右上がりのシドニー住宅価格
下の統計値とグラフが示すように、いくつかの例外期はあるものの、シドニーの平均住宅価格は、いわゆる「右上がり」の上昇を続けています。また、こうした傾向は、程度にばらつきはあるものの、他の都市でもほぼ同様に観測されます(右表参照)。

多くの日本人にとって、「右上がり神話」は大きな禍根を残したクセモノのです。はたしてオーストラリアのこの情勢は、日本と同じ警告をはらんだものなのか、それとも、ところかわれば、神話も神話でなくなるのでしょうか。
主催者は、この懸案について、オーストラリアの住宅市場の条件は、基本的に日本と同じではないと見ます。

その理由については、このサイトのほかのページでも触れているように、おもに以下の条件が日本とは異なっているからです。
  1. 住宅の耐用年数が長く、改修により市場価値の上昇が容易。
  2. 生活のステージに応じて住居を比較的頻繁に変えるライフスタイルが定着しており、売買が活発で、中古住宅の市場が発達している。
  3. 移民による安定した人口増が住宅需要を創造する大きな要素となっている。
  4. シドニーのような大都市では、土地の供給に限界が出始めており、価格上昇の圧力となっている。
  5. 消費の占める割合が比較的高いオーストラリア経済において、住宅産業はことに重要なな部分を形成しており、政府の経済運営として、その軽視は非現実的。
  6. 政府は一般的に、公共住宅の建設をひかえており、民間の供給にゆだねている。
  7. ことにこの数年、住宅投資が活発で、需要を拡大している。
したがって、この二年ほどの急速な住宅価格の上昇により、今後二、三年はややフラットな状態が続くでしょう。しかし、日本のような、半減するような極端なクラッシュは起こらないと予想されます。
(2003.11.06)
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出所:AFR紙2003年11月6日

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