キャラバンという日常生活
オージーの退職後の過ごし方のひとつに、「キャラバン生活」というのがあります。

「キャラバン」というのは、トレーラー式やら、バン型の車など、移動式の「家」を引き連れて、さまざまな場所を訪れることです。いわば「家ごと長期旅行」ですが、それが数ヶ月にもなって、それが日常となった生活が「キャラバン生活」です。

オーストラリアでは、年末年始や、学校が休暇中の「オンシーズン」が過ぎると、各観光地は、こうしたキャラバンをするご年配(といっても、結構若い人たちも混じっていますが)が目に付くようになります。

キャラバンカーには、小型バンを改造したものから、箱型の家をトレーラーとして引っ張るもの、そして、大型バスがそっくりと家になっているものまでと、それはバラエティーに富んでいます。

 
          【さまざまなタイプのキャラバン・カーがならぶ (カカドゥー国立公園にて)】

そうしたキャラバンカーに、自分たちの趣味に応じ、自転車をはじめ、カヌーや小型ボートまでをつけて、訪れる目的地でのあらゆる楽しみ方に対応しています。

そうした人生の過ごし方が、どれだけオージーの生活に定着しているかは、例えば、五年毎の国勢調査の際、調査用紙の居住場所の項目に、「キャラバンパーク」という選択があることでも判ります。

また、まだ実現はしていないようですが、州によっては、そうしたキャラバン生活者にそれなりの税金を課そうとの案も検討されているといいますから、その数が相当にのぼっていることが想像できます。

つまり、家を売り払って、キャラバンカーを買い、そこを「住居」に、そうとう長い期間、生活しているわけで、ぜんぜん、仮の住居ではないわけです。

人生という「旅」を、まさしく旅そのものにしてしまうキャラバン。

リタイアメント生活の選択のひとつです。

(2004.2.24)

                                           暮らし・社会 もくじへ
                                                HPへ戻る