ダンスを習う
ジョエ・ヴェルギース (Joe Verghese) 教授とその同僚は、2003年、権威ある New England Journal of Medicine
に、ある研究についての報告を掲載しました。その研究は、469人の精神的健康を5年間にわたって追跡調査したもので、ことに、認知症の危険に関連する因子になるかどうか、9種の身体的活動との取り組みを調べました37。認知症の危険を下げることに効果のあったのは、どの活動であったでしょうか。それは、ダンスです。
学生時代からの熱心なサルサダンサーとして、私は、ダンスがそのために多くをなしていると、実際に思います。では、前記の三つの要素から、それを分析してみましょう。明らかに、ダンス教室に参加し、相手のあるダンスを練習することは、社会的経験であり、それに明確な点が付きます。同じように、それはきわめて身体的で、誰でも、一晩参加してみれば、それは確認できます。これで、二つ目の点が加わります。
しかし、認知要素についてはどうでしょうか。もしあなたが一度もダンス教室に行ったことがなければ、それが精神的にどれほど大変なことかは想像できないでしょう。第一に、自分の身体をいかに動かし、協調させてゆくかを習い、今まで試したことのなかった動きを幾度もやり遂げなければなりません。次に、最初は、クラスの時間中に再現するため、短期記憶に入れておかねばならない複雑に連続した動きがあり、そしてそれは、次のクラスの時間の際、再び練習しなおさなければならぬことにならぬよう、長期記憶にしておかなくてはなりません。そしてやがて、長期記憶からそうした連続的動きを努力し意図的に引き出すことは、自動的運動記憶がつかさどる、努力のいらぬ動きへと変化します。そして、ビートやリズムを受け取るや、パートナーの動きや意図が予想される、などへと至ります。やさしそうに見えますが、時に、大変に難しいのです。このように、ダンスを習うことは、強い認知要素を伴い、したがって、この余暇活動は、三要素を適切に満たすこと以上を意味しているのです。ところで、それは極めて面白く、よくビギナーがはまり込むこととなり、さらには、あなたは美しい人たちとダンスすることともなるのです。これ以上の説明は必要ですかな。