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<連載>  ダブル・フィクションとしての天皇 (第9回)

天皇とマッカーサーの “友情”

 いよいよ、占領が始まり、占領軍最高司令部が、皇居を見下ろす第一生命館に置かれ、そこに、天皇が赴いて、マッカーサーとの会見をするところまでが、今回の「訳読」 部分です。
 その間、東条が自決に失敗して逮捕され、天皇とマッカーサーは、荒廃した日本を立て直すという使命と目的で一致し、両者間に友情にも似た理解の通い合いがあったことが描かれています。
 中で、マッカーサーが天皇に、「戦争を終わらせることができた人が、なぜ、戦争開始がさけられなかったのか」、と問うシーンがあります。
 今なら、真珠湾攻撃が、米国による一種の 「やらせ」 であったとの歴史的真実が明るみに出されてきていますが、そうした米国の企ても含めても、そうした悲惨な戦争が回避できなかったのかと、改めて考えさせられます。
 
 今回連載分の中で、天皇の扱いをめぐる、連合国内の議論が紹介されています。そこで、オーストラリアが、もっとも厳しい処罰を要求し、英国がもっとも軽い退位ですませる案を提唱しています。実際の自国領土内への日本の侵略を経験したオーストラリアが、そうした立場を主張するのは自然かとも考えられますが、英国の態度は、帝国主義宗主国がゆえか、高邁な放置の印象があります。ヨーロッパの戦争に疲弊し、アメリカに任せておきたい心境もあったのでしょう。

 私が生まれる一年前の日本のあり様が、一日刻みで描かれている歴史詳細です。
 それでは、今回 「訳読」 の第三章 「敗戦 (その2)」へどうぞ。


 (松崎 元、2009年10月15日)

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