9月21日の夜、オーストラリアのABC放送が 「忘れられた日記が帰郷」 と題したニュースを報道しました。日本でも、たとえば日本経済新聞が 「日本兵の日記68年振り娘へ 返還した豪遺族と対面」
(21日電子版)と、そのニュースを伝えています。
この日記は、太平洋戦争の際、ニューギニアで戦死した元日本水兵の日記が、同地へ出兵した元オーストラリア兵の手でオーストラリアに持ち帰られ、昨年末、広島在住の残された一人娘さんに届けられていました。
20日、その娘さん延広百合恵さんと、日記の遺族を捜していた元オーストラリア兵の義理娘さんリンディー・グローバーさんが、シドニーの総領事館で対面しました。
グローバーさんはこう語ります。 「ひとつの歴史が自分の手の中にあるようで、重たい責任を感じていました。それは誰かの一生の一部です。それを持っている権利は、私にはないからです。」
そして、今、その責任を果たして、「人生に魂に触れるようなことを出来る機会はめったにありません。それが果たせて、すばらしいです。うれしいことです」、とグローバーさんは語っています。
日記をニューギニアから持ち帰った義父は94年に亡くなり、その日記が託されたその息子さん、つまりグローバーさんの夫も、その後、2008年に亡くなり、それ以来、彼女はその日記を保管していました。何か、その日記が叫んでいるように感じたというグローバーさん。
かくして、娘から娘へと、68年の時間と日豪間という地理的隔たりを越えて、その日記は生き残り続けました。
その日記の最後の記述日と、グローバーさんのお父さんがニューギニアに派遣された時との間には、六ヶ月間の空隙があります。それがどのようにしてその亡父の手に入ったのか、もう、それは永遠の謎というほかはないでしょう。
なお、ABCのウエブサイトでは、以下のアドレスで、そのニュースが見れます。
http://www.abc.net.au/news/2011-09-21/forgotten-japanese-war-diary-returns-home/2910356
(2011.9.21)
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