オーストラリアは財政黒字国

オーストラリア連邦政府の2002/2003年度財政は、予想を上回って75億ドル(約6,000億円)の黒字決算となりそうです(オーストラリアの年度は7月に始まり6月に終わる)。予算収入の48.9%(今年度)が借金で、国民一人あたり600万円にも近づく膨大な累積財政赤字をかかえる日本とは対照的です。

こうした黒字増大は、主に好景気による法人税の増収と、失業率の低下に伴う失業手当などの歳出減によるものです。別記事にもあるように、過去11年の順調な経済成長がその背景にあります。むろん政府は、こうした結果を出した自分たちの政治手腕に自信満々です。

そこで、こうした良好な財政事情を背景に、自信を深めた政府は一時、その健全性と政治手腕をアピールするため、今後政府債の発行を行わない宣言をしようとしたほどです。あとで懸命にも取り止められましたが。

こうした黒字が今後どのように活用されるのかが気になるところです。

来年に予想されている総選挙を前に、政治家は与野党ともにこの条件を支持者の拡大に利用しようとしています。つまり、大型な所得税減税がおこなわれる公算が高くなっています。

また政府は11月なかば、懸案のメディケアと呼ばれる政府管掌の健康保険制度の見直しに、この財政事情を生かした改正案を提示し、選挙対策に乗り出しています。まあ、一言でいえば、買票合戦です。

米国をはじめヨーロッパ諸国でも財政赤字の拡大が問題となっているなか、オーストラリアの良好状況は、とりわけ目立つ存在となっています。

(2003.11.21)

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