記録主義という微妙な脱線

  私の健康エコロジー実践法 (その4)

 

ちょっと調べたいことがあって、十年少々前まで使っていた古いマックのコンピュータを、ほこりを払って引っ張り出してセットアップし、スイッチを入れてみました。

そこには、昔のエクササイズの記録が細かく残されていて、思わず、現在の記録と比べてしまうこととなりました。

幾度か書いてきましたように、今は、「10km はじろう」です。そしてその速さは、時速にして8㎞少々。キロメーター当たりにすると、7分半ほどです。

それが、ちょうど二十年前の記録によると、10kmではないのですが、8㎞で38分59秒とありました。時速にすると12.3㎞。キロメーター当たり5分を切っています。なんという違いでしょう。今ではその頃のスピードより50パーセントも遅いということになります。それが二十年前ですから、47歳の時です。

ならば、そのまた二十年前、20歳代ではどうだったかと考えてみたのですが、もう確かな記録は残されていません。ただ、大学2年の時、学内の駅伝大会で、属するチームの第一走者として走ったことを思い出しました。確か、7㎞少々のけっこう起伏のある区間を、27、8分で走った記憶があります。とすると、時速にすると15.5㎞程度になります。今の倍の速さです。自分事ながら、びっくりです。

私はどちらかというと、走るのは苦手でしたが、その当時、ワンゲルという運動部に属していて、だいぶ走り込んではいました。

それにしても、倍の速さとは、驚異のような、まぶしいような。要は、若かったんですね。

 

ただし、こうやってタイムを比較してしまうと、どうしても、それを縮めたい欲が出てきてしまいます。昔ならともかく、還暦後の私には、これがいけません。そうした数字ばかりを追いかけるようになると、ついつい無理をして、その結果、故障にみまわれることとなるからです。それも、故障程度ですめばよいのですが、回復不能なダメージにもなりかねません。

あくまでも時速8㎞前後の「巡航速度」に徹することで得られる成果は、数字ではありません。こうした修養から得られる《基礎体力》がゆえ、別掲の「新海域への船出」や「修行風景《中堅編》一年九ヶ月ぶりの再開」も可能となりました。

先日、当地のあるTV番組で、オーストラリアのエリート運動選手の育成機関、Australian Institute of Sport の教授がこう強調していました。「Body と Interigence の結合が、今日の選手のトレーニングの要所である」。つまり、運動能力を上げるとは、 Mental Skill であるとも言うことです。

この考えを私風に延長するのですが、この Body と Interigence の結合ということには、大いに共感するものがあります。ただ、私の場合の目的は、もとろんメダルの獲得ではありません。むしろ、何の変てつもない還暦後の日常生活を送る際において、とかく、何らかの身体的障害がその生活の質を大いに損なうことになりがちな、そうした決定的障害を持つことなく、なんとかバランスのとれた収まり方をしてゆきたいということです。弱点による予期せぬ命取りに見舞われることなく、心身とものそれぞれの潜在能力を、ともに使い残すことなく引出したいということにあります。

そうした目的において、ここに言う、時速8㎞ほどの巡航速度による「はじり」は、脳が身体に命令を与えてよき身体的インフラを整え、また逆に、適度な身体運動がもたらす脳へのフィードバックがその活動をより生きいきと活発にする刺激となる、そうした Body と Interigence の結合が生じているという実感です。

さらに、この心身の結合についての研究報告は、私の訳した『“ボケ”ずに生きる』第九章に詳しく紹介されています。そのうちで、その筋の世界的指導者、米国カリフォルニア大学のカール・コットマン教授は、以下のように全研究の現状をまとめています。

長い間、運動は筋肉を強化し、血管の健康と全身の循環を促進して、ただ身体の健康にのみ働くと考えられてきました。90年代の中ごろから、こうした見方は疑われ始めました。現在では、運動は、脳にも、シナプスを増加させ、神経発生を高め、血管系を生むという多くの効果を与えることが知られています。運動はまた、学習を向上させ、ストレスを和らげ、そしてうつ病への対抗力を作ります。それでいて、運動は同時に身体全体を整えるのです。つまりある意味で、私たちは全面的なものを得るわけです。運動は、身体と脳の健康を作るため、周辺的および中心的の両面釣り合いのとれた働きをします。そのいずれもが不可欠で、その総計は各部分の加算合計を上回ります。私の見るところ、このメカニズムはその統合性において実に優れています。それは、心身の結合の最高の実例です。

そしてそこにおいて陥りやすい失敗は、その実感のあまりに、たとえ、故障に陥らなかったとしても、ついつい数字に魅されて記録主義になってしまうことです。そして、そうした Body と Interigence の結合の成果の本来の使い道、すなわち、有意義な「二周目人生」の開発から、微妙にずれてしまうことです。

思うに、私の「はじり」とは、私の身体の有酸素運動と無酸素運動の境目であるのかも知れません。

 

 この1ヶ月間のエクササイズ・ログ

10月07日(金) 「過」はじり 10km 1時間04分58秒

10月08日(火) 水泳  1,000m    23分59秒

10月10日(木) 自転車  30km 1時間18分

10月11日(金) はじり   8km   54分52秒

10月14日(月) はじり  10km 1時間06分41秒

10月15日(火) 水泳  1,500m      36分48秒

10月16日(水) はじり  10km 約1時間09分

10月17日(木) 水泳  1,500m    33分40秒

10月18日(金) はじり  10km 1時間06分53秒

10月22日(火) 水泳  1,500m 無計測

10月23日(水) はじり   6km          40分42秒

10月24日(木) 水泳  1,100m    26分18秒

10月25日(金) はじり  10km 1時間07分19秒

10月26日(土) 水泳  1,100m    26分05秒

10月29日(火) 水泳  1,500m 無計測

10月30日(水) はじり  10km 1時間08分32秒

10月31日(火) 水泳  1,000m      22分47秒

11月01日(金) 自・電車通勤(自転車と電車による通勤)自転車走行 6km

11月02日(土) 同 自転車走行 25km

11月03日(日) 同 自転車走行   6km

11月04日(水) はじり    6km           40分58秒

11月05日(火) 水泳  1,500m      35分26秒

11月06日(水) はじり      10km    1時間08分59秒

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