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修行第四十三風景

週三日働きに

 偶然ながら、ちょうど65歳の誕生日を含む今週より、私が店で働く日数は週三日となりました。
 他にも書いたように、世界を不気味におおう不景気から一線を画し、しぶとい成長を示してきたオーストラリア経済も、中国やインドといった新興国経済の急成長に乗れる部分、つまり絶好調の資源産業分野と、他の先進国と同様な運命をたどる部分、すなわち低調深まる製造業やサービス産業分野という、 「二つの速度」 をもった経済に分化してきています。
 その反映として、ことに資源産業に縁遠いここシドニーでは、地域経済のスローダウンが著しく、私の働く店でも、じわじわと低下を続ける売上高に悩み、やむなく雇用削減の策をとらざるを得なく至りました。
 そうした状況にあって、私も今週より、週労働を一日減らして、金、土、日の完全な週末労働型となりました。

 ただ、私の場合、他方で続けてきているコンサルタントの仕事が、この 「二速度経済」 の速い方に関連し、今後、忙しくなりそうな風向きとなってきており、いずれ日程配分の調整をすべき時期となっていました。 (それに今年より、小額そして日本でのとはいいながら、年金のフル支給がはじまる年齢でもあり、現役・自活の同僚たちの仕事を奪って、がつがつとこの雇用にしがみついてもいられません。)
 そういう意味では、プラスとマイナスと良識との釣り合いがうまくとれそうで、寿司シェフとコンサルタント業という二役を演じる曲芸ではありながら、俗に言うリスク分散の効果は、計らずして得られそうな雲行きとなっています。

 この職業上、両極的とでもいうべき二役の実行は、それぞれの職場では完全な別の顔をもった自分の実演です。いずれの職場の同僚も、他の私を知りません。
 こんな現実舞台での “役者稼業” は、当初からそれを意図して至ったものではないのですが、結果的なこの異質同士な自分の遂行には、一種の緊張と醍醐味を見出しています。
 これも、 「両性空間」 精神のもたらした成果といえるかも知れません。

 (2011年8月20日の誕生日に)


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