市民権獲得にテスト導入か
オーストラリアの市民権 (Citizonship) の獲得には、現在までは、一定期間の居住(最低2年)と口頭による試問は義務付けられているものの、筆記試験は行われず、永住権から市民権への移行は、基本的に本人の意思によると見られ、一種の儀式程度に考えられています。そうしたこれまでの方式を改め、そこに英語による試験を導入し、オーストラリア国民としての資質あるものかどうかをテストすべきではないかと、政府はその改定案を提示し、本年11月16日まで、公開の意見集約が行われています。

政府が、こうした市民権授与の敷居を高くしようとしている背景には、異質文化、ことに、イスラム系の文化への警戒感が高まっていることがあるようです。たとえば、政府の提案書によれば、市民権獲得者は オーストラリア国民としての共通の価値観をもっているべきであるとし、市民権は一般的権利でなく、授与される特権とし、その条件に、自由、個人の尊厳、民主主義の支持、法の遵守、男女平等、公平と相互尊重とそれらの必要を理解する精神、をあげています。そして、ある大臣は、イスラム文化は女性を卑下する文化で、オーストラリア的ではないとも語っています。

こうした政府の動きに、英語によるふるいわけ強化は、かっての「白豪主義」にもどるものではないか、との反発もあり、広いふところを示していたオーストラリアの変転が垣間見られます。


(2006.10.1)
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