オーストラリアの世代構成と新メディア
オーストラリアでは、全人口(約2千万人)の構成は5つに分けられ、下図の示すように、1946年までに生まれた創生世代、46年から61年生のブーマー(日本で言う団塊)世代、62年から79年生の
X 世代、80年から94年生の Y 世代、そして、95年から09年生の Z 世代と呼ばれています。
オーストラリアでも、引退の始まったブーマーの動向は注目されていますが、その世代の定義は日本より広く、その人数も530万人、比率として約四分の一、と、巨大な部分をなしています。
こうした世代構成が、市場構成の上でも、それぞれの特徴をなしています。大まかに言って、ラジオとかテレビ、新聞といった古いメディアに依存したブーマー以前の世代と、おおきな拡散現象を示しているそれ以降の世代といったように、技術開発にともなうメディアの多様化が、世代把握の上で、大きな影響をもたらしています。
ことに、コンピューターやインターネットに取り込まれた世代は、従来の市場構成分析では捕らえられない動向を示し、ことに、現在の若者の世代を構成する Y 世代は捕らえどころがなく、「失われた世代」とも呼ばれています。彼らは、あまりブランドにとらわれず、また、ある時、ある場所に出没すると思えば、すぐに、また別の場所でそうである、といった行動を示すといいます。
1998年と2006年のそれぞれの時点で、14〜29歳の層のメディア使用の傾向では、テレビの視聴時間の上では、両者にそれほどの差はありませんが、インターネットを週に7回以上使う人の割合は、前者で7%に対し、後者では35%と、大きな差があります。
そうした結果、Y 世代は、いわゆるマスメディアに接する度合いはより少なく、ニュースでも、独自のチャンネルからそれを得る傾向を示しています。
今では世界のメディア王となったルパート・マードックも、最近、こうした傾向に対応し、その旗艦企業、ニュース・コーポは、昨年半ばより、デジタルメディア界に進出を始めています。
資料出所は、Australian Financial Review, 30 September-1 October 2006.
(2006.9.30)
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