オーストラリアで中国ブームに乗る

躍進著しい中国経済。この勢いに"便乗"したいものの、環境汚染ものすごく、また、悪化する反日感情も気がかりな中国々内に住むのは敬遠したいとお考えの方に、こんなアイデアはいかがですか。

このサイトでもお伝えしてきていますように(ブーム続く西オーストラリア経済 雇用ブームにわく 求む、エンジニア 参照)、オーストラリアの地下資源産業は、いまや、中国経済のめざましい発展のおかげで、空前のブームとなっています。

昨日(3月8日)も、オーストラリア地元資本の鉱山企業、WMCリゾース社が、英豪系多国籍企業、BHPビリトン社によって、92億豪ドル(約7600億円)で買収される合意が成立したニュースが世界に伝えられました。

この買収の背景にも中国の存在があります。中国では、そうした経済発展を支える電力供給をいかに確保するかが課題となっていますが、その打開方法のひとつが原子力発電です。そうした動向に呼応して、低迷してきたウラニウム価格が急騰し、ひところの3倍を超えています(ポンド当り7米ドルから23米ドルへ)。そうしたウラニウムの将来性をみて、世界一のウラニウム鉱山をもつこのWMCリゾース社の買収がなされたものです。

中国の影響を物語る別の例では、先月、日本の鉄鋼メーカーが、オーストラリアの鉄鉱石生産会社と、実に71.5パーセントもの鉄鉱石価格の値上げを認めて合意に達しました。これにより、日本の鉄鋼メーカーは年間2000億円以上のコスト高をしいられることとなりました(他にも製鉄用石炭の倍以上の値上りもあり、総コスト負担増は年1兆円超と報道されています)。こうした前例のない値上げ合意が成立したのも、その背景に、中国の巨大な需要による売り手市場相場があるからです。

こうしてオーストラリアは、中国の発展に、鉄を提供するばかりでなく、そのエネルギーも提供しようというわけです。

つまり、「中国ブーム」により、今後、それだけの経済効果をオーストラリアにもたらしてゆくわけです。もちろん、その全部がオーストラリアに落とされるわけではありませんが(ブランチ・エコノミー 参照)。

今、オーストラリアは、こうした鉱物資源の輸出のための輸送・港湾インフラの能力不足や、鉱山関係の技師や機械オペレーターの不足で、その需要をこなし切れない問題に遭遇しており、それがボトルネックとなり、せっかくの成長機会をのがすものと、政界でも議論の的となっています。

つまり、こうしたブームに関連する仕事は、オーストラリアへの移住を目指す人にとって、その手段としておおいに役立ちそうです。

ひと昔までは、こうした鉱山(ことに鉄鉱石鉱山は西オーストラリア州に集中)で働く人々は、人里離れた荒野にひらかれた鉱山町の社宅に一家ごと移り住んだものでした。しかし、今では、そうした条件では人が集まらず(家族がそうしたへんぴな所への移転をきらう)、そのため、家族はパースに住み、お父さんが会社のチャーターする専用機で、現場へ単身赴任(例えば5週間働いて2週間休みといったローテーションで)するというのが一般的となっています。サラリーは、職種、経験で変わりますが、技師(大卒)で、年7万から15万豪ドル(約580万から1250万円)程度でしょうか。

こうしたブームがいつまで続くかは、誰も正確には予想できませんが、中国経済が順調に推移している限りは、地理的にもっとも近い資源国(他はインドやブラジル)として、オーストラリアの地の利も持続されるでしょう。

資源産業の専門家が見るところでは、こうした資源価格の世界的ブーム現象は、歴史上かって二度(19世紀末と二次大戦後)あったもので、その三度目を今、我々が目撃しているとのことです。言わずもがな、この二度目のブームは、戦後の日本経済の発展が起因となったものです。それぞれ、約30年間続く規模のものだそうです。

団塊世代までの人たちは、この日本発のブームに乗れました。しかし、いまやその震源は、巨大隣国に移っています。

汚染とはまったく縁のないクリーンな都市、パース、あるいは他のオーストラリア都市に住んで、中国ブームに乗る、そんな生き方へのヒントです。

(2005.3.9)

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