ニュージーランドの経済状況
92年のマイナス成長を底に、ニュージーランド経済はここ十年余り、上下が激しいものの、輸出産品価格の値上り、移民流入人口の顕著な伸び、また、過去の経済制度改革による効率化などにより、オーストラリアと並んで、順調な状態を維持してきています。

下の最初のグラフ (Economic growth) が示すように、経済成長率は、上下が激しいものの、92年の不況後、過去十年余り、平均して3パーセントを上回り、ほぼ、オーストラリア並みとなっています。2004年は4.8パーセントを記録しましたが、2005年は、輸出の伸びの低下、住宅市場の沈静化などにより、その半分ほどに落ち込むと予想されています。

こうした好調な経済により、三番目のグラフ (Jobs) が示すように、労働市場はほぼ完全雇用状態にまで改善しています。ただ、直近になって、やや、緩みに傾向が現れています。

ニュージーランドは、輸入需要が旺盛で、四番目のグラフ (Current account balance) のように、経常収支は常にマイナスを示し、6月末に終わった2004年度では、117億NZドル(GDPの8%)という、最悪の結果となりました。2005年度は8.5%、2006年度はさらに拡大すると見られています。

このため、利子率は先進工業国中では最高水準で推移しており、ベンチマーク利率で6.75パーセントに達しています。今年中にも、石油価格高騰によるインフレ懸念 (第5グラフ(Inflation) 参照)で、さらに引上げが予想されています。

ニュージーランドはまた、自由貿易協定 (厳密には、より踏み込んだ「緊密経済関係協定[ANZCERTA]」1983年発効) 関係下にあるオーストラリアと、政治、経済での結びつきが強く、今回のNZ総選挙結果(別記事参照)に豪州経済界は必ずしも満足していませんが、両国間の法規制の調和化をキーワードに、関係のいっそうの緊密化が計られてゆく見込みです。
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