「旅の達人」竹内テリー必読旅行講座
                     

第三回 快適なシーズンを選ぶ
 
快適な旅行を楽しむためには、最適のシーズンに、お目当ての地を訪れることからはじまります。

オーストラリアは広大な国なので、ひとつの国の中に、いくつかの季節が同時に存在します。日本のように四季がはっきりと区別できる国ではありませんが、目的地の気候を把握しておくことは、日程を決めるうえでの第一要素になります。
 
まずなによりも、オーストラリアは南半球にあるので、日本とは季節が正反対になることを覚えておいて下さい。もちろん、頭ではわかっていても、体がそれについてゆけないので、その備えが重要なのです。

厳冬の日本から真夏のオーストラリアに来るときなど、温度差の激しい場合には特に注意が必要です。

オーストラリアの気候をひとことでご案内することは困難ですので、私の体験談もふくめて、以下、紹介させて頂きます。

            

南北の違い

では、まずこの大陸を南北に見てゆきましょう。

南回帰線より北側(ノーザン・テリトリーのほぼ全域、クイーンズランド州,と西オーストラリア州の北半分)では、一年中、夏の気候と言っても過言ではありません。そして夏は雨期。雨が多く湿度が高く、道路事情も悪くなりますので、乾期にあたる冬に旅されことをお勧めしめす。

ことにダーウィン周辺やキンバリー方面では、雨期になると、洪水で道路が寸断されるところが増えます。せっかく訪れようとしても、雨で台無しになるどころか、目的地にすら行けなくなることがしばしばあります。また自分でドライブされるかたは、特に道路情報に注意を払う必要があります。
 
沿岸地方でも

東西に目をうつすと、南回帰線より南に位置する、大陸の東西端の沿岸地方(ニュー・サウス・ウェールズ州,と西オーストラリア州の南半分)では、比較的温暖な気候です。この地域では、真冬と言っても、真夏の北海道、釧路周辺とあまりかわりません。ただ、雨や風が強いときはさすがに寒さを感じます。それでもお日さまが顔を見せれば、コートなしでも過ごせます。また当地域の夏も、日本のような蒸し暑さを感じることは少なく、木陰ではほんとに心地よく過ごせます。

南氷洋に面したビクトリア州、南オーストラリア州、タスマニア州では、一日のなかに四季があると言われるほど、気候や温度の変化が激しく安定していませんので、すべてに対応できるよう準備が必要です。夏だからと気を許すと、寒いほどの日もあります。それでいてその翌日が、今度は猛暑と言うこともありますので、決して油断しないようにして下さい。

暑いだけでない砂漠気候

オーストラリアは、大陸の三分の二近くが砂漠で覆われています。そうした砂漠、つまり内陸に行けば行くほど、日本では経験できないほど寒暖の差が激しくなります。

私が初めて体験したときのお話をしましょう。まだワーキングホリデーできていた20年前に遡ります。当時はJALが週一便しか運航していませんでした。

ハレー彗星をご存知でしょうか?74年に一度、地球に近づく彗星です。そのハレー彗星が現れた年のことです。南半球の方がよく見えるということもあり、JALをチャーターして、当時としては珍しい、日本人の団体が押しかけることになりました。それも、シドニーから4時間ほど西にあるバサースト(Batherst)と言う田舎町に行きました。日本人を見るのは初めてという人もいました。

3月中旬ということもあり、私も軽い服装で出かけました。内陸部にあるので、天候に恵まれれば日中の気温は30度近くまで上がります。それに日差しが強いので本当に暑く、日本の9月頃の気候でした。昼間は観光、そして夜、いよいよ目的の星の観測となるわけです。

夕方、日が西に沈み始める頃から、だんだんと涼しくなります。特に周りが牧場地帯で遮るものがないせいか、風がビュウビュウ吹いてきます。星を見るため遠路はるばるやって来た人ばかりなので、夜明けまで夜通しの観察をする人もいます。もちろんガイドしてそれにお付き合いをするわけで、あけの明星が顔をだすころには、体がカチカチになり、凍死一歩手前でした。朝方の最低気温はたったの3度だったのです。はく息もまっ白くなっていましたよ。
 
一般に、天気予報では最高気温しか報じませんが、ガイドブックなどで最低気温も調べておきましょう。さもないと、内陸部を旅行する場合、ひどい目にあうということにもなりかねません。 

快適な旅行シーズンは

自分の好きなシーズンに旅行するのが、快適な旅を楽しむ秘訣です。

私は蒸し暑いのと、寒いのが苦手なので、気候が穏やかなシーズンを選んで旅行します。そのためには、行きたい場所の、月別平均温度をチェックします。ただし、温度差の激しい内陸部に行く場合、平均最低温度と最高温度の両方をチェックしておくことも忘れてはいけません。

たとえば、エアーズロックは冬(6月〜8月に)行かれる方が多いと思います。そして日の出前に登山を始めるわけですが、これが寒いときには5度以下になります。それが日中は30度にもなることも多いので、変化に備えた服装を用意していないと大変なことになります。繰り返しますが、温度差に注意しましょう。
 
              エアーズ・ロック
                 【写真提供はオーストラリア政府観光局】

オーストラリアは、日本のように梅雨の時期はありませんが、南回帰線より北側では、夏の雨期と、冬の乾期に分かれます。オーストラリアでは台風の心配は殆どありませんが、雨期にはかなりの雨がふりますので、グレートバリアリーフなど北クイーンズランド方面へ行く人は注意しましょう。夏は気温が40度以上になることもあります。この地域では、冬が快適な旅行シーズンと言えます。

南の海岸線に面している地帯は、夏の気温の変化が激しいです。大陸内部からの熱風で40度を越える猛暑になると思えば、風向きが変わって南氷洋からの南風が吹くと、まるで冬のような気温まで下がります。タスマニアや山間部(ニュー・サウス・ウェールズとビクトリアとの州境)では、夏でもシドニーの冬と同じような気候が見られます。

ガイドブックを調べたり、インターネットのサイトを利用して、目的地の気候や気温などを把握しておきましょう。但しこうした情報は平均値で、実際とは大きく食い違うことが多いので、もしもにもそなえ、準備万端を心がけておきましょう。

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