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昨夜で、私の修行の第一劇は、ひとまずの閉幕となりました。
お世辞も含め、オーナーをはじめみんなから、けっこう残念がられました。
急いで計算してくれた給料も、あれほど経費節減に躍起になっているはずの店なのに、袋の中には、この一週間分にあたる小切手以外に、100ドル札が一枚、余分に入っていました。
5年10ヶ月と8日間、思い起こせば、もうそんなに経っていたのかと思えるような、早い月日の流れでした。
腕の方は、かえって知らないことが何かがわかって、いまだに自信のないことに変わりはありません。
ただ、ひとつだけ自慢できることは、誰からも、また一緒に働きたいと言われたことです。これは、とくにそう意識してやってきたことではありませんが、結果的に、店の中の雰囲気に、人と人との噛み合いができたことでした。いいかえれば、いいチームワーク。また別のことばで言えば、カバーのし合い。
そういう噛み合いが働いている職場とそうでない職場では、能率が驚くほどに変ります。また、働いている志気にも格段の違いがでます。働き終わって、「今日は、いい仕事ができたな」 と思えるかどうかの違いです。
こうして、ひとまずの終了となりましたが、これをもって、完全に止めてしまいたくはありません。
止めてしまうには、あまりにたくさんの収穫があったからです。
また機会をみつけて、再開したいと思っています。
最後に、日本料理について。
たしかに、日本料理、なかでも寿司は、もう世界の料理となっています。それだけに、悪く言えばまがい物、良く言えば様々な現地化があります。それをレストラン業界の用語でいえば
「フュージョン(融合)」 、自動車業界の言葉でいえば 「ハイブリッド」 です。
私としても、オーストラリアで始めた寿司修行ですから、前にも書きましたように、その最初から、 「外道」 (相互邂逅3−6 あるいは 新たな「二元論」 参照)であることは覚悟の上でした。自分の作ったものが日本料理だなどとは、胸をはって言えるものではありません。しいて言えば、 「両生料理」 ほどのものです。
それに、私の場合は、還暦後のこころみという、職業キャリア上でもの 「外道」 という特徴もあります。おそらく、本物の料理人から見れば、仕事と道楽の入り混じったような、ちょっと困った働き方です。それでも上記のように、けっこう重宝されたわけでした。
ともあれ、自分自身では、人生二周目のここにおよんで、自分の好きなことの新たな発見をえたのでした。
ところで、昨夜帰宅したところで、我が自転車のメーターは、2,641キロメーターを表示していました。
一台目の18,000キロを加えれば、20,641キロです。
これはこれで、私の修行のもう一つの成果です。
(2012年1月16日)
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