HPへ戻る
日本が帰ってきた
15年ぶりの日本の本格的景気回復は、世界の投資家には、垂涎の的の感がありますが、オーストラリアもその例外ではありません。以下は、熱い視線をそそぐオーストラリアの投資家向けに書かれた、続々と登場している、ハイリターンの期待できる日本関連投資信託の情報記事です。
日本の夜明けを告げる関連商品数
- Source: Rising sums herald dawn in Japanese story, The Weekend Australian Finanacial Review, 11-12 February 2005.
日本が帰ってきた。十年をこえる失意の後、日本経済の成長が始まり、株式市場も力強い上昇を示している。そして、日本に特定されたファイナンシャル商品が、あいついでオーストラリアの投資市場に登場していることは、そのもっとも明らかな目安ともいうべきであろう。
一週間少々前、UBSウエルス・マネジメントは、「GORI Nikkei 225」 と称する元金保護付の商品を発売した。この商品は、投資者に、日経225インデックスにレバレージした機会を提供するもので、指標が低下した場合でも、投資元金の10パーセント以上は失わない保護がついている。
また先週には、コムセック(CommSec)が、自前の日本商品の販売をはじめた。この「キャピタル・ジャパン」は、全面的元金保護と、やはり日経指標の動向に連動し、まあまあの利率を提供している。
こうした相次ぐ日本関連商品が投入される理由は、なんといっても、日本経済の15年間にわたる低迷からの回復が本格的であるからである。80年代の末にバブルがはじけて以来、回復に幾度も期待はかけられたが、そのつど裏切られてきた。しかし、今回の回復には、それが確かなものである理由がある。
コムセックのチーフ・イクイティー・エコノミスト、クレイグ・ジェイムスは、まず、その第一の要素として、輸出の伸びをあげ、日本の主要貿易相手国である中国経済のブーム状態はこれを支えており、さらに、国内需要も拡大し、「日本の消費者と企業は、不動産価格の改善や、雇用や賃金の好転、および高い企業収益に支えられ、再び、出費を開始した」、とジェイムスは指摘する。
経済指標も改善を示している。昨年12月の小売業は、年率で1.1パーセントの伸びを示した。東京地区の1月の物価は初めての0.1パーセントの伸びとなった。これは、数字としては些細なものだが、日本がデフレから脱出し始めている兆候である。
企業倒産も減少しており、銀行の改革にも熱が入れられ、政治環境も変化への支持が見られる。小泉首相は、改革をかかげて、昨年の総選挙に勝利している。
これらすべて、明らかにいいサインである。しかし、興味深いことは、厳密に言うと、UBSやコムセックの商品はジャパン・ファンドではないことだ。だが、すでにそうしたファンドは豊富に出回っている。プラチナ・アセット・マネジメントはそのうちでもことに人気の高いものだし、フィデリティ・インベストメントはジャパン・ファンドをあつかい、アリアンツ・グローバル・インベスターもジャパン・ファンドをもっているし、インベスコのアジア・ファンドは主に日本に投資している。以上の四つは、モーニングスター・リサーチによる2005年の小口ユニット・トラストの好業績上位20(年44から53パーセントのリターン)に入っている。
これらはみなアクティブ運用ファンドである。それぞれに銘柄を選択し、インデックス以上を試みている。これに対し、UBSやコムセックの商品は、インデックスを提供(UBSの場合、わずかに割り増しされる)しているが、実際は、この市場に投資するのではなく、その業績を反映させたデリバティブを使っている。
こうした投資法のメリットについては対立する両論がある。
あるインデックスに投資する場合、良いも悪いも含め、その全部に投資する。日本の場合、たとえば、トヨタのような世界を先導するような銘柄もあれば、いまだに不良債権と格闘しているさえない銀行銘柄もある、とアクティブ運用のマネジャーは言い、だから、彼らは、最適な銘柄を選択し、最大のリターンを提供していると主張する。
一方、インデックス派は、銘柄を選択しているといっても、投資者は何に投資されているかは知りようもない、と主張する。それは、時には適切な銘柄かも知れないが、時にはそうでない銘柄かも知れず、アクティブ運用のマネジャーは、ことに彼らがより高い料金を取る理由とするより高いリスクを明らかにしているわけではない。インデックス・ファンドに投資することで、投資者は何に投資しているかを知り、その業績もはっきりとつかめる。
投資家にとって、こうした投資法のどちらが適しているかは一定ではなく、過去に日本市場に投資して火傷を負った人は、元金保護型に魅力を見出しているだろう。
アクティブかインデックスかはあるにせよ、日本は、投資家のスポットライトをあびている。しかし、すでに、手の届くところの実は、だれかに摘み取られているということを頭に入れておく必要がある。コムセックの販売説明書は、日経インデックスは、2003年4月以来、すでに115パーセント上昇したと述べている。2003年にどうしてそうした商品を発売しなかったのかと思いたいところである(これに対するコムセックの言い分は、そうしたかったが、余りに息絶え絶えの日本経済のその当時、誰も買ってくれなかっただろう、とのことである)。
それに、そうした商品は安くはない。日本市場では、株価収益率は20倍で取引されており、オーストラリア――過去2年間の好業績にもかかわらずおよそ16倍でしかない――や他に比べてより高い。
そうではあるのだが、1989年の日経インデックスは今日の二倍以上であった。したがって、日本は現在、底値ではないのは確かだが、かっての水準に達しないとは誰も指摘していないのも確かである。
(2005.11.30,、翻訳:松崎)
金融・投資 もくじへ
HPへ戻る