過熱気味オーストラリア経済、沈静化へ
OECD諸国のなかでトップの成長率を示し、「過熱化」が心配されてきたオーストラリア経済は、三月初めの0.25パーセントの公定歩合の引上げや原油価格の上昇などにより、その成長に抑制がかかりはじめてきました。エコノミストの間では、危なっかしいオーバーヒートから冷静な状況への変化だと、そうしたスローダウンを歓迎する声が広く聞かれます。
            
「Calming Down、冷静化」と題された上のグラフは、2002年以降の、住宅購入、個人消費、事業資金として、それぞれのセクターへの貸し出し高の年間伸び率の変化を示したものです。

これによると、住宅購入と個人消費への貸し出しは、2004年の初めをピークに顕著な減少をしめし、他方、事業への貸し出しは、2002年初以降、順調な成長を示しています。三セクターは、今年中にも、十パーセント前半のほぼ同じ程度の伸び率に収束しそうで、その後は、住宅を含む消費をビジネスが上回り、豪州経済のエンジン役の交代が生じそうな状況です。

住宅需要の減退やエネルギーコストの上昇が、経済へのマイナス要因として懸念材料にはなっていますが、上記三要素の成長レベルは、それでも高い値を示しており、悪化状況とは見られていません。

こうした情勢から、5月初めに予定されている連邦銀行の幹部会議で、再度の公定歩合の引上げは見送られ、現行の5.5パーセントが維持されるであろうとの観測が主流となっています。

(2005.4.29)

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