テーマパークランド日本

憲法改正考(その23)

最近の日本へのインバウンド旅行者の急増を眺めていると、海外からの旅行客を迎える個々の町や地方のもてなし方はさまざまとは言え、その全体像は、日本国民全員をその従業員とする、「テーマパークランド日本」がフル開園し、世界中からの人気を集めて繁盛し始めているシーンであるかのように映ります。

そうした動向からうかがえることは、年に2千万人を超えたという世界からの訪問客のみなさんは、日本が向いだしているきな臭い方向(大概はどこもそのようですが)なぞ、まるで気にも留めていない――間違って迷い込んでいる一時現象――といったふうに、そうではない日本にぞっこん魅了され、その来日体験を心底、楽しんでいる様子です(誰が押しつけやプロパガンダで、そう安くはないその訪日をわざわざ選んで来てくれるでしょうか)。

そうした来日旅行客の姿勢は、彼ら彼女らの本心な期待を満たしてくれるのが日本であり、かつ日本人であり、そうでない日本や日本人などは、あたかも、きっと真実の日本や日本人ではないとでも受け止めているかのようです。

たしかに、外交関係――ご近所付き合いのしがらみ関係――といったものが必要だとして、そうした国家首脳レベルでの「切った張った」ごとはそれはそれとしてその責任を負う人たちに果たしていただきましょう。

しかし、それこそ99パーセントの一般国民レベルの興味や気持ちは、「テーマパークランド日本」に来ていただいたり、他国の「テーマパークランド○△」を訪問したりすることで、もろ手をあげて歓迎にあたり、そして歓迎されることを甘受し合う、世界の本当の中心とはそういうことで、それでいい――それでなくてはいけない――のではないのでしょうか。

そしてそれに、日本人が得意とする「物づくり」の熱意を発揮して、日本ならではで日本しかない、多々の日本製品に接し、味わい、そして運べるものならお土産に持って帰っていただく。

加えて、世界に冠たる日本の公共輸送機関が、全国くまないネットワークを張り巡らし、世界の誰もが驚く、時計のような正確さと安全性と便利性をもって走り回っているのですから、それはもう、なにものをも恐れる必要もない、鬼に金棒な日本というものではないでしょうか。

私は、あとほんの数年もすれば、「テーマパークランド日本」の評判は世界の隅々までに行き渡り、そういう日本の国のあり方が、世界の誰にも親しまれ、愛されるようになるのではないかと想像できます。

大事なのは、ゆめゆめ、義理や付き合いで必要とされる国家間の取り決め事なぞを優先させず(それはそれとして上手に振舞い)、国民だれもがその自分らしさを生かして発展させて行ける、「テーマパークランド日本」を前面に押し出し、全世界に知ってもらうことが最重要だと思います。

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