の隠蔽に対するいっそう有効な挑戦が行われてきている。ペンタゴン・ペーパー事件の今日版とでもいうべく、海軍兵士ブラッドリー・マニングは、2010年5月、部外秘の資料をウィキリークスのウェブサイトに提供したとの容疑で、イラクにおいて逮捕された。

ブラッドリー・マニングは、機密扱いの情報を、イラクでの戦争行為への抗議として、ウィキリークスに漏らし始めた。彼は、「レディー・ガガ」と記されたCDにデータを、おそらく彼が職務として行っていたように音声同期して、ダウンロードした。彼は機密扱いの情報を公表する理由をブログサイトにこう載せている。「仮説的質問: もし君が長い期間、例えば8ないし9ヶ月間、機密ネットワークの無制限使用者であり、そして、信じられない、実に恐ろしい公有情報を見つけ、そしてそれが、ワシントンDCの暗室のサーバーにも記録されていなかったとしたら、君ならどうするだろうか」。ブラッドリー・マニングは、その後の人生を監獄で過ごすことになるだろう。彼は、「敵の援助」という極刑罪で告発されたが、検察官らは死刑は求めていないと表明した。

ウィキリークスは、2006年末、当初、ウィキペディアをモデルとした暴露サイトとして立ち上げられ、内部告発者によって提供された機密あるいは部外秘の資料――何らかの法的問題をもつ――をボランティアたちが記述し、分析するものであった。ウィキリークスの事実上の発行者ジュリアン・アサンジは、コンピュータ・ハッキングの経歴をもつオーストラリア人である。ウィキリークスは、彼が「公開・民主的情報機関」とするものを作り上げようとするアイデアの産物であった。

 

究極の秘密への挑戦

この公開・民主的情報機関を支援する人々は、多くの「暗黒計画」を発見してきた。「暗黒計画」とは、その活動が、「光」で輝くのではなく、腐敗と癒着にまみれたところからそう名付けられた。政府のなかに政府があり、そのまたなかに政府があるという、そうした「暗黒組織」あるいは秘密の政府は、選挙で設立された政府自身の目ですら見ることができない。

ウィキリークスが選ばれた25万通以上の米国の外交機密電文――ブラッドリー・マニングやその他の内部告発者によってその告発ウェブサイトに提供された――を公開して以来、ジュリアン・アサンジは世界中から厳しい監視にさらされている。米国政府高官や世界の他の国の政治家らは、アサンジを反逆者と非難し、公然と彼の暗殺を求める者さえもいる。しかしアサンジ氏は、彼を告発する者たちが窮地に追い込まれるに違いない明白な証拠を握っていると述べている。そうした秘密はやがて公開されるか、あるいは彼が殺される結末となるか、それともアメリカに引き渡されるかのいずれかとなる。ジュリアン・アサンジによると、「“問題電文”の保管文書類には、UFOの資料すら含まれているが、いまだに未公開としておく何らの意味もない」。未公開扱いとされている機密ファイルにある地球外生命についての資料は、米国政府から入手したものである。

UFOに関する公式の米国外交電文を所有しているとのジュリアン・アサンジの主張がゆえ、それへの対応として、FBIとNSAの双方のオンラインサイトは、UFO関連の資料をそのウェブサイトにのせ始めたのであろう。また、これもウィキリークスの発表への対応としてであろうが、英国政府は、当面のどの政府よりも大量のUFOファイルを公表し、2011年6月、新しく8,500ページ以上が、National Archives 〔国家保存文書局〕によって公開された。そしてまた、別の奇妙な対応として、お堅いガーディアン紙がこんな見出しの記事も載せている。「『地球は宇宙人との遭遇に備えよ』と科学者」。

 

暴露はもはや無用

過去60年以上にわたって、UFOをすっぱ抜いて暴露してきた人たちは、2011年4月、NSA〔国家安全保障局〕がUFOに関する多量の機密文書を公開して以来、滅びゆく人種になりつつある。UFO現象全体を告発し続けてきた人々は単に無意味なことをしてきたのであり、集団妄想、湖沼ガス、あるいは地球の航空機〔をUFOとしてきた〕恐ろしく見当外れか、とんでもない大嘘つきであるかのいずれかとなるにいたった。ことに告発してきた人たちにとって大いに痛手となったのは、米ソ両国の科学者によって暗号解読された、1960年代初めにスプートニクが打ち上げられた当時の諜報高官による文書であった。NSAのウェブサイトに掲載されたこの文書は、暴露してきた人たちが、つねに致命的に誤りであったということを示していた。

2011年4月、地球外知的生命探査所(SETI)のアレン・テレスコープ・アレイ(ATA)〔SETIとカリフォルニア大学バークレー校電波天文学研究室が共同で運用する電波干渉望遠鏡〕が暫定的に棚上げとなった。NASAのハッブルやケプラーそして他の外惑星観測望遠鏡が、数百の確認済みあるいはその可能性をもつ他の恒星を回る軌道を探知している時にあって、ATAにとっては、そうした軌道の幾つか、ことに、地球に似た特徴をもっているとされるものを特定するいい機会であったのにである。ただ、居住可能な外惑星の研究は、積極性を欠いているところがあった。さらにもっと奇妙なことは、SETIの電波望遠鏡群による観測が、「予算削減による」とのひとことの通報のみで、突然に停止されたタイミングであった。つまり、SETIがその信号発信を停止すると発表したのは、2011年4月15日であった。この日は、〔上記の〕NSAが人類と地球外生命との接触を確認する文書を公表するわずか1週間前のことであった。UFO研究者にとってこの文書公表は、自分たちの努力がつねに意味をもっていたことのひとまずの公認となるはずであった。だが無念なことに、長くあざ笑われてきたこうした研究者たちにとって、公式の発表が陽の目をみる日は来そうにもなくなってしまった。

アメリカ政府が秘密保持には無能力でありそうだとする〔UFO現象〕告発者の定着した見方とは食い違って、事実はまったくその逆である。1942年8月、「マンハッタン計画」は原子爆弾を開発する任務を負っていた。それは、ルーズベルト政府下、U.S. Army Corps of Engineers の指揮のもとで開始され、その計画にたずさわる12万5千人の間で、たった一件の漏れも発生しなかった。そのマンハッタン計画は、ワシントン州ハンフォード、テネシー州オークリッジのクリントン・エンジニア工場、イリノイ州シカゴ大学の不使用のフットボール場の地下、そして、ロス・アルモス国立研究所――ロバート・オッペンハイマー指揮下、人里離れたニューメキシコ州メサ地区に1943年に設立――という四つもの主要施設を使用していたのにである。つまりそれは、極秘が守られ、かつ、現在もそうである、もっとも部外秘の〔貫徹された〕開発プロジェクトであった。

 

コア・シークレット

「コア・シークレット」とは、米国の諜報界において極めて機密と見なされ、その内容ばかりでなく、その存在自体すら極秘とされることである。NATO内部では、UFO現象は「宇宙極秘」と分類され、水素爆弾計画より上位の機密となっている。そのように、地球外生命の存在は、米国諜報機密の最高レベルのそのまた核心部分である。一部の研究者は、米国は、こうした極秘以上の分類がゆえに、地球外生命〔ET〕の公式の情報公開がされることはないであろうし、実際にもできないであろうと観測している。

アメリカ政府内には、特別接近要綱(SAP)があり、それにはさまざまな段階があって、その筆頭に位置しているのがSAPの認証の合否自体にかかわる部署である。〔先に触れた〕「暗黒計画」は、SAPで非認証とされたものの通称である。SAP非認証〔事項〕はきわめて機密度が高く、それの実在するものがコア・シークレットである。実際、いくつかのSAP非認証は、通常の行政や管理対象項目から「外され」ているほどに機密扱いされている。予算配分委員会や、予算配分にあたる上下院委員会あるいは諜報委員会の議会議員ですら、こうした要綱については何も知ることができない。外されたSAPについては、8人の議会議員と両議長および4防衛委員会の少数幹部のみが所定の要綱が外されたことを通知されるだけである。またそうした外された要綱の場合でも、委員会メンバーはその要綱の内容については何も告げられない。この場合、そうした要綱はあきらかに「真っ暗闇」である。

アポロ14号の6人目の月面歩行宇宙飛行士のエドガー・ミッチェル博士は、政府は「核心議論」を隠密にしていると確信する発言を続けている。ミッチェルは、なぜUFO物体が「コア・シークレット」で、大統領ですらつんぼ桟敷にされ、政府(議会を含む)の誰もがただ「相応知」レベルにあるとみなされていると公言してきた。1971年2月、アラン・B・シェパードとともに月に着地したミッチェルは、明快に語っている。「一握りの内部者が真実を知っており・・・ 発見された〔ETの〕遺体を調査している」。そして彼は、内部の「秘密集団」が、地球外生命問題について、ケネディー大統領以降の歴代の大統領に完全な報告をすることを止めさせた、と付け加えている。

NASA宇宙飛行士ゴードン・クーパーもまた、コア・シークレットへのいらだちをこう表現している。

「私は何年間も、宇宙飛行にたずさわったすべての専門家に課された秘密の中で暮らしてきた。だが、今や私は、アメリカにおいて毎日、我々のレーダー装置が我々の知らない形や構成の物体をとらえている、ということを公表することができる。さらに、何千件もの目撃報告や、これを実証する信頼しうる文書が存在していながら、誰もそれを公表しようとはしていない。それはどうしてなのか。それは、権威当局が、恐怖の侵入者に関し、〔その扱いは〕神の責務である〔彼らの役ではない〕と人々が考えるかもしれない事態を恐れているからである。だから、合言葉はつねに、『何としても、パニックは避けろ』なのである。」

宇宙飛行士ミッチェルは、統合参謀本部の高級海軍将官との対話で、宇宙人との接触という「コア・ストーリー」について調査し、その報告を行うことに賛同をえた。その海軍将官――トーマス・R・ウィルソン海軍少将と判明――は、彼〔ミッチェル〕の推測が「根本的に正しい」との確認をミッチェルに与えた。

有名な『Janes Defence Weekly』よりの一記事を引用して、ミッチェルは、その海軍少将はそのコア・ストーリーが「特別接近要綱」により機密とされていることを知ったらしい、と述べている。Janes誌で報じられているように、そうした「暗黒計画」は、「その存在の事実が、回復不可能な失敗をもたらすおそれのある、事柄、進展、政策、情報そして譲歩と定義されうる『コア・シークレット』であり、機密性が高いとみなされた」時、認知されないままにしておかねばならない。そして宇宙飛行士ミッチェルはこう付け加えている。「同海軍少将が調べたUFO要綱はこの分類に属すだろう。したがって、法により、彼にはそうした要綱が存在することを否定することが求められる。というのは、特別接近要綱のコア・シークレットは、たとえ『ノー・コメント』とするだけでも、安全保障違反となるからである」。したがって、もし、私たちの選んだ政府高官がUFOを問いただせず、最高地位の軍部将官や高く尊敬されるアポロ宇宙飛行士であってさえも同様であるなら、いったい誰がその役を果たせるのであろうか。

 

隠蔽の正当化

「現当局」は、人々に対して機密を行使することを、権限の範囲内であり妥当なことと固く信じている。彼らは、そうした未知あるいはどう信じればよいのか不明なことは不安を引き起こし、またその公開はパニックをもたらすがゆえに、こうした措置は正当化されるとしている。もし、何かが襲ってくるという恐怖から人々が命がけとなったものの、何も起こらなかったとしたら、いったいどうその責任をとるのか。彼らは、1938年のオーソン・ウェルズの〔SF作品〕『宇宙戦争』の放送を採り上げ、その番組が本当の敵対異星人による侵略のように放送したためパニックが発生したことを重視している。

UFOに関することは何でも隠してしまう報道は、第二次大戦時代にまでさかのぼる。報道によれば、ドイツでの特命作戦を終えて帰還中の英国空軍隊員は、英国海岸線上空で、金属製の未確認飛行物体に追跡された。隊員は写真を撮り、その物体は「無音で宙に浮いて」いるようで、その後突然に姿を消したと報告した。その話を聞いて、ウィンストン・チャーチルは、その報告を50年ないしそれ以上、秘密にしておくように命令した。その際、チャーチルはこう述べた。「この出来事は、国民一般の集団パニックを引き起こし、かつ、教会への信奉を失わさせるものであるがゆえに、即刻、部外秘とされなければならない」。

別の見方をすれば、もし、何か本当に悪いこと――たとえば破局的な隕石の衝突――が起ころうとしていたなら、人は本当にそれを知りたいのだろうか。つまり、ただちに襲うだろうその大災難には、何も警告を与えない方がよいのか、それとも、〔警告を与えて〕その衝突までの数カ月あるいは数年間、人々を恐怖のどん底におとしいれるのがよいのか。おそらく、背後で事をあやつる人々は、混乱と恐怖を避けるべきとして、それを世界の政治家たちに秘密にしておくことを正当化するだろう。彼らは指導者たちに、破局が起こる前の集団パニックをどう制御できるのかと尋ねるであろう。政治家たちは、彼らの選挙民が恐怖生活を送ることを望むだろうか。否、彼らは事を秘密にするに違いない。

極めて富裕なエリートたち――「秘密集団」と呼ぼう――は、そうした決定的秘密から、うまい汁を得ようとするのが彼らであろう。「フリー・エネルギー」とか「反重力技術」とかといった秘密の多くは、人類にとっては偉大な利益となるものである。だが不幸にして、そうした秘密集団は、大多数の人々を、信じられないほどに見下している。彼らは一般大衆を「無用の穀つぶし」と見なす。また、世界の人口の90パーセントまでもを削減するといった悪魔のような優生学将来計画すら存在する。彼らは、多すぎる人々、ことにあまりに多くの劣等な褐色人種が生きていると信じており、「ジョージア・ガイドストーン」〔訳注〕にその見解を公然と宣言している。混乱と破壊と大量殺人を引き起こすそうした計画は、あらゆる犠牲を払ってでも、公共の場からは排除する必要がある。もし、あなたが研究者で、そうした秘密集団を暴く立場にあるならば、あなたの命は大きな危険にさらされている。彼らは、多くの人をティシュペーパーを使い切るように、暗殺している。私たちは、極めて危険で、容赦なく、支配癖の強い反社会的人物にかかわっている。だからこそ、かれらは完ぺきな隠蔽を必要とするのであり、だからゆえに、多くのアメリカ人が、公開の必要を求めているのは疑いない。

〔訳注〕 米国ジョージア州に1980年3月に建立された石碑。その6枚の石板のうちの4枚の石板には「10のガイドライン」〔その日本語訳は以下〕が8つの現代語で刻まれている。

  1. 大自然と永遠に共存し、人類は5億人以下を維持する
  2. 健康性と多様性の向上で、再生産を知性のうちに導く
  3. 新しい生きた言葉で人類を団結させる
  4. 熱情・信仰・伝統・そして万物を、沈着なる理性で統制する
  5. 公正な法律と正義の法廷で、人々と国家を保護する
  6. 外部との紛争は世界法廷が解決するよう、総ての国家を内部から規定する
  7. 狭量な法律や無駄な役人を廃す
  8. 社会的義務で個人的権利の平衡をとる
  9. 無限の調和を求める真・美・愛を賛える
  10. 地球の癌にならない – 自然の為の余地を残すこと  

〔ウィキペディアから抜粋〕

 

超高額実財産

ひとつの集団の人々が富を失っている時に、他の人々は、富の資産構成に預け入れを増やしている。いくつものコミュニティー全体が担保差し押さえの衝撃をくらっている時に、富は、利益に拘泥するしぶとい投資家へと、上層へと向かって移動している。金持ちは、その数が示すように、いっそう金持ちとなっている。2008年金融危機に続く市場復活の後、100万ドル〔1.2億円〕以上の投資可能資産をもつ個人の数は、8.3パーセント増加して1090万人になった。世界の億万長者の富は、2007年の40.7兆ドル〔4960兆円〕から、2010年の42.7兆ドル〔5200兆円〕へと増加した。もっとも多くを語っているのは、「超高額実財産保有者」(通常の百万ドル〔1.2億円〕長者に代わって、3千万ドル〔36億円〕の投資可能資産所有者として定義)の世界総数が、通常百万ドル長者より早い速度で、10パーセント増加していることである。アメリカ人のもっとも裕福な1パーセントは、低い方から90パーセントを合計した資産以上を所有している。世界的にはそれほどまでではないが、もっとも裕福な2パーセントの成年者が、現在、世界の半分以上の富を所有している。景気後退や不況が意図的に作り出されている時代の中で、そうしたいわゆる1パーセント層は記録的利益を稼ぎ出している。わずかな部分の個人への富の極端な集中は、そうしたシステムが賭博でないならば、経済的崩壊を前にした異常現象の始まりに違いない。世界大恐慌をもたらした1929年の崩壊の前、エリート銀行家らは、株式市場から自分たちの金をいったん引き上げていた。そして崩壊の後、彼らはその金を用いて暴落した株とつぶれた小銀行を二束三文で買い上げた。

富の蓄積後の次の段階で行われることは、権力の掌握である。連邦準備銀行を設立した人々は、もっぱら支配の保持、拡大を目的とする排外的組織を作り始めた。2006年、ジョージ・W・ブッシュ大統領は、その就任中に、北パラグァイの98,842エーカー〔400㎞2〕の農地――公然の秘密の米軍基地により防護――を買い込んだ。パラグァイのマリスカル・エスチガリビア空軍基地施設とブッシュ大牧場は、ともに世界最大規模の真水帯水層の上に位置している。ブッシュは、アメリカ経済あるいは世界経済の崩壊を予見しているのか、それとも、逮捕召喚状から逃れる必要があるかもしれないからなのか、あるいは、家族が逃亡計画に用いるように考えているのか。それとも、彼らはそこに滞在する余裕があり、できる限り長くシステムをだまし続け、そしてもし問題が発生したなら、救済のために、適当な人たちを説得するつもりなのか。そうしたシステムはもはや国民のためにあるのではない。もしそうであるなら、「大きすぎてつぶせない」ようなことが、どうしておこるのであろうか。アメリカ人の大多数は、2008年の銀行救済に反対していた。バーモント選出の上院議員バーニー・サンダースによると、「米国の上位6つの金融機関は、国内総生産の60パーセント以上に相当する資産を所有しており、膨大な経済的、政治的力を保有している」としている。サンダースは勇敢にも、彼の同僚議員のほぼ誰もが支持しなかった疑問を表している。「この時代のもっとも重大な問題は、アメリカ国民が、議会を通じて、ウォール・ストリートの強欲で、冷血で、違法な行為をコントロールできるか、それとも、ウォール・ストリートが我々の経済と勤労家族の生活を荒廃し続けるかどうかである」。

1.1.2 J.D. Rockefeller

この写真のジョン・D・ロックフェラー〔1839-1937〕の有名な発言。「私は考える人の国はいらない。労働者の国が必要だ」。全米教育協会の創設者としてのこの発言は、利益の対立を考えなかったものではない。(with permission, (c) Brad Olsen, 2015)

ロックフェラー秘密集団の極めて強固な影響力は、ケネディー大統領が「忌み嫌われる隠蔽体質」演説で警告したように、アメリカの国益にとって巨大な脅威となっている。外交関係評議会〔Council of Foreign Relations〕、日米欧三極委員会〔Trilateral Commission〕ビルダーバーグ・グループ〔Bilderbergers〕が、そうした秘密勢力の例である。すべてではないにしても、多くの有力政治家は、政府要職候補となる前には、まずこうした組織の承認をえる必要がある。そうした手続きの中で、自分の政治活動を展開するために膨大な資金に頼らなければならない政治家は、そうして決定的に取り込まれるようになる。国際的レベルでも、各中央銀行は、さらなるお金を作るために、融資した国の資源を搾取したり、時にはその過程で倒産させたりしながら、世界銀行やIMF〔国際通貨基金〕を使う。それらの銀行は、密かに戦争をそそのかせる。というのは、そのためには政府は彼らからの借金が必要で、その利子を払わねばならないからである。それは悪循環であり、そうした超金持ちたちは最終的な采配をふるい、常に、世界の頂点に位置しているのである。

 

その世界を占拠せよ

2011年9月半ばに始まったウォール・ストリートを占拠する運動の爆発的な成長は、米国の他の都市にも拡大し、さらに数週間のうちに世界中に広がり、世界の人々の深まる気づきと不満の強さを実証した。銀行カルテルは、さまざまな名前の下にあっても、その既得権を変える意志はない。またその力の下で、何らの変化もしてこなかった。彼らは、無から金を作り出すことに満足で、金のないところから利子を徴収し、そうして、人々を政治家と同様に支配する。〔彼らの手中で〕預金は十分には保存されておらず、その元金のすべてが払い戻されることはない。お金のシステムは、それが作られた時から、人を抑圧し支配するためのものである。占拠運動を行う「99パーセント」は、企業化された銀行行為に怒りを表し、広範な観衆の心を打った。彼らの要求は、民間銀行の閉鎖に終わらず、貸出しを抑える力や、民間銀行から利子を払って借り入れをしている政府にもおよんでいる。ウォール・ストリート占拠運動や世界の占拠運動に団結する指導者なき同意運動のように、「99パーセントの人々」は単純明快な要求を組織し掲げている。私たちはもはや1パーセントが権力を駆使することには耐えられず、〔銀行から〕自分たちの最善かつそれのみへの利益に供することへの確約をえようとしている。

いかにして私たちは、いまや我々自身がその下にあることを知るに至った精神的抑圧と、彼らが課す違法な「真実の禁制」を破ることが可能であろうか。人々は何が真実で何が虚偽かをその嘘があばかれる寸前まで、言われた通りに信ずるよう訓練されてきた。しかし、私たちは本当にそうなのか。彼らはほんの少数であり、私たちは多数である。もし私たちが分裂したままでいたなら、彼らが勝利する。もし私たちすべて――たとえ世界人口の10パーセントであっても――が共に気づいたならば、彼らはもう、その力の偽った掌握を続けることはできない。もし私たちが恐怖にとらわれ、永遠の仲たがいに陥ったなら、彼らが勝利する。

 

あらゆる汚い手口を駆使する人々

支配者たちは、社会の舞台で戦争の糸口がどのように開始されるのかを知っいる。もし彼らが背後に隠れて大衆の意見をうまく操作できるなら、彼らはそれ以上に影響力を駆使する必要はないだろう。大規模な侵略は、とどろきわたる硝煙と最先端の武器をもって起こされるわけではない。そうしたとどろきわたる侵略がおこるのは、まだ未開発な社会においてである。だが、〔現代社会における〕大規模侵略は、秘密裏におこされる。5世紀中国の哲学と戦略の名著『孫子の兵法』はこう述べている。「あらゆる戦法は敵をいかにあざむくかによっている。百戦百勝は、戦いにはよらない。戦わずして敵をあざむくことが、戦法の極意である」。

世論を形成する最新の手法は、いまや、サイバー空間へと移っている。最近浮上した「インターネット水軍」は、あたかも傭兵のように行動する個人のグループで、インターネット上にコメントやゴシップを流し、あるいは、記事、情報、ウエブサイト、そして公人の評判を形成したり、またはその信用を破壊する。こうした雇われた記者らは、普通の人のふりをしてブログにコメントを載せ、フォーラムで議論し、製品やサービスの消費者ランキングを狂わせ、真実を曲げるための逆の意見の論陣を張る。

中国が、そうしたインターネット水軍の出どころとの見解もある。中国が陰険な流行を始めた可能性はあるが、悪用者のリストは膨大である。India Daily紙は、中国はインターネットに、内容の水増しを行ったり、サイバー攻撃を行ったりする記事の洪水をおこす唯一のグループではない、と明瞭に論じる記事を掲載した。だましや中傷は、自由参加をむねとするWorld Wide Web においての、それがどこから参加していようと、茶飯事である。カナダのヴィクトリア大学の二人の科学者は、中国の偽物解説者の「傭兵部隊」の問題を調査した。彼らは、そうした偽物解説者が誰かを85パーセント発見できるソフトウエアを開発した。そうした水軍兵たちの大半は、中国やインドという開発途上国の住人であるが、そうした彼らの雇い主のほぼすべては、西半球の出身者である。そうした企業や労働組合、あるいは、政党ですら政敵攻撃キャンペーンのために彼らを雇っている。いまやかつてなく、真実を見分けること、ことに、資金豊富な工作者に対抗して行動することは困難になっている。

 

【本章終了】

 

参考文献

“Bloomberg Briefing: Numbers of the Day, More Millionaires” San Francisco
 
Chronicle, Business Report, June 23, 2011
 
http://www.truthdig.com/chris_hedges
 
A Disturbing Tale: Why we may never see government UFO disclosure
 
http://www.starpod.org/news/100910.htm

 

 

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Future Esoteric: The Unseen Realms by  Brad Olsen

http://cccpublishing.com/FutureEsoteric  www.bradolsen.com

with permission, (c) Brad Olsen, 2015


 
 
 
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