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<連載>  ダブル・フィクションとしての天皇 (第74回)


国際的舞台へ足固め


 いよいよこの訳読の舞台は、国内次元から転じ、国際的な広がりに入ってゆきます。それがゆえ、新たに入った第6部のタイトルは 「アジアの枢軸国」 であり、開始される第22章の題名も、 「対ソ中立化工作」 となります。そういう意味では、日本は、海外拡張政策の足固めを終わったと見ることができます。
 ということは、2・26事件を最後に、日本のある体制が固まったとみることができましょう。
 そしてこの体制とは、従来の歴史記述なら、「軍国主義体制」 とでも表現されるものでしょう。しかし、著者のバーガミニが追ってきたことは、そういう体制の背後で、天皇がいかに巧みかつ大胆に全体をうごかしてきたのか、といった分析です。そういう意味では、この国際的広がりの開始とは、昭和天皇制のそういう完成を示唆しているといえましょう。
 それでは、第22章へ、ご案内いたします。

 (2012年9月6日)


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