旱魃への対策、複雑に
危機的な雨不足にみまわれ、国民生活にも深刻な打撃を与えはじめている旱魃問題に、オーストラリア連邦政府は、少なくとも25億ドル(2,350億円)を費やし、全国的な対策にのりだすと発表しました。

この政策には、合計15億ドルの補助金を農家に提供し、灌漑水路を改修して、漏水や蒸発による水の損失を防ぐことが計画されています。

また、これとは別に、政府はすでに、20億ドルの全国水資源基金を設置することを発表しており、野党労働党の批判をかわし、この9月にも予定されている総選挙にのぞもうとしています。

しかし、同じ旱魃問題といっても、各州によって、その深刻度にも差があり、その対策も一様ではありません。
たとえば、上水道用水の確保については、NSW州や西オーストラリア州では、脱塩による海水の淡水化を主政策としているのに対し、クイーンズランド州では、州政府が州南東部の人口急増地帯向けに新たなダムを建設する計画が住民投票で否決されたのを受け、水のリサイクルを主政策としています。

従来、水問題は各州政府が管轄する問題とされてきましたが、旱魃の規模は全国に渡り、そうした個別な対応では、根本的な解決が難しくなっています。

そこで連邦政府は、上記のような諸政策と巨額の出資を発表し、連邦政府の主導する旱魃対策に乗り出そうとしています。

現在、州政府はすべて労働党による政府となっており、自由・国民連合による連邦政府と対立する関係にあります。

そうした政治的なねじれも含め、農業生産が4割も減少するという危機的な旱魃問題のゆくえが懸念されています。

(2007.1.31)

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