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私共和国 第17回
平均寿命的に言えば、まだ二十年ほど先のことなのですが、自分の永眠のことを考えないわけではありません。
自分の死後、墓などはどうでもよく、灰は、どこかの自然界にでも撒いてくれと言っているのですが、それでも気になっていることがあります。
それは私が遺す財産についてです。
むろん、金銭的財産は何ものこらないはずで、ただ確かにのこるものとして、私がこうして書き続けてきているウエブサイトがあります。
十年後、二十年後に、まだそう考えているかどうかは不明ですが、今の段階では、このウエブサイトを永遠に残したい、と考えています。ただ、 「永遠」
というと、いかにも大それたことに聞こえそうで、いささかたじろぐのですが、まあ、本にして出版する程度の感覚の 「永遠」 です。
前にも書きましたように、私はこのウエブサイトを自分の出版事業と考えてやってきています。つまり、ハードプリントとしての出版はもう眼中になく、ウエブ上の出版をそれに代えても十分、あるいはそれ以上の役目を果たしうると考えるからです。やや厳密に言えば、
「売れる売れない」 にさえ悶着しなくなれるなら、現行の出版界の存在は無に等しくなります。さらに踏み込んで言えば、自分以外の誰かの目に触れることが目的とさえ決断できれば、それに売買つまり金銭が絡むことは必ずしも本質的なことではないと見えてくるからです。これは派生ですが、そういう意味では、物書きに売文根性を育ててきたのは、むしろ出版界だと思います。
さて、その私のウエブサイトの 「永遠」 化ですが、実務的には、サイト名称を確保しておく年毎のドメイン料と、サイト内容をアップロードしておく月毎のプロバイダー料さえ払い続けていれば、この私の願いは達成可能です。
やや目的は異なりますが、すでに亡くなった方で、その故人の業績を残すため、その遺族が運営者となって故人に関係するサイトを続けている例はあります。
私の場合、 「遺族」 頼みは忍びがたく、むしろ、生存中に一定の金額を先払いして契約しておくという、現行のお寺が行っている 「永代供養」 に似たサービスがないものかと考えているところです。
プロバイダーにしてみれば、そうしたサイトは、そのサイズは永遠に固定して増えず、しかも、情報の保存コストは飛躍的に低減していっている状況があり、いったん保存してしまえば、装置全体のメンテナンス――いずれにしても必要――を別にしてコストはかからず、悪い商売ではないはずです。
それは、私が知らないだけで、すでにどこかのプロバイダーが行っているサービスかも知れませんが、この、名づけて 「e-永代供養」 ( 「イーだいくよう」
と読みましょうか) は、すでに自分のサイトを持つ人が急速度で増えていっている世情にあって、きわめて有効かつ将来的な、 「おくりびと」 ビジネスではないかと思います。
それを、自分の墓代わりに立てて、墓参り代わりにヒットしてもらう、そんな私の願望なのですが。
(2009年6月29日)
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