下降局面に入った一部住宅価格

豪州統計局の発表によると、昨年9−12月四半期の住宅価格の上昇は、全国で6パーセントと、最近15年間で最大の上昇となりました。

しかし、業界関係者によると、こうした統計は過去のもので、現状では、おおくの都市で、下降局面にはいっているとの見解が広がっています。

こうした市場動向の背景には、下のグラフが示すように、昨年末の利率の引上げにより、急激な上昇を続けてきた住宅ローン許可数の伸びが明瞭な減少に転じ、いわゆる加熱市場が冷静さを取り戻し始めた状況があります。

                
          注記 紺色が新築、水色が既存の住宅価格の年間伸び率。赤は合計

住宅産業関係者の話を総合すると、現状の市場価格は、昨9−12月四半期の平均価格から、シドニーで5から15パーセント、メルボルンで約10パーセント、ブリスベーンで約15パーセントの下降が見られます。

ただ、各都市でも、それぞれの市場の最高価格帯では、まったく異なった状況が見られます。シドニーやメルボルンでは、そうした高価格帯の物件は希少で、相変わらず根強い需要に支えられ、価格の上昇が続いています。

このように、ウォーターフロントなど環境条件の整った物件には供給に限界があって上昇傾向が続き、これに対比し、比較的供給増の容易な市内中心部の高層マンションなどには、売れ残り物件が出始めているわけです。

投資の観点では、こうした市場セクターの違いを、正確に見分けることが、決定的に重要となってきていると言えます。

(2004.3.9)                                                   

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