BMA炭鉱スト、深刻化
クイーンズランド州東中部で操業しているBHPビリトン・三菱アライアンス(BMA)共同企業体で、労使紛争が長期化しており、同企業体の業績ばかりでなく、関連企業にも大きな影響を与えはじめています。

BMA共同企業体は、BHPビリトン者と三菱商事が半々の所有権を持ち、同州東中部のボーエン盆地に7つの鉱山(うち5つは露天掘り)を持ち、製鉄用コーキングコールの世界最大級の鉱山で、同種の石炭の世界市場のおよそ30パーセントを産出しています。

この労使紛争は、昨年5月に切れた企業別協約の更新をめぐるもので、同協約の労働組合側は、建設・森林・鉱山・エネルギー労働組合(CFMEU),製造業労働組合(MWU),電気工労働組合(ETU)の三組合が当事者となっており、合わせて3500名の労働者を組織しています。

以来、それぞれの鉱山を拠点として繰り広げられているストライキは、もう10ヶ月目に入り、AFR紙の報道では、この間でおよそ20億米ドルの収入減をもたらしています。石炭輸送を受け持つQAナショナル鉄道は、洪水の影響も加わって、年間売上高の下降を予想しています。

BMAの労使紛争が解決の糸口をみつけにくいのは、同鉱山の規模や地位がゆえ、労使対立の象徴的核心部となっているばかりでなく、双方の主張も経営や労組の権利といった原則点におよんでいるからです。さらには、オーストラリアの労使関係制度は、政権が交代するたびに、その制度の枠組みが、労働組合側寄りか経営者側寄りかと振れるのが常で、一主要企業の労使紛争が二大政党間の政策論争の代理論争とも見なされかねない性格も持っています。(「ハワード政権、屈辱の敗退」 参照)

労働党政府は、現行法見直しのための3名の独立委員からなる検討委員会を設立し、現在、各産業団体からの意見を取りまとめ中です。その最終報告は5月末に出される予定です。

 資料出所: 3 April 2012, Australian Financial Review.

 (2012.4.3)
 

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