「シーチェンジ」求めるオージー
オーストラリアで近年よく使われる言葉に、「シーチェンジ(sea-change)」という言葉があります。もともとは「急激な変化」といった意味ですが、今はやりの意味は「生き方を変える」という脈略で、ことに、都会での生活に終止符を打ち、海辺などに移転して、いささか素朴な生き方に転換する、といった意味合いを持っています。
また、別のことばに、「ダウンシフト」というのがあります。日本でいう「スローライフ」にやや似て、収入減少をあえてしても、ストレスにかられる仕事中心の生活をやめ、家族とのつながりや趣味や社会貢献活動などにより重きを置く生活に切り替えることです。
「シーチェンジ」にしろ「ダウンシフト」にしろ、オーストラリア社会では静かな流行をなしているようで、2002年の調査では、国民の23パーセントが、何らかな形でのダウンシフターであるとのデータがあります。また、そういう人たちの、ダウンシフティング・ダウンアンダーという団体も存在しています。
下図は、こうした潮流がうかがえる、2004年9月までの一年間の人口の増減を表した地図です。一見して、もはや州都付近に限らず、はるか離れた地方の気候温暖な沿岸部が線状になって、人口増加地帯となっていることがわかります。
こうして、オーストラリアの人口のほぼ20パーセントが、こうした地方の沿岸地帯に住んでいます。
この地図で、英語の地名が挙げられているのは、ことに人気を集めているところです。また、黒く示されている地域は、増加率がもっとも高いエリアです(WA州中部の広大な黒で示された地域は、資源産業地帯で、そのブームが人口増を呼んでいるものと思われます。また、WAでは郡の面積が広大なため、着色部も広い傾向がありますが、うち増加しているのは、その沿岸部と思われます)。
先にもお知らせしていますが、オーストラリア政府が、移民者の定着先に、地方地域を優先する政策を採用しはじめましたが、すでに国内移住では、そうした流れが定着しているわけです。
資料出所は、 30 Jan 2006, Australian Financial Review紙より。
(2006.1.30)
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