秘密家族(その2)

〈訳読‐2b〉現代の「東西融合〈涅槃〉思想」(その30)

 

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秘密家族(その2)

 

 

J・P・モーガンという癌

J・P・モーガン〔1837-1913〕は、20世紀が始まるころ、ロスチャイルド家の客引き役だった。彼は主に、通貨切り下げや株式市場の崩壊といった危機の際、その調整を巧みに助けて、そこから利益を得た歴史を持っていた。1893年と1907年の二度の銀行パニックの際には、経済的安定の幻想工作を妨げる一方で、自社のために富を統合していった。J・P・モーガンはまた、彼の一味がタイタニック号上に爆弾を仕掛けたのではないかと嫌疑された。というのは、彼は、その処女航海に乗船し、連邦準備銀行の設立についてアメリカ最強の批判者と話し合うはずだったが、直前に乗船をキャンセルしたからだった。その有力な批評家は〔タイタニック号が沈没した〕1912年4月15日をもって沈黙することとなり、さらに翌年には連邦準備銀行が設立された。J・P・モーガンはまた、大恐慌から非常に恩恵を受けた。1929年に「暗黒の木曜日」が襲った時、彼は値下がりした株式を「経済を浮揚させる」ために買い上げた。こうして、人々が極度の辛苦に耐えている間に、J・P・モーガンは著しい財政的利益を得て歩み去ったのであった。

米国議会記録によると、1917年、J・P・モーガンの企業が、米国の12人の上級ニュース・マネージャーを雇ったことが示されている。彼は、「米国の毎日の報道政策を広く支配するため」、手に入れるべき報道機関の数を知りたがっていた。そうしたニュース屋は、そのためには25の大手新聞を支配することで十分であるとした。「ひとつの合意が作られ、各新聞の政策は買収され、すべての報じられた情報がその新方針に沿ったものとするために、編集長が各紙に配置された」。かくして25の最も影響力の強い新聞が所有され支配され、編集制作を左右することが可能となった。さらに議会記録は、「一人の編集長が各紙に配置され、適切に監視し、完成度、軍国主義、金融政策、そして国内および国際的特性についての質問――買収者の利害に重要であるかどうか――に関し、情報に手を加えた。この政策はまた、得られる利益の期待に反するすべてのものの抑制も含まれる」と記している。いったん「編集会議」がJ・P・モーガンの任命者によって支配されると、彼は他の新聞にも影響をおよぼすことができた。外交評議会(CFR)の創設最初の会長は、ジョン・W・デイビスだったたが、彼は、億万長者であったばかりでなく、J・P・モーガンの個人弁護士でもあり、彼は秘密の政策決定会議を設立した。

外交評議会は、「アメリカの世界理解を高める」という自らの使命を宣言している。だが、この極めて閉鎖的クラブの実際の目的は、内部関係者自身による疑念によっても表明された。1960年代初め、ジョージタウン大学の研究者、キャロル・キグリー教授は、CFRの秘密文書と他の機密文書を調べることを許可された。そして彼はその本当の使命が「金融支配の世界システムを民間で作り出すこと」であることを発見した。さらに「〔それにより〕各国の政治体制と世界経済をまるごと支配することが可能となる。世界の中央銀行によって封建主義的な形で支配され、頻繁な私的会合や会議で合意した秘密協定によって協調して行動する。このシステムの頂点は、スイスのバーゼルにある国際決済銀行――それ自体が民間企業である世界の中央銀行が所有し支配している〔頂上〕民間銀行――である」。こうした目的は、現在のウォール街の企業の目的と驚くほど類似している。そうした目的に従えば、これらの権力は実際に意図的に共和国としての米国の財政的破壊を追求し、その一方で、かれらが計画中の近い将来のファシスト中央政府と銀行のために、巨額の金を社会から盗むことである。

私たちは、1963年に同じファシスト勢力がJ・F・ケネディー大統領を暗殺しクーデターを起こしたことを認識しておかなければならない。そこで彼らは、「グラッシー・ノル〔草の生えた丘〕」の第二の銃保持者の報告など、暗殺の決定的な詳細を隠す一方、彼らの第二次大戦中のナチとのつながりや叛逆計画を隠蔽し続けることが緊急の必要となった。こうした判断は、ケネディー大統領がアレン・ダレスをCIA長官から解任した時、急務となった。ダレスはナチへの主要な協力者であり、ことにそうしたナチ・コネクションを隠蔽するためにCIA長官に就いていた。ケネディー大統領による彼の解任は、ロックフェラー、ハリマン、ダレスが暴露されることを避けるため、緊急の暗殺を促した。また外交評議会は、1930年代から第二次大戦開始までの間、ナチの資金調達に重要な役割を果たした。そのため、ケネディー大統領の暗殺調査を統括し、彼らの関係がおおやけとなるのを阻止しなければならなかった。また、ケネディ政権時代にCIAが初めて作った言葉である「妥当な否認〔Plausible deniability〕」とは、CIAによる違法またはうとまれる活動が一般社会に知られた場合に、その反響を収めるために、上級職員からの情報を保留することを表すために使用された言葉である。ならば、〔その情報の保留で〕証拠を欠かせれば、その否認を妥当にし、それが信頼できるものとなるとでも言うのであろうか。「妥当な否認」は、今日でもCIAで使用されている手口であろう。だが、CIAが外交評議会の執行機関であることは周知のことである。この証拠は、ウォール街や外交評議会が、第二次大戦中にナチに資金提供したばかりでなく、事実上それを成立させ、かつ、戦後の「ナチ・インターナショナル」が今日も影で活動を続けていることを支援していることを示している。

21世紀においても、外交評議会はグローバル支配を追求し続け、世界の金融と政府システムの静かで完全なコントロールを求めている。同評議会メンバーには、アメリカの大富豪、政府、学術機関、非課税財団の高官そして大手メディア首脳らである。彼らは、マスメディアの大規模な統合を主導し、自身の使命に有利なメディア合併を監督、承認している。同評議会の約4,000人のメンバーが実際の「政府の背後の政府」である。それは、単に米国の外交政策を分析し解釈するだけでなく、その「提言」に基づき、政策を作成する手段でもある。1971年、ジョン・ラリック元下院議員は、外交評議会は「体制」であると指摘した。それは、上部から圧力をかけて政府の最高水準の基幹的な意思決定の地位に力と影響を及ぼし、かつそれは、個人や団体を用いたり宣言を出させて下部より圧力をおよぼして、米国を主権ある憲法共和国から世界単一独裁政権の恒久的な加盟国に変える上での決定を正当化している。

今日、モーガンの遺産はJPモーガン・チェイスとシティー・グループで生きている。これらの2つの強豪銀行は、2008年の金融危機に大きな責任を負っていると疑われている。彼らは自らの破壊的行動を十分に認識していたが、それを止めるために何もしなかった。最終的には、これらの銀行は納税者の負債によって救済され、競争相手が倒産し、人々が家、仕事、および退職資金を失っている間に、巨額の利益を得た。これは偶然ではなく、歴史を通じて起こってきた、もくろまれた権力と金の横領である。これと 同じ戦略がいまも続いている。上院議員のディック・ダービンの2009年のコメントを借用しよう。「国会議事堂では、(銀行)は依然として最も強力なロビーである。そして彼らは、率直に言って、その場を所有さえしている」。

 

ロックフェラー策謀集団

産業革命は、大衆社会のために機械化された大量生産を開発したが、産業の親玉に莫大な富を与えるというふらちな結果をもたらした。アメリカの最初の億万長者は、スタンダードオイルの創始者、ジョン・D・ロックフェラーである。彼は石油産業に革命を起こしたとして知られ、鉄道産業をつうじ輸送ネットワークを水平に統合し、競争相手を買収し、そして、石油産業を完全に支配した。彼の有名な言葉は「競争は罪悪」である。1913年、最高裁判所は、彼のトラストは違法な独占行為にもとずいており、34の新会社に分割されるべきであるとの判決を下した。Pennzoilを除き、すべての大石油会社は「分割」され、次のような新しい名前の下に今日に至っている。Continental OilはConocoPhillipsの一部となり、インディアナ州のStandardはAmoco――現在はBPの一部――になり、カリフォルニア州のStandard Oil はChevronになり、ニュージャージー州のStandard Oil はEssoとなった後ExxonMobilとなった。ニューヨーク州のStandardはMobilになり、現在はExxonMobilの一部である。オハイオ州のStandard はSohioになり、現在はBPの一部となり、 ExxonMobilは現在、BP、Chevron、ExxonMobil、ConocoPhillipsというロックフェラーから直接に分割した6社の 「スーパーメジャー」のうちの4社とともに、世界で最も収益性の高い企業である。ロックフェラーのStandard Oil のパートナーの一人はエドワード・ハークネスであり、その家族は Chemical Bankを支配した。保険事業では、ロックフェラーはMetropolitan Life、 Equitable Life、Prudential そしてNew York Lifeを支配している。ロックフェラーの諸銀行は、米国の50の大手商業銀行の全資産の25パーセント、50の大手保険会社の全資産の30パーセントを支配している。ロックフェラーの支配下にある会社は、ExxonMobil、Chevron、Texaco、BP Amoco、Marathon Oilなどの大石油会社だけでなく、Freeport McMoran、Quaker Oats、ASARCO、United、Delta、Northwest、ITT、International Harvester、Xerox, Boeing, Westinghouse, Hewlett-Packard, Honeywell, International Paper, Pfizer, Motorola, Monsanto, Union Carbide and General Foods などが含まれる。

米国の5つの石油会社は、2011年第1四半期に370億ドル以上の利益を上げた。シェブロンは世界の4大石油会社のうちの1つである。また、これらの石油会社はロビー活動を行い、税控除を受けている。シェブロンはすべての政党にとって最も重要な政治献金主であり、ホワイトハウスの戦略計画を、同社の利益を満たすように従わせているか、それとも、その逆も考えうる。シェブロンがなぜ、イラクの油田地帯を支配する前に、イラク侵攻を後押しする研究に資金援助していたのか、そこには、それなりの理由があったのだった。

ジョン・D・ロックフェラーは、インフレを考慮しても、よく歴史上に存在した最大の金持ちとみなされる。間違いなく、ロックフェラー氏と彼の子孫は、石油産業の収益性に途切れることのない既得権を持ちつづけるだろう。彼らの家族の遺産は、彼らが富を非常に巧みに管理することである。その産物が、ロックフェラー石油会社が地球上で最も高収益の企業であることだ。これらの企業は、巨大な権力、政治的影響力を発揮し、必要に応じて自らの常備軍を招集することさえ可能である。彼らは驚くほど収益性をもち、その多くは、小さな国のGDPに匹敵するか、それを上回る場合すらある。

ジョン・D・ロックフェラーは億万長者中の億万長者で、今日のビル・ゲイツですら釣り合わないほどの金持ちである。彼は自分が望むものを得る方法を知っており、どんな政府もその代理の役には立てなかった。ジョン・D・ロックフェラーはそれをあたかも自分の石油ように、精製を除く、あらゆることをペンシルベニア州議会におこなった。同議会は事実上彼の企業に所有されているのも同然で、〔上記の石油〕産業革命時には、その議員を選別さえしていた。同州議会議員はすでに100年以上前より、企業により所有されてきている。彼らはその超富裕者に魅されることを第一に置く。ロックフェラーの驚異的な石油の利益は、最終的には、米連邦準備銀行理事会――紙幣を印刷する“打ち出の小槌”をもつ――の利権を通じ、彼を実質的に米国政府を買う立場に立つことを許してさえいる。

金力による支配は、石油や政府だけでなく、事実上、社会のほぼすべての分野におよぶ。その家族の富の多くは、ロックフェラー財団のような「慈善団体」の組織を通して注がれている。ロックフェラー財団の貢献と資金提供は、表面的にはいいことに見えるが、それのもたらす支配は膨大となる。例えば、20世紀初めの頃、ロックフェラー家によって創設された医療モデルは、今日もなお存在している。ジョン・D・ロックフェラーは、1900年代初め、健康の研究と開発の基礎を築いた医療研究所を設立した。その後、1913年に、ロックフェラー財団は医療部門の最大の資金提供源のひとつとなった。彼らは、薬理学に重点を置き、資金提供に有益と考えられられる科学者や医師を精選した。この薬剤重視治療のパラダイムは大学に持ち込まれ、そうした大学の多くは今だに資金が提供されているか、ロックフェラー財団によって創始されものである。このようにして、薬剤に基づく治療は、アメリカでは規範となっている。

ジョン・D・ロックフェラーの末息子のデビッド・ロックフェラーは、2002年出版の「回想録」に、秘密グループに家族が関与していることを認めているものの、その「ワン・ワールド」構想の疑惑のほこさきを、巧みにこうかわしている。曰く、「一世紀以上、政治世界のいずれの両端のイデオロギー過激派も、ロックフェラー家を攻撃するため、よく知られている事件をとらえては、米国の政治・経済制度を私たちが牛耳り、著しい影響をおよぼしてきたと主張してきた。 ・・・その中には、私の家族と私を「無国籍者」と決めつけ、米国の国益に反する策謀集団の一味とし、より統合された世界的な政治・経済構造――もしお望みなら「ワン・ワールド」と呼ぼう――を構築するために、世界中の輩と共謀している、と考えて者もいる。もしそれが罪悪と言うならば、私は罪人であり、罪を犯していることを誇りに思う。」

 

ビルダーバーグ会議

ビルダーバーグ・グループまたはビルダーバーグ会議は、毎年開催されるおよそ130名の招待者のみの会議で、そのほとんどはビジネス、メディア、政治の分野で影響力のある人たちである。 ビルダーバーグ・グループは、一方ではロスチャイルドとロックフェラー王朝のメンバー、他方ではオランダのベルンハルト王子のメンバーによる構想である。これらの北米と欧州のエリートの年次会合は、1954年9月に始まり、最初の会議が開催された、オランダのアーネムに近いビルダーバーグホテルにちなんでいる。このエリートグループは、世界中――通常はヨーロッパ――の高級ホテルやリゾートで毎年引き続き会合し、そして4年に1度、アメリカかカナダで、重要な国政選挙に合わせて開催されている。その本部は南オランダのライデンに置かれている。

ビルダーバーグの共同設立者であるオランダ王室のベルンハルト王子は、ロイヤル・ダッチ・シェルの主要株主であるだけでなく、ヨーロッパの貴族界を代表している。彼はまた、ナチス親衛隊の幹部であり、非常に強力で有名なドイツ化学カルテルI・G・ファーベンの上級管理職であった。第二次世界大戦後10年も経たないうちに、彼が代表していたナチスの財政と企業の権益――大量の現金が溢れていた――は、ロンダリングされるだけでなく、アメリカとイギリスの財務省の諜報員――その非合法な戦利品を押収して戦後のナチ・インターナショナルの秘密活動を封鎖しようとしていた――の目の届かない安全な場所に置かれた。しかし、そのような莫大な金をロンダリングでき、それを銀行に預け入れることから利益を得ようとしていた人たちもまた、自分の口座の入金記載を大幅に拡大することができた。そうした人々とは、ニューヨークとロンドンの国際銀行家であった。こうした本質的に企業ファシズムと呼ばれるべき政治的・経済的哲学を持ち、同じ世界的支配の政治的目的を持つ2つのグループが、秘密裏に会合し、共通の動きを作り出しているのは、自然なことであるとも言えよう。

そこでだが、まず、ビルダーバーグ会議は秘密社会ではないことを理解することが必要である。彼らを、邪悪な、全部を見る〔オカルトな〕目、あるいはユダヤ・フリーメーソンの陰謀として考えるのは間違いである。多くの人がこの会合をそう見るかもしれないが、それは陰謀ではなく、パワーブローカーたちの秘技である。これらの人々は自らを、世界を動かす決定を下す権力ブローカーと見ている。彼らがそれをしなくても、他の誰かがそうする。批判者は、ビルダーバーグ・グループは、民主主義を犠牲にして、多国籍企業の利益を代表する見解を持つ政治家の仕事を促進していると言う。グループの秘密の会議とその強力な結びつきは、グループが新しい世界秩序を作り出すための陰謀の一部であると考える人々のための恰好の材料となっている。加えて彼らは世界で最も強力な金融機関であり、したがって最も金融的利益を左右するものであるため、彼らは、自由、プライバシー、民主主義的表現による人類の啓発された利害に対する巨大な敵と見なされやすい。

その論証とされるのは、ヨーロッパにはかつて、国民国家があり、独自の憲法をもち、国旗を持ち、そして、自分の通貨――今日ではユーロという主通貨に従属――をもっていた。米ドルはまた、世界中で、特に石油ドルの役割において、非常に大きな重要性を担っていた。金と人を支配することは、その国民を支配するだけでなく、「民主的に選出された」政治家――選挙運動への献金によって常に拘束されうる――をも支配することである。

だが、ビルダーバーグの組織は時代とともに変化し、新しい部品を吸収して創造し、腐った部品を取り換えるという点で、ダイナミックで居続けている。メンバーの出入りはあるものの、システム自体は変更されていない。これは自己永続的なシステムであり、金融、政治、経済、および産業の利益を連結し、事実上、ウェブとして働いている。

毎年のビルダーバーグ会議には、誰が参加しているのだろうか。その参加者には、中央銀行家、防衛専門家、マスコミ報道界首脳、政府閣僚、首相、王室、国際金融機関、そしてヨーロッパや北米を主とする政治指導者らが見られる。また、西欧の主要金融機関や外交戦略担当者の中には、ビルダーバーグの会議に出席する者がいる。ドナルド・ラムズフェルドは活発なビルダーバーグの参加者であり、アイルランドのピーター・サザーランド(元欧州委員会委員長、ゴールドマン・サックスと英国石油の会長の)も同様である。ラムズフェルドとサザーランドは、2000年にスウェーデン/スイスのエンジニアリング会社ABBで共同して役員であった。元米副大統領であり前世界銀行首脳のポール・ウォルフォウィッツも参加者である。旧NATO同盟の加盟者、50〜60人のトップの多国籍企業CEO、アメリカの上・下院議員、ヨーロッパの元政治家や西欧の王室の多くも参加者である。現職の各大統領や首相、カナダと欧州の長官、そして、IMF、世界銀行、欧州中央銀行を支配する大手銀行家も出席者である。世界最大のメディア企業の代表も出席するのだが、驚くことに、この会議について報道したことがない。

主要なグローバル決定のいくつかは、ビルダーバーグ会議で行われる。ビルダーバーグ・グループは石油などの商品価格を調整することができる。ロシアと中国はグループについて知っているが、それに参加しないので敵とみなされている。最も驚くべきビルダーバーグ会議の働きは、米国の選挙された政治家やその他の世界中のトップ政治家の掌握である。最も著名な政治家――高い政治的野心を持つ――は同会議に出席し、自らへの賛同を競い合い、自分のビルダーバーグへの重要な参画を誇示し、自国への重要な反映を支配しようとしている。

少数の銀行家が世界経済の大部分を支配しているという考えは、ニューヨークのウォール街占領運動や他の地域の抗議者へのニュースのように思える。だが、 43,000社の多国籍企業間の関係を分析すると、比較的少数の企業グループが特定されており、主に世界経済を不均衡にコントロールしている。この研究はチューリッヒのスイス連邦工科大学の複雑システム理論家の三人によって行われた。 この研究は、そのような権力のネットワークを経験的に特定するためのイデオロギーを超えて最初に行われたもの。(with permission, (c) Brad Olsen, 2018)

 

 

私的エリートと政府高官との会合は違法

ビルダーバーグ会議へのアメリカ人出席者はへ、彼らが「公式」ビジネスのために秘密に会うたびに、ローガン法に違反している。同法は、アメリカの連邦法で、権限のない市民が外国政府との交渉を禁じている。この法律の文言は広範であり、権限なしに対外関係を行うために米国市民が試みるいかなる試みにもおよんでいる。それは1799年に制定され、1994年に改正された法律で、次のように明確に定めている。「どの米国国民も、どこにあろうとも、米国の権限を持たずに、米国との紛争または論争に関連し、あるいは、米国の手段を敗北させるために、直接的または間接的に、外国政府またはその職員またはその代理人と、いかなる通信あるいは接触を開始あるいは実施し、外国政府またはその役員または代理人の措置または行動に影響を与えることを意図した者は、本法の下に罰金を科されるか、または3年以下の禁固刑を言い渡される」。このローガン法違反は重罪であるが、この法の下でのいかなる判決の記録も、あるいは一つの起訴もない。

毎年7月、政府関係者を含む選別されたグループによる、同様の非公開会合が、北カリフォルニアで開催される。ボヘミアン・グローブは、カリフォルニア州モンテリオの2,700エーカーの民間所有の複合施設で、レッドウッドの巨木の森に囲まれている。一年に一度、そこで奇異な集まりが催され、米国の多くの政治家やビジネス関係者を含む、世界の最も強力な人々が出席する。参加者は、富豪政治的策略と神秘的な無宗教儀式の沸き立った混合の中に、自分自身を投入する。この最も奇妙なボヘミアン・グローブの式典は、「ケアの火葬」と呼ばれ、フクロウ――ボヘミアンクラブのマスコットとロゴ――の大きな像の前で行われる。その夜、出席者はすべてフード付きの衣服を着用し、式典には火の演出と「犠牲」の再規定――出席は「犠牲者」に同情したり気を配ったりしてはならない――で満たされている。ボヘミアン・グローブでは、ローガン法に明確に違反して、重要な政治的・商取引が議論され、締結されている。政府高官が、透明性と国民の同意抜きに、大企業、軍事請負業者、NGO、外国政府代表のCEOと会うことは、非倫理的である。

「ケアの火葬」は、毎年、カリフォルニア州モンテ・リオ近くのボヘミアン・グローブで脚本、制作、上演される劇場作品である。この演劇は、クラブ会員のために世俗的な関心を追放する話として、毎年のキャンプ行事の最初の夜に演じられる。それは、レッドウッドの古木の森の中の小さな人工湖畔の大きなフクロウの像の前で上演される。(with permission, (c) Brad Olsen, 2018)

 

連邦準備銀行は何ら「連邦的」ではない

アメリカに対する最大の脅威は、テロリストたちではない。実際は、この章で概説してきたように、その最大の脅威は、秘密家族によって構築された帝国と、それが握る世界の資産である。それでもそれを疑う人には、連邦準備銀行の首脳たちの発言を引用してみたい。元連邦準備銀行〔理事会〕議長のアラン・グリーンスパンによると、「連邦準備銀行は独立機関である。私たちが取る行動を覆すことができる政府機関は他にない」。また、ある記者から連銀議長と大統領の間にあるべき適切な関係は何かと質問された時、グリーンスパン連銀議長は、「その関係は、率直に言って、重要でない」と述べた。あるいは、1973年、ヘンリー・キッシンジャーは、外交評議会に代わってこう述べた。「食糧供給を支配する者は人々を支配する。エネルギーを支配する者はあらゆる大陸を支配できる。お金を支配する者は世界を支配することがででる。・・・権力は究極の媚薬である」。ベン・バーナンキ前連銀議長は、ジョン・ダンカン下院議員による喚問質問に答えてこう述べた。「私の立法に関する懸念は、もしGAO〔米国会計検査院〕が計画の運用面や詳細だけでなく、私たちの政策決定についての判断について監査していることであり、それは事実上、議会による政策の乗っ取りであり、そのような連銀制度の否認は、金融システムの安定性や米ドルひいては我が国の経済状況に極めて破壊的であることである」。このバーナンキの声明は、まるで、選挙された代表者は連銀への監査から手を引け、さもなくば経済の崩壊であるとでも言わんとする、直接の脅かしである。同議長は明らかに、憲法上議会に認められた金融政策権限を取り戻そうとする試みを「乗っ取り」と見なし、「拒絶」され防衛的となった連銀は破壊的に反応するだろう、と言っているかのようである。バーナンキがたとえた金融テロという言い方は、議会における宣誓のもとの証言においてであり、明らかに、連銀による議会権限の蔑視である。連邦準備銀行は、もはや「フェデックス」〔連銀への揶揄〕どころか、「連邦」とは縁もゆかりもないものである。こじつけにもほどがある。

 

アメリカにかつて存在したことのない最も不正な一機関は連邦準備銀行であり、1913年に詐欺によって米国の中央銀行になり、同じ年に所得税も制度化された。その後1920年、独立財務省法は、「適法」――法的有効性――の項を停止した。米国政府の財務省と憲法第1条第8項は、「議会は、貨幣を鋳造(製造)し、その価値を規制する」と規定している。議会は財務省を民間企業である連邦準備銀行とその工作者に譲った。連邦準備銀行の所有の大部分――アメリカ国民には厳しく秘密が維持され――は、この銀行の関係者によって保有されており、米国財務省によって保有されているものは何もない。(with permission, (c) Brad Olsen, 2018)

 

耐えがたい事実を再度要約すると、米国政府は、「連邦」という名を冠した民間企業から、その紙幣に「合衆国」と印刷した金を借り、納税者による金をもってその連邦準備銀行に金利を支払っている。この一団はその「連邦準備銀行券」を印刷し、それを米国財務省に貸し出している。アメリカの納税者は、連邦準備銀行の銀行家に、彼らの金を使う権利の見返りに、その金利を払っている。その債権を通じた支配によって、連銀は政治家を支配する。私たちが大統領を見る際には、彼の後ろにもう一つの力があることを理解しておく必要がある。要するに、米国政府は選挙された政治家によって運営されているのではない。 政府はもはや国民を代表しているわけではなく、私企業に貢献している。実際に、政治家は「選挙」されたのではなく、まず、支配エリートに対する忠誠の度に応じて選ばれ、そして、選挙戦のための資金が提供されるのである。

アメリカ建国の父たちは、民間所有に乗っ取られた貨幣システムの潜在的な脅威を認識していたことを忘れてはならない。トーマス・ジェファーソン〔第3代大統領〕は、「私は、貨幣発行の権利を持つ銀行制度は、常備軍よりさらに、自由に対する脅威であると心底から信じている」と述べた。当然、建国の父たちは、米国憲法にこうした乗っ取りを防ぐための条項を加えた。その条項は議会が保有する貨幣についての憲法上の力をこう規定している。「議会は、貨幣を鋳造し、その価値および外国の硬貨を規制し、そして、重量と測定の基準をを制定する権限を有する」と明言している。だが、その逆のことが起こった。国際および中央銀行システムが、そのまさに中核となり、常に増加する借金の利息の重荷をもって、富を少数者の手に集中させ、残りの人たちを隷属させるよう仕組んできている。

 

全地球支配

最後に、最も憂慮すべき動向は、金融策謀集団が現金と一国の通貨をしだいに廃止し、電子通貨のみを使用して、ワン・ワールドの中央銀行を創設することである。しかし、もし米国が米ドルをあきらめた場合、それは私たちの国家主権に大打撃を与え、そうした金融支配者への完全な降伏となるだろう。また国際レベルでは、その中央銀行のエリートは、世界貿易機関、世界保健機構、国際決済銀行、世界銀行、国際通貨基金など、かれらの政策を実施するための巨大な組織をすでに設置している。国際通貨基金は、途上国や苦闘している国々に、一種の「最終段階の貸し手」として機能している。その名目の目標は「貧困を緩和する」ことであるが、同基金の融資を受けている多くの国々は負債に埋もれ、利息の返還すらできない。世界銀行は、国際通貨基金のように、その資金の使途を制限する構造調整融資を行う。これらの構造調整融資は、そのほとんどが多国籍企業にとって有益なものとなっている。

全地球的支配の最終ゲームを導入するためには、何よりもまず力が必要であり、その筆頭に、マネーを支配しなければならず、彼らはそれを実行している。そうであるがゆえに、単一の通貨システムが彼らの手に落ちることは、最悪のことなのである。これらのパワーブローカーはまた、エネルギーを支配する必要があり、すでに彼らはそれを実施している。彼らは横暴にフリー・エネルギーを抑圧してきた。J・P・モーガンが嘆いたように、ただのものにメーターは付けれないのだ。彼らはすでに農産物生産と世界貿易を所有し、食糧と水を支配し、さらに、世界の水の権利を買い取っている。世界的に関心が広がっている健康維持も、すでに彼らのポケットに入っており、彼らは自然治癒法を旺盛に抑圧している。彼らは、医薬品、医学学校、研究資金に、巨大な支配をおよぼしている。当然に、彼らは情報を支配しなければならず、教条化を通じてそれを行っている。したがって、彼らは、最も強力な報道機関をコントロールし、さらに、標準化された義務教育に手を伸ばしている。では、何が残されているのだろうか。インターネットは、現在、支配も検閲も実施されていないが、その情報の波及を制御するため、多くの攻撃が行われている。議会は愛国者法〔Patriot Act〕といった「煙幕法」――極めて非愛国的で私たちの権利を剥奪する――を通過させた。用心していないと、あなたは監視カメラで写され、埋め込まれたRFIDチップでスキャンされてしまう。2011年には、人間を殺すことができるRFID追跡チップが発明されたとのニュースが報じられた。だが、人間を殺すチップは何のために使われるのだろうか。ならず者国家の要求に応じない者のためなのか。ジョージ・オーウェルの最悪の悪夢はもう私たちの目の前である。ビッグ・ブラザーは、すでにここにいる。私たちはすでに「マトリックス」に住んでおり、どのように脱出が可能なのか。私たちの民主主義は以前より深刻に脅かされている。私たちの権利行使が最近どのように扱われてきているのか、それを思い出してみよう。

 

民主主義の復活

米国では、金権と、私たちの民主主義――近代最初の民主主義――を創造した理想主義との間で、緊張が高まっている。南北戦争の時代、世界には6つの民主主義があった。今日では120あり、ほとんどすべてがアメリカ型モデルに触発されている。私たちには、正義の諸制度――その一つが中産階級市民からの情報公開された公衆の出現――をもって自らを統治するという人間のモデルがある。情報公開された人々に貢献することは、本シリーズの目標の1つである。 しかし自由は決して安いものではない。

ここで再び、著しく芝居がかった実例がジョン・D・ロックフェラーである。彼の配下にあった大統領の中に、米国の歴史において最悪の大統領と広く見なされていたウォーレン・G・ハーディングがいた。1921年、ウェストバージニア州で、約一万人の労働組合員が賃上げと労働条件の改善を要求してストライキに入った。ハーディングはスト中の組合員に爆弾と毒ガスを投下するよう軍に命じた。ハーディングは、石炭産業の富の中で非常に腐敗し深く埋没していた。そのハーディングの最終的な恥辱は、在任中の死亡後に持ち上がってきた、「ティーポット・ドーム・スキャンダル」と呼ばれた石油備蓄にまつわる贈収賄事件であった。これは、金や政治がどのように腐敗するか、選挙運動への献金改革がどれほど必要か、そして、企業の政治献金を一掃することがいかに緊急であるかを示している。

ほぼ100年前、憲法が覆され、私たちの民主主義が完全に失われたかの時期があった。だがそれは、数少ない勇気あるジャーナリストたち――今日ではほとんど成されないことを成した――により結局復活された。アイダ・ターベル、アプトン・シンクレア―らは、当時国民が直面していた重大な危険を指摘し始めた。ジョージ・オーウェルが「ジャーナリズムは誰かが印刷出版したくないものを印刷出版している。その他のすべては、ただの広報活動である」と書いたのは有名である。前世紀のこれらの勇敢なジャーナリストたちは、公衆に感銘を与え、憤慨と怒りを表明することによって、これらの暗黒勢力を暴露することができた。そして、ある人物――テディ・ルーズベルトという極めてタフな政治家――が非常に強い理想をもってそれを引き継ぎ、彼は、「偉大な富の悪者」と企業に立ち向かった。だが、反トラスト法や民主主義回復のための新たな勢力があっても、金権は引き続き舞台裏で働き続け、1913年に連邦準備銀行制度を設立した。その時以来、企業や政府関係者を支配する秘密家族は、より強く成長するばかりである。

こうした状況は変えられなければならない。今や、私たちは、アメリカ人として、代表民主主義の道具を使って憲法の明確な原則を回復させる時となっている。その解決法については、本書の最後の部、スライブ〔一部「邦訳」済み〕、に述べる。

 

【本章完了】

 

参考文献

Ford, Henry, The International Jew. (originally published in 1920), Liberty Bell Publications, 2004.

Koestler, Arthur, Thirteenth Tribe. (originally published by Random House, 1976), Fawcett Popular Library, 1978.

Quigley, Carroll, Tragedy And Hope: A History Of The World In Our Time. Macmillan, 1966.

Investigates Synarchism International:
http://www.abovetopsecret.com/forum/thread494628/pg1

Illuminati a myth? A well documented case that they are real:
http://www.youtube.com/watch?v=0PLhBECS7oA&feature=share

History of the Rothschilds:
http://www.pakalertpress.com/2010/07/19/house-of-rothschild-no-one-can-nderstand-what-has-happened-to-the-planet-withoutreading-this/

 

 

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Modern Esoteric cover small

Modern Esoteric: Beyond Our Senses,  by  Brad Olsen

http://cccpublishing.com/ModernEsoteric  www.bradolsen.com

with permission, (c) Brad Olsen, 2015

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