聖なる幾何学(その1)

〈訳読‐2b〉現代の「東西融合〈涅槃〉思想」(その33)

 

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聖なる幾何学(その1)

「宇宙は、音楽、数学そして幾何学として表現される法則に基づいて形成され、それは調和と秩序そして均衡をもたらす。」――エドガー・ケイシー〔米国の予言者、心霊診断家  1877–1945〕

「聖なる」と呼びうる幾何学の研究には二つの潮流がある。そのひとつは、古代の哲学的追求で、他は、同志の者たちの間での秘密の探究である。そうした聖なる幾何学の諸原理は、量子物理学といった新しい科学に統合していっている。聖なる幾何学を理解することは、「宇宙的意志」に分け入るための基礎となる。というのは、ミクロの世界からマクロの世界まで、この世のすべては、明快に幾何学的であるからだ。この一見「神」と思しき近代的表現こそ、包括的な幾何学であって、それは、すべての創造の物理法則の一部としてあらゆるところに現われている。それは、形態の言語や生命の根本的な構造をなしており、あるいは、私たちの全体の存在領域がどのように設計されているかを理解するための鍵でもある。それは、量子レベルから宇宙的スケールまで、いたるところで発見される。聖なる幾何学を統合した科学は、どのように細胞が分裂し、どのように自然は特定の形を繰り返し、私たちが三次元の経験としてそれを知覚するように、現実世界の鋳型にさえなっている。聖なる幾何学は、宇宙がいかに明示され、秩序付けられ、維持されているかを理解するための簡潔なアプローチなのである。

聖なる幾何学の基本的なパターンは、古代人によれば、神聖なものとか、存在物の「崇高なデザイン」の一部と解されていた。聖なる幾何学は、パターン認識の世界観、すなわち、宗教的シンボルや、空間、時間、形態などの複雑システムとして理解されていた。幾何学的構造の形成を研究することによって、自然界の深淵な神秘を解明する洞察をえていた。私たちは、自然界に、極小の粒子から人間の目で見分けることができる生命体、そしてはるかに大きな宇宙形態、パターン、設計、そして構造を発見した。それらは必然的に、幾何学的な原型に従い、それぞれの形とその振動の共鳴を明らかにした。それらはさらに、部分と全体との不可分な関係の根底にある形而上学的原理を象徴している。それは、多様性の無数の現れにおいて、あらゆる形態の基本構造に浸透する、あらゆる幾何学の基となる一体性の原理でもある。相互関係性、不可分性、そして統合というこの原則は、私たちに、全体との関係を考える際の継続する手がかり――創造されたあらゆるものの聖なる基礎を思い起こさせる設計図――をもたらす。要するに、幾何学は私たちのすべての現実の根底を成している。

聖なる幾何学は、古代の神秘学派においては、堅く秘密とされ、その進んだ学問は選ばれた少数にのみに伝授された。こうした学識を隠すことは、知識へのアクセス可能性を制御する方法として、あるいはプラトンも言うように、「幾何学に精通した者のみ入ることを許される」ものであった。それは、何千年もの間使用されてきた意識拡大の道具で、肉体を超越し、内から神を目覚めさせてきた。神が幾何学的計画に従って宇宙を創造したという信念は古代に起源を持つ。ギリシャの哲学者プルタークは、その信念をプラトンより得、「神は永続して幾何学を用いているとプラトンが述べた」と語った。古代人は聖なる幾何学の経験が魂の教育に不可欠であると信じていた。彼らは、そうした形と符合が私たち自身の内側世界と微妙な気付きの構造の象徴であることを知っていた。彼らにとって、「聖なる」ものは、意識を伴い、気付きの顕著な神秘さ、そして究極の聖なる神秘という、特別の意義を持っていた。

近代において、聖なる幾何学は、私たちの現実の事実上すべての形成に使用される普遍的なパターニング――非常に頻繁に建築様式や聖なる芸術に使用され――に関与している。幾何学的ならびに数学的比率、ハーモニー、そして均整は、音楽、宇宙、光、そしてバランスと対称性を重視するヨガの実践にも関与する、基本的概念ともとなっている。この価値観は、人間の品性の文化的表現としても、先史時代以来、幾世紀にわたって広く普及してきた。それは、寺院、モスク、巨石、記念碑、教会などの神聖な建物を建てる際の基礎と考えられてきた。幾何学的対称性は、祭壇、境内、礼拝堂などの聖なる空間で使用されている。それはまた、宗教的芸術や図像の作成に「神聖な」均衡を取り入れて使用されている。その一方、聖なる幾何学に基づいた芸術は、短命的なものとしては、アメリカ先住民のMedicine Wheels〔訳注〕 やチベットの僧侶に多く行われる砂の絵画など、均整を視覚化したものとして使われている。

〔訳注〕

ビッグホーン国立公園の Medicine Wheel

ワイオミング州ビッグホーン国立森林公園の Medicine Wheel (ウィキペディアより)

 

 

私たちの存在の幾何学

自然や意識の中での聖なる幾何学を理解し応用しする研究は、必要かつ実質的な賜物を提供する。私たちはすでに、原子核の構造や「マイクロクラスター」と呼ばれるより大きな原子群など、自然科学の様々に異なる状況に現れる幾何学を知っている。また、それは地球の大陸や山塊の根底構造の中にも見られ、「地球グリッド」として知られている。さらには、太陽系や宇宙のあらゆる惑星の公転軌道の正確な位置にもそれは現れている。

聖なる幾何学は、それが自己覚醒の経験に根差す時、もうひとつの総合的水準の重要性をもたらす。それは、生きいきとし、相互につながった、知的かつ慈愛深い世界を再認識するよう、私たちの気付きを助ける。聖なる幾何学は、私たちの深く本来的な知恵の集団的再現であり、生命の全体的一体性――全宇宙は地球上の生命に先行し続いてきた霊性的世界である――を知り、またそれに属するよう促している。古代の思想家たちは、聖なる幾何学が宇宙の始まりの音楽として聞こえていると考えた。彼らには、星々は花々に微笑みかけているように見る一方、人類はすべての創造物と共にあると見た。その調和音は、諸天体によって演奏され、シバからヒンズー教徒のダンスまで、優雅な時空間の踊りの振り付けを与えていた。

私たちが聖なる幾何学の世界に入ると、かつて見たこともなかった、すべての創造物の素晴らしく形作られた美しさを見始めることとなる。私たちのDNA分子、目の角膜、雪片、松ぼっくり、花弁、ダイヤモンドの結晶、樹木の分枝、オウム貝の殻、私たちが呼吸する空気、私たちが知っているすべての生命体、そして空の星や宇宙の渦巻く銀河など、それらはすべて時代を超越した幾何学的情報を根源としている。これらの情報を見たり熟考することで、深い知恵の表面をなす線に直接に接し、「普遍的意識(ユニバーサル・マインド)」と多次元宇宙自体の内部の仕組みを垣間見ることができる。これらの形態の起源を再現することによって、私たちは進化原理を追求しうる。そして、私たち自身の思考をこうした母型レベルに高揚させることによって、私たちはそうしたレベルの力を、私たちの心と思考に取り込むことが可能となる。

聖なる幾何学は創造の設計図であり、すべての形の起源である。その原理は、すべての波形現象、遍在するトーラス形状、そして、あらゆる振動に直接に関連している。古代の科学は、すべてを創造し統一するエネルギー形態を探求、説明し、そして、創造自身を組織するエネルギーの克明な方法を解明するものであった。どんな規模おいても、自然の成長や挙動のパターンは、不可避的に、次から次へと幾何学的形状に従っている。幾何学図形は、「現れる」段階の明示的過程を実際的に表している。幾何学における統一性と全体性を知ることは、自然やお互い同士の孤立という誤った概念を止めることに通じる。この新しい理解によって、空間も時間も、これまで私たちがそうであると考えていたものではなくなってくる。そして〔今日〕、私たちは誰も、この「ホログラフィック宇宙」にいるとは思っていない。すべての幾何学は聖なるもので、それぞれがみな他の中に含まれ、その「ひとつの中核」から生まれたものである。究極の理解では、すべての生命は永遠であり、すべての存在は星なのである。

 

聖なる幾何学の父

科学としての幾何学は、著名なギリシャのサモスの哲学者、ピタゴラス(紀元前580-500年)によって最初に学問化され、そして彼は、西洋の秘密主義の「創設の父」と見なされるようになった。そうした彼は、「すべては数だ」と宣言した。彼の見解では、幾何学はあらゆる創造の科学であり、その数式はまさしく、あらゆる生命内のエネルギー――細胞構造や自然のあらゆる形の中に見られる、角度、ピラミッド形、八角形として表されてた幾何学的なもの――を表していると論じた。そうした幾何学に純正な形を扱い、そして哲学的な幾何学は元の各形を解き明かし、重複させる形でそれを再現する。それは基本となる創造の秘密を図視化する方法である。古代ピタゴラス派の人たちは、今日では定着している「単位」を用いるのではなく、「比率」を用いた表現として数値を定義した。彼らは、現実は数値であり、〔たとえば〕黄金比は、存在の根底にある真実を表していると信じていた。

プラトンは著書『国家』の中で、聖なる幾何学について書き、こう主張した。人がその魂の目を清めうるのは幾何学を通じてであり、「それのみによって、我々は真実を熟慮しうる」。プラトンは音楽と神秘主義哲学の両方について幾何学の意義を論じたが、彼が重視したのは後者である。すなわち彼は、それを教科書としてではなく霊性的哲学として論じ、そうした諸比率の物理的な現れではないと述べた。プラトンはこう言った。「アマチュアとしてではなく、数学を学びとして国家の要人となる人々には、数字の性質を心から、魂をもって理解するまで学ぶよう、説得する努力をしなければない。」

ピタゴラスは、この世界に幾何学を導入したとき、この主題のエソテリックな性質を完全に理解していた。彼は究極的には、真実の探究者とその真の信奉者は、幾何学を体験することにより、魂の高度な高揚に達しうることを知っていた。だが残念なことに、彼のエソテリックな教えは生き続けなかったが、彼の幾何学の教えはイエス・キリストのたとえ話のように後世に伝えられた。つまり、そこに隠されているのは、聖なる神秘である。ピタゴリアンと呼ばれる彼の弟子たちは、それぞれの数字を、統合の表現あるいはその根本要素――あるいは「あらゆるの物の父」――とみなし、「母」を加えた二元性を通じ、多様性の創造へと敷衍された。

「私たちは音楽界に住んでいる」とピタゴラスは観察した。すべてのことは、その存在を完璧に音に頼っている。それは、音がものをすべて一緒にして持する要素であるからである。ピタゴラスは、音楽のオクターブを、精神と物質の関係の最も簡単で最も深い表現であると考えた。幾何学は、宇宙秩序の調和についての黙考する手段であり、音楽、周波数、振動についても同様であった。著作家エリザベス・クレア・プロフェット〔神智学系のカルト普遍勝利教会の教祖〕によれば、単に学習するのではなく幾何学を黙想すれば、幾何学的な形態が目と耳を内的な音につなぐ要となっているため、実際に「多分野の音楽」を聴くことができる。直線的に引かれたすべての線には、物理的なオクターブから霊性的なそれにわたるものが含まれている。「オクターブの神秘」とは、総体を可聴的に区別できる二部分に分割しても、同じ音符――「上なる如く、下もまた然り」なヘルメス主義の原理――として認識しうることである。「始めに言葉ありき」で、ピタゴラスによれば、この言葉とは「音」である。彼の神秘学派は、そこには何か特別なもの、さらには聖なるものがあると信じていた。音楽では、これらの整数比が音階を形成し、それが音楽を成す要素となっている。

 

天球の音楽

音楽的調和の一形態としての「天球の音楽」は、太陽、地球、月、そして他の惑星や小惑星といった諸天体の動きの比率に基づく古代の哲学的概念である。ピタゴラスは、宇宙の音楽を聞くことで知られた最初の人物と言われており、彼は天体の恵みに加わる方法を教えた。彼の理論は、太陽の周りを回る惑星が「エーテル」に触れて、音を発する――もし人が適正に同調されていればそれを聞くことができる――というものであった。惑星はそれ自身の回転軌道を持っているので、その半径は音を発する糸となり、その結果、各惑星は自身の「ディアパソン」――ピタゴラスの言う同調におけるちょうど1オクターブの名前――を持つ。各惑星はともに、大半の人たちには聞くことのできない調和音を作る。彼は、それぞれの星を地球を中心として回転する水晶球に付着していると考えていた。永遠に回転するこれらの天球は、真に高揚した人だけが聞くことができる調和のとれた音を作り出す。この「音楽」は、文字通り聞こえないものではあるが、調和的、数学的、振動的な要素であり、宗教的な概念である。マックス・ハインデル〔デンマーク/アメリカの神秘学者 (1865–1919)〕の著作『薔薇十字団』によると、調和のとれた「思考世界」――ハーモニーの海――の下層域である「具体的思考の領域」では、天球の音楽が聞こえる。それはまた、「第二の天国」として知られる意識状態が起こる場所として、エソテリックなキリスト教においても言及されている。

エジプトの知恵の神トートによると、「神の建築」は、「意識によって創造された宇宙で、その意識は、聖なる幾何学と呼ばれる設計図を通して物理的現実――流れる時間という幻想を再三繰り返す――となっている」である。だがプラトンは一歩進み、その著書『国家』にこう書いた。「幾何学の目的とする知識は、永遠の知識である。」

古代、エジプト人とギリシャ人は、音楽を最も有力な芸術と認識していた。 プラトンは、政府の形態は最終的に音楽の形態に従うと考えた。これが、古代人が音楽を扱うことに非常に注意深かった理由である。例えば、公共の場所で不協和音は許されなかった。プラトンは、古代エジプト人によって所有されていた一定の法規範を精緻化した。その方法は、数的比率と音楽的調和が社会を支配し、レムリアとアトランティスの場合のように、文字通り何千年も同じ水準が維持できるようにするものであった。最後の氷河期以前の古代文明は、今日考えられているよりもずっと長く続いた。その時、社会全体は、宇宙を支配するハーモニーの理解に基づいていた。毎年ギリシャの祭典で同じハーモニーの音楽が演奏され、そのもとで人々の集団心理は、ひとつに結ばれた高揚下におかれた。

神秘学派のギリシア人は、「幾何学は凍結された音楽」と理解していた。そのエジプト人の師匠たちは、聖なる幾何学と音楽は、不離一体のものとし、前者の法則が西洋の音階音符を構成する数学的な間隔を支配していた。ユークリッドの定理もまた、音階比を構成していた。古代においては、幾何学定理は音楽と関連していた。ここ数十年間に話を移すと、私たちは、本物のクロップ・サークルに音符に関する情報が含まれていることを見ているが〔後述「聖なる中庸性」の写真と解説を参照〕、それ自身は音の周波数のハーモニー原理の副産物である。音楽はまた、ユニークで強力な心理療法の方法でもある。

数学では、ユークリッド空間は、ユークリッド平面とユークリッド幾何学の3次元空間であり、同様に、これらの概念の高次元に応用した一般化である。音が変化すると、ものが変わる。振動の法則は、宇宙のすべては常に振動している、というものである。調和した音符の間隔は、常に整数倍である。例えば、ギターの弦を半分の長さで演奏すると、開放弦と同じ音階が得られるが、1オクターブ高くなる。同様に、3分の1の長さでは、音は変わるが調和のとれた音階で、その他も同様である。その一方、整数でない割合〔の長さ〕では、不協和音を生じる傾向がある。このように、ピタゴラスは、共通の間隔をもつ最初の4つの上音を記述して、音楽の調和の原則的な構造とした。それはオクターブ(1:1)から始まる、完全5度(3:2)、完全4度(3:3)、長調3度(5:4)である。12音階の半音階をチューニングする最も古い方法は、ピタゴラスのチューニングと呼ばれ、それぞれが3:2の割合でチューニングされた連続した完全5度の積み重ねに基づいている。

宇宙は巨大な交響曲と考えることができ、それぞれの構成体は固有の基底となる数値特性または独特な音で表される。すべてのものは、数値的あるいは調和的に表現した以上のものではない。「神」は常に宇宙の秩序と調和の中に見られる。幾何学は「神」そのものと考えることができる。宇宙は楽器であり、その中のすべてがさらに大きなものに調和して振動している。では、宙は音の比率原理に由来しているのか。それとも音が宇宙の本当の起源なのか。始めに言葉ありきで、その言葉とは音、即ち、振動であった。振動や発振がなくては会話を形成することはできず、宇宙の起源は振動と発振の活発な状態から生まれた。 432ヘルツの振動は、ファイ(Φ)の黄金比の原理に基づき、光、時間、空間、物質、重力、磁気の特性と、生物、DNAコード、意識を統一している。432ヘルツの振動は、自然のチューニングとして、人間の意識や私たちの体の細胞レベルに深い影響を与える。楽器のチューニングや、コンサートの基音階を、常用されているA-440ヘルツの代わりに432ヘルツを使用することで、人間の本質、つまり体内の実際の原子とDNAは、自然の渦巻きと調和して共鳴し始めるのである。

 

プラトンの立体

2,500年前のギリシャの秘密宗派の時代以来、私たちは5つの完全な多面体、つまり、正4面体、正6面体、正8面体、正12面体、正20面体があることを教えられてきた。 これらは合わせて「プラトンの立体」として知られ、、聖なる幾何学を形作る基本的構造体であり、物理世界のすべての基礎を成している。イタリアのルネッサンス期の芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチは、「どう見えるかを学び、すべてのものがすべての他のものとつながっていることを知れ」と提唱した。

これはレオナルド・ダ・ヴィンチの幾何学図形のスケッチからの1ページである。より正確には、ダ・ヴィンチが「神聖比率」を描いたもので、この作業に60ページを用いており、これはそのうちの1ページである。「プラトンの立体」の場合、ダ・ヴィンチは2つの視点を提供している。物体視点および透明視点――多面体の完全な構造を明らかにするために物体表面を透明にした――である。こうした 頂点と辺による「網目構造」は、この芸術家の天才的表現力を示している。(with permission, (c) Brad Olsen, 2018)

「プラトンの立体」は、5つの3次元幾何学的立体形であり、そのすべての面が同様である。この 5つの立体は今日では通常、プラトンの名をとって「プラトンの立体」と呼ばれている。彼は、ピタゴラスのおよそ100年後、紀元前428年から348年を生きた。各プラトン立体は、創造の5つの要素をそれぞれに表している。それらが表す 5つの図形とその要素は次のとおりである。4面体は火、 12面体は水である。 立方体はエソテリックな解釈では体を表し、したがって立方体すなわち6面体は地球である。 8面体は空気、12面体はエーテルを表す。 さらに、12面体は宇宙に対応しいる。それは、黄道が星座に対応する12の特徴を表し、その上を太陽が1年のうちに通過し12面体の12の面に対応している。

近代の学者たちは、1980年代にシカゴ大学のロバートムーン教授が、すべての周期表の元素――文字通りのすべての物的世界――が、その5つの形態に基づいていることを実証するまで、プラトンの立体の普遍的な応用には否定的であった。実際、現代の物理、化学、生物学のすべてにわたって、その創造の聖なる幾何学的パターンが再認識されている。だが、その誤用のために、その霊性的理解という大きな文脈を欠いている。最近の理論によると、宇宙そのものは12面体の形をしている。プラトンが宇宙を描写するための真髄として12面体を使用したことは驚くべきことではない。プラトンはまた、宇宙の創造の一瞬とともに、時間が始まったとも述べている。

幾何学的形状もまた、すべての次元構成上の基礎をなし、エネルギーの特定の形態をもたらしている。プラトンの立体は、微視界から惑星界、流体と固体、そして灼熱から凍った環境においてまで、私たちの3次元宇宙の多くの分野に再現されている。プラトンの立体は、あらゆるレベルでエネルギーが流れる手段でもあ。宇宙のの数学は幾何学的な数学である。それは形態をなさねばならず、形態をめぐるエネルギーをもたねばならない。一般的な幾何学的数学の問題の解法をめぐる比喩的な話は、実際に、創造主への繋がりと関係を持つ人間の物語を伝えている。これらのすべては、その円環の内の形から導き出すことができる。その各々の角度と接点には霊理的な情報がある。その美しさとシンプルさは、基本となる12のシステムがある。数学と幾何学の使用は、後述するように、6つと、3つと9つの繰り返す美しさについての入門的な理解を可能にする。

プラトンの立体の美しさと対称性は、数千年にわたり幾何学々者に好まれてきている。古代ギリシャの哲学者プラトンは、すべての古典的原素が規則的な立体から構成されていることを理論化し、これらの立体はその彼の名をもってよばれている。(with permission, (c) Brad Olsen, 2018)

幾何学において、アルキメデスの立体は、プラトンの立体と違い、極めて対称的な半正規立体多面体で、同じ長さの辺をもつ、2つ以上の正多角形で構成されている。プラトニックの立体は、同じ頂点で1種類の同じ形の多辺形のみで構成されている。 「同じ頂点」という用語は、通常、どの2つの頂点も、一その立体全体でどれも同等であることを意味する。(with permission, (c) Brad Olsen, 2018)

 

黄金の中庸性

「黄金の中庸性」〔訳注〕の美しい割合や神秘的なフィボナッチ数列〔後述〕は、何千年もの間、哲学者を魅了し、依然として現在も、芸術、建築学、音楽、植物学、生物学、天文学、物理学の分野で研究の対象となっている。これまでのところ、科学はその存在は証明したが、まだ誰もその深い神秘を完全に解明してはいない。ビトルビウス〔ローマ時代の建築家〕によれば、聖なる黄金の中庸性は体の部分の比率で見ることができる。指先から指先までの長さは、頭部からつま先までの長さと同じである。例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチのウィトルウィウス的人体図の腕においては、AとBの比はBとCの比〔どこがA, B, Cなのかは不詳〕で見ることができる。同じ法則は人体すべてに適用される。

〔訳注〕原語のGolden Meanを、ここでは「黄金の中庸性」と訳したが、この用語は、物事の絶妙な中間をとること、すなわち中庸の精神的徳性を指し、その絶妙さを「黄金」と呼んでいる。次節のように、その中庸性を数値化したもののひとつが「黄金比」である。

 

 

 

この有名なイラストは、人間と自然を関連付けようとするレオナルド・ダ・ヴィンチの試みの根本理念を代表している。レオナルドは、人間身体の偉大な〔働きを〕絵図化して――彼の解剖学的図面やウィトルウィウス的人体図を「微小宇宙の宇宙地理学」として作成することで――想念し、人体の働きを宇宙の働きの類似と考えた。 (with permission, (c) Brad Olsen, 2018)

私たちの存在の根底をなすものとして幾何学を理解をすることは、何も新しいことではなく、実際に、黄金の中庸性や他の形態の幾何学は、今日もなお存在する古代モニュメントの多くに織り込まれている。ギザの大ピラミッド――最古の古代モニュメント――は、聖なる幾何学の比率をもったモニュメントのよい例である。ピラミッドの高さは、その底辺長のファイ比率(黄金の中庸性比率)をなしている。実際、この特定の構造の幾何学は、今日の現代的などの建物に見られるものよりはるかに正確である。既に述べたように、大ピラミッドは〔地球の〕全大陸の重心に位置している。それはまた、世界の全陸地面積の正確な中心にあり、地球の全陸地をほぼ等しく四分割し、また、疑いなくファイの数字に合わせて建設されている。黄金の中庸性はまさしく「設計上のハーモニー」とさえ呼ばれうるものである。

この設計上のハーモニーは、ピラミッドや両半球体の対称性など、多種の形がなぜ霊性的に重要であるのかを説明している。これら以外の例としては、世界中の神聖な建物の中にあるドームがある。この基本的な対称性は、寺院、モスク、教会、またはシナゴーグなど、世界中の宗教的建造物の中核となっている。こうした特定の形状は、文字通りエネルギー発信器である。それらは、音の情報を運ぶ搬送波である電波のように、一種の共感を呼ぶ搬送波を生成する形状である。黄金の中庸性の振動の質は、非常に強いコミュニケーション特性をもたらし、祈る人たちにより高い領域との共鳴を用意する。

私たちは第3次元世界、すなわち「現実界の平面」に住んでいる。物体がこの3次元での現実形態を現す際、黄金の中庸性という、その次元内への玄関口〔変換関数〕として機能しているように見える。例えば、星が生まれるとき、それは特定の数列あるいは遍的な法則に従うが、それは、膨張過程に入った宇宙における生命の法則と同じものである。したがって、黄金の中庸性はすべての創造の「足跡」である。私たちが、そう運動し、つねに拡大を続ける連続関係を生成する時、私たちは実際に「膨張過程にある創造活動」を行っているのである。

 

聖なる中庸性の数学的な成果の1つは、自然界によく見られる螺旋である。黄金の螺旋は、原子核内の微小粒子の小宇宙から宇宙の渦巻銀河の大宇宙に至るまで、いたるところに見いだされる。 2008年、〔英国の〕ウィルシャー州バーベリー・カッスルの近くにこのクロップ・サークルが出現した時、そのデザインは好評をはくした。それは10個の区切りをもつ螺旋を表し、10桁目が正しく丸められていた。それらのマークのそれぞれの間の距離は、パイの桁に対応していた。この複雑なクロップ・サークルは、数学で最も基本的な記号のひとつと、複雑な方程式の完全にコード化されたイメージの暗合的な表現であった。この150フィートの幾何学的な図は、フラクタル幾何学を描いている。フラクタルは、大きくても小さくても類似したパターンを含む物体である。(with permission, (c) Brad Olsen, 2018)

 

黄金比

黄金の中庸性は、あるいは、黄金比としても知られ、それは他に、黄金比率、ファイ(Φ)、神の比率、黄金割合、黄金分割、黄金数、神聖な分割などとも呼ばれ、その値はおよそ1.618 033 988 749 894 848であり、多くの興味深い特性を有する無理数である。黄金比をもった形は、西洋文化では美学的に魅力的なものと考えられてきたが、今日も依然として芸術やデザインに頻繁に使用されており、対称性と非対称性との間の自然なバランスを示唆している。神聖な中庸性の数学的な産物のひとつは、自然界によく見られる螺旋である。黄金比をとおして表現される最も顕著な形は、「黄金の螺旋」であり、その螺旋の円弧はファイによって決定される。そのスケールは微視界から超銀河系の範囲におよぶが、その円弧は進行のあらゆる段階および存在レベルで一定のままである。自然界のすべての螺旋が黄金比をなすわけではないが、黄金螺旋が目立った特徴をなす。プラトンは、ファイ、つまり黄金の中庸性が「宇宙の物理学の鍵」であると考えた。

〔訳注〕        黄金比の作図法

黄金比.svg

正方形 abcd を作り、辺 bc の中点 o を中心に、線分 oa または od を半径とした円を描き、それと辺 bc の延長線との交点を e とすると、ab : be が黄金比となる。〔ウィキペディアより〕

汎神論の象徴は、オーム貝の殻の曲線に見られるように螺旋であり、排水の回転、あるいは銀河の渦巻きの腕の中に見られ、宇宙、物理学、生物学的なものを関連させている。そうした螺旋は、進化、永遠、霊性、成長といったさまざまなものを表している。時には、オーム貝の螺旋がフィボナッチ数列を具現するか、あるいは黄金比を代表することとなる。

フラクタルは、終わりのない数学的方程式に基づいている。多くのフラクタル画像は、拡大または縮小されても、常に同じ規模の詳細模様が、それぞれ縮尺の画像内に、数学的に定義された形状が繰り返えされるだけである。

聖なる幾何学は、幾何学上の意識、心、身体、精神の進化に関連した、幾何学的表現である。真の聖なる幾何学は静的な形態ではなく、有機的で生きている。それは絶え間なく進化する動きであり、超越的な状態にある。また、ある形態から別の形態に上昇または下降することもできる。プラトンはこう言った。「幾何学は天地創造の前から存在した」。

 

   

フラクタルは、一見混沌とした出来事の根底にある隠された「秩序」を明らかにする。フラクタルは複雑で美しい。それは基本的なパターンを繰り返すが、無限の変化と形を持つ。その幾何学図は、広く感覚的知覚からは隠された、連続的で時間を超越した普遍的な挙動を明らかにする瞬間画像であると考えられる。よってそれはよくある数学的挙動であるかに見えながら、知的で霊性的な洞察を表したものともなり得る。この科学的調査から生まれた世界観は、新しい、しかも同時に、非常に古代のものでもある。(with permission, (c) Brad Olsen, 2018)

        

 

 

フィボナッチ数列

12世紀、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチは、植物の葉の配列、花弁のパターン、貝殻の対数螺旋、そして松ぼっくりのパターンなど、自然全体の中に見られるさまざまな様相の数学的系列を発見した 。 1から始まり、一連の新しい番号は、それ以前の2つの合計である。すなわち、 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144, 233, 377, 610, 987などと続く。この数列は、次の番号を作るために数字の各セットを加えることによって生まれる。 しかし、数を足し合わせるのではなく、分割すると面白い現象が起こる。

花の中の花びらの数は、しばしば次の数字のどれかになるのはなぜなのか。3, 5, 8, 13, 21, 34または55。例えば、ユリは3枚の花びらを、ミカンは5枚を、チコリは21枚を、デイジーは34枚または55枚の花弁を持っている。 さらに、ヒマワリの頭部を観察すると、明らかに2種の一連の曲線があり、一方は時計回りに巻かれ、他方は反時計回りに巻かれている。螺旋の数は各方向でも同じではない。螺旋の数は、一般に21と34のどちらか、34と55のどちらか、55と89のどちらか、または89と144のどちらの数ですかである。松の木の場合も同様である。なぜそれらは一方の側から8つの螺旋を持ち、もう一方から13の螺旋か、あるいは、一方の側から5つで、他方から8つの螺旋を持っているのか。なぜパイナップルの斜線の数は一方向に8、他の方向に13なのか。13は素数であり、1とその数以外では均等に分割できない。幾何学には、13のアルキメデス立体がある。

 

フィボナッチ数列は、自然界の番号付けシステムである。この数列は、植物の葉の配列から、花の小花の模様、松ぼっくり、貝殻の中、またはパイナップルの突起のように、自然のどこにでも現れる。フィボナッチ数列はよって、単一の細胞、小麦の穀粒、ミツバチの巣、さらにはすべての人類など、すべての生き物の成長に適用されている。 (with permission, (c) Brad Olsen, 2018)

これらの数字は偶然の産物なのか。フィボナッチ数列に属するのは1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144であり、各数字は前の2つの合計から得られる。 フィボナッチ数(fn)は、f1 = 1、f2 = 2、f3 = 3、f4 = 5、一般にfn + 2 = fn + 1 + fnで与えられるというより抽象的な方法である。長い間、これらの数字は自然界では重要であることに注目されていたものの、それがなぜなのかが理解できたのは、比較的最近になってからである。これは、植物の生長過程における効率の問題であった。簡単に言うと、フィボナッチ数列は自然の番号付けシステムである。それらは、植物の葉の配列から、花の小花のパターン、松ぼっくり、またはパイナップルの実といった具合に、自然のどこにでも現れる。 フィボナッチ数列はしたがって、単一の細胞から小麦の穀粒に、あるいは蜂蜜の巣のパターンといったように、あらゆる生き物の成長に適用可能である。

この説明は、「黄金の中庸性」という別の注目すべき特性に関連しており、特定の種類の貝殻の螺旋形に密接な関連性がある。ヒマワリ、パイナップル、松ぼっくりの場合、フィボナッチ数列との対応は非常に正確だが、花びらの数の場合は平均値でのみ確認されることに注目される。いくつかのケースでは、花弁は2層に配置されているので、その数は2倍となる。

 

黄金の螺旋

「黄金比」によって表現される最も顕著な形態のひとつが「黄金の螺旋」で、その螺旋の円弧はファイによって決定される。そのスケールは顕微鏡の世界から超銀河までの範囲におよび、その円弧は進行のあらゆる段階および存在のレベルにおいて一定している。自然界のすべての螺旋が「黄金」の比率であるわけではないが、黄金の螺旋が目立った特徴をもっている。プラトンはファイを、すべての数学的関係の中で最も結束力のあるものと呼び、物理学と宇宙を理解するための鍵とした。

黄金比螺旋は、理想的なパターンであり、生命の紐解かれた神秘の象徴である。 1回転ごとにその螺旋は、進化過程の完全なサイクルを明らかにする。その連続的な曲線で、螺旋は自然の中で女性的である。内耳の三半規管のような対数螺線は、音と幾何学の調和の密接な関係を明らかにする。デイジー〔ヒナギク〕の中心では、螺旋は時計回りと反時計回りの方向に開花する。螺旋の数はフィボナッチ数列によって決まる。昆虫や魚や鳥の群れは、かき乱しから飛散した後、黄金の螺旋パターンをもって再編成される。黄金比は、対象に近づいている蠅、または獲物を狙って旋回する鷹にも、この螺旋が存在する。

同様に、「黄金の角度」は、茎の周りの葉の分布に理想的な位置を提供し、それは「葉序」と呼ばれる。それは一つの葉から次の葉まで、およそ222.5度の角度に基づいて回転し、すべての葉に、太陽光および降雨量の最大の空間を提供する。これは「黄金の角度」とよばれ、360度の円をファイ率に分割する。すなわち、222.5 / 360 = 0.618055…と360 / 222.5 = 1.617977…である。

人類学教授でありフラワー・オブ・・ライフ・機関の世界ディレクターのロナルド・L・ホルトはこう述べる。

(黄金比螺旋)現象は、数学的螺旋と経験的螺旋とを結びつけている。実用的に言えば、両者は同じものです。・・・多分ばかげた考えなのだろうが、それを表すために少し説明させてもらうと、黄金比螺旋は、最も単純には、愛の秀でた感覚として体験されるものである。要するに、黄金比螺旋は、エーテルと物質の次元を織り込む玄関口である。

黄金比の中で、最も絶妙な例の1つは、自然界にある、オーム貝である。それは、外的要素から自分自身を守るため、貝殻を構築する進化の旅を始めた。それが成長し続けると、それは前のものよりも大きなシェルの口に別の部屋を作り、それがこの大きなエリアに移動すると、その後ろの古い部屋を閉じる。それは対数螺旋に沿ってより、だんだん大きな部屋を構築するこのプロセスを継続し、常に前の部屋を閉鎖して浮力を増加させる。その効果は顕著です。各々の部屋が構築される線的螺旋は、黄金比率螺旋である。中央からの少数のものを出発点として、連続した各部屋の3次元空間は、その前の部屋よりも約1.618倍大木くなりる。生命そのもののプログラム(DNA分子)には黄金比も含まれている。二重らせんの一回転は34オングストロームであり、幅は21オングストロームである。この34と21の比率は34を21で割った1.619であり、ファイの1.618に近い近似値である。

 

聖なる幾何学は、一種の世界観として理解されうるものであり、複雑なシステム――宇宙、時間、形を含む宗教的シンボルや構造――と結びついたパターン認識にもとづく。この信念によれば、「黄金の螺旋」のような存在の基本パターンは、神聖なものとして認識される。これらの図形への個人的な関心を深めることによって、人はミステリアス・マグナム(Mysterium Magnum〔大いなる神秘〕)、または偉大なデザインを熟考することができる。これらのパターンや形態や関係、そしてそれらのつながりの性質を研究することによって、宇宙の法則や知識や構造という神秘について、個人的な洞察がもたらされうる。 (with permission, (c) Brad Olsen, 2018)

 

【つづく】

 

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Modern Esoteric: Beyond Our Senses,  by  Brad Olsen

http://cccpublishing.com/ModernEsoteric  www.bradolsen.com

with permission, (c) Brad Olsen, 2015

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