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    修行第二十四風景


 職場の平安というものは長続きしないようです。
 年末に向かうと云うのに、我が店には、またしても波風が立ち始めています。
 ことの起りは、寿司の先輩が、先月、妹さんの結婚式で日本に帰った後、再び店に戻ってきた際のおみやげが、来年二月いっぱいで店を辞め、実家の寿司業を継がなければならなくなったとの話でした。
 加えてその一週間後には、これまで、私と交代で寿司バーを引き受けてきた韓国人寿司シェフが、永住ビザの取得を機会に、もっと待遇のよいところへ転職してゆきました。
 さらには、今度はキッチン部門で、その板長が、新規開店するレストランに引き抜かれ、11月いっぱいで辞めることとなりました。
 こうして、当面、一人抜けた寿司部門の欠員補充が危急の必要となり、これまでに二人の韓国人寿司シェフが来ましたが、一人は三日で自分から辞め、他は、良くない情報が入ったらしく、一日で辞めさせられました。
 また来月に向けて、新たな板長も入ってくるでしょう。
 これからクリスマス休暇に向け、店は多忙期に向かいます。ことに寿司部門はそれに輪がかかります。欠員補充どころか、その一層の充実が必要と思われるのですが、実態はこうした始末です。
 そういう訳で、店はざわざわしているのですが、その中で一人不動なのが私です。言い換えれば、私の店内での重要性は、ともかく増加しています。見ようによっては、皆さんが、こうして私に、どんどんと道を開いてくれているようにも解釈できます。そういう意味では追い風と言えなくもないのですが、予断はできません。
 店はいま、メディアに緊急の募集をかけているはずで (ただし韓国語メディアのみで日本語のは避けている模様)、この先、またまた、日本人以外の新たな顔ぶれが現われると思います。ですが、実際にどうなって行くかは神のみぞ知るです。
 ところで、私のこの修行は、来年の三月までの三年間が当初の予定です。もう、そんなに時が経ちました。そういう脈絡では、二月で辞める先輩から十分に技術を吸収し、ともあれ、この店での修行計画を全うしたいと考えています。

 さて、話は跳んで、季節の話題。
 毎年、このシーズンになると、通勤の途上、自転車を走らしながらも思わず目をやってしまう場所があります。それは、今や真っ盛りであるジャカランダの青紫の花が、おそらくシャクナゲの一種だと思わるピンクや赤の花々とともに、綺麗なコントラストをなしている光景です。
 先日、カメラを持って家を早めに出て、それを撮ってきました。下の写真です。
 これはいく度も繰り返してきている話ですが、ジャカランダの花は、私のオーストラリア上陸を記念する花です。こうして、オーストラリア生活満24年の記念のシーズンを迎えています。

    
          
 

 (2008年11月13日)

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