4年間に5億円の投資で永住ビザ、それは是か否か

オーストラリアに Significant Investment Visa (SIV)いうビザ制度があります。これは、昨年の11月に導入されたもので、オーストラリア国内に、4年間のうちに5百万ドル(約5億3千万円)以上の投資を行った者に、永住ビザを与えるというものです。

一方、カナダでは、俗に「Milionaire Visa」と呼ばれた同じようなビザ制度が、今年の2月に廃止されました。その主たる理由は、主に中国よりの投資の増大により、中国人に人気の高いバンクーバーのような都市での住宅市場にそれが集中し、価格を高騰させたばかりでなく、地区によっては、居住者のいないアパートが25パーセントにも達するという町の「ゾンビ化」が問題となったからだ、と報じられています。

8月14日にオーストラリア連邦政府より公表されたデータによると、すでに343件のSIVが承認され、602件が手続き中ということです。

オーストラリアのSIV申請者は、英語能力は問われず、4年間に合計して160日間滞在していれば、4年後に、永住ビザの申請が可能となるものです。

先月の本サイトの記事のように、今年6月末現在、オーストラリアの住宅価格の上昇は、全国平均で10パーセントをこえ、ことにシドニーでは、15パーセントをこえる高騰を見せています。

シドニーでは、住宅価格の高さから、市場に供給されるのは比較的価格の低いアパートが主体で、しかも、その供給地域は、足の便のよい市の中心ないしその周辺部に集中する傾向があります。

また、4月22日の記事のように、市の中心街に開発中の高層アパートの第一次の売出しが、短時間のうちにそのほとんどが売れてしまう盛況もみせています。

こうした住宅価格の高騰に、SIVによる流入投資が影響しているのは明らかと報じる8月16日付のオーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー紙は、SIVが、はたしてオーストラリア経済の健全な発展をもたらすのか、カナダに生じたような歪んだ結果を残す恐れがあるとの疑問を呈しています。

 

Bookmark the permalink.