日豪間の為替レート変動
豪ドルの為替リスクを考える場合、米ドルに比較して、全般に、米ドルほど短期的な変動が少なく、むしろ長期的により大きく動く傾向があると言えます。

右のグラフのように、豪ドルの場合、米ドルに顕著に見られる98年と2002年の深い谷がなく、97年の谷から、99年の浅い谷をへて2003年の谷へと、大きな凸状曲線をえがいています。

また、米ドルが上下動している間も、豪ドルはほぼ水平に推移している場合が多い(例えば98年から99年)。つまり、豪ドルの円に対する動きは、米ドルとは異なり、同じような動きをしめすことが多いと言えます。


このグラフに示した8年間のうち、豪ドルは最高値は底値の1.75倍である。これに対し米ドルは、1.39倍となっています。
出所 日本経済新聞2003年9月28日版
つまり、豪ドルは、米ドルほどの短期変動はないが、長期にわたってより大きく変動する傾向があると言えます。

ただしこれは、この8年間についての特徴をみたものですが、この傾向はこの先も大きく異なることないと予想されます。その主な理由は、日米の経済関係が比較的競合的で、ことに円・ドル間の為替レートは米の国際金融戦略に大きく影響されます。これにに対し、日豪の経済関係は,、豪州が原料供給国で日本がその原料を使った工業国であるため、補完的で利害の共通した関係にあります。まして、国際機軸通貨をもっていない両国であるため、自国通貨を国際戦略として使う、米国の常套手段もとりえません。

ことに2001年以降の豪ドルの上昇基調は、豪ドルの公定歩合が高めにすえられていることが大きい。この16ヶ月間、は豪連邦銀行利率4.75パーセントにすえおかれ、米国との間でも3ポイントの開きが維持されてきた影響があります。

きわめて好調な豪州経済(参照記事)のため、この先、利率引上げが確実視されており、また、中国をはじめとするアジア経済の復調は、豪州からの原料輸出にさらに拍車をかけるでしょう。したがって、円高にもかかわらず、豪ドルの対円レートは、まず大きく下がることはなく、70円後半あたりの水準で推移すると思われます。
 (2003.10.25記)
  

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