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<連載> 　ダブル・フィクションとしての天皇　（第７２回）


リーダーシップ

　今回から、第２１章に入り、そのタイトルは 「鎮圧」 です。
　その題名のごとく、叛乱は失敗し、いよいよ、その鎮圧に入り出したプロセスが描かれています。
　今回の訳読で注目されるのは、こうして未曾有の規模の陸軍内の叛乱が発生して、日本社会は大混乱に陥るのですが、そこで、驚異的なリーダーシップを発揮するのが、裕仁天皇です。
　皇室はおろか、陸軍上層部、政府閣僚も、そうした叛乱軍との妥協しか考えられないのですが、その中で、ただ彼が一人、その叛乱軍に一歩も譲らぬ強硬姿勢を示し、形勢を建て直してゆきます。
　その強靭さは、さすがの君主として受け止めさせられるところですが、それが、前回までに書いてきたように、 “やらせ” のクーデタであったとしたら、その筋書きも、その狙いも知っている張本人であるわけですから、その決定的場面で、驚異的采配をふるうというのも、当然になければならない話です。
　まあ、こう言ってしまうと、身も蓋もない話となりますが、読者はどう判断されますか。

　では、第２１章 「鎮圧」 の前半へとご案内いたします。

　（２０１２年７月１８日）


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