シドニーからの人口流出とまるか--住宅価格下降の影響

この二年間ほどの住宅価格の高騰により、シドニーをはじめニュー・サウス・ウェールズ州からの人口流出が増加していましたが、このところの価格低下により、その流出が止まるかとの観測がではじめています。

      
  灰色線
(左目盛)は人口流出人数(千人/四半期)、黒線(右目盛)は住宅価格の年変動率(%)

上のグラフが示すように、住宅価格の上昇と人口変動は、統計的に強い相関関係をしめしています。ことに、この2年間の流出は、80年代末以降の高い率を示しています。

人口の主な流出先は、北隣のクイーンズランド州(ブリスベンが首都)。気候の良い同州は、ことに高齢退職者の流出先の最人気地となっています。

その結果、ニュー・サウス・ウェールズ州(シドニーが首都)では、昨年の人口増加率は0.8パーセントにすぎませんでしたが、クイーンズランド州では、その3倍に近い2.3パーセントにも達し、鮮明な対比をもたらしています。

今年1〜3月四半期中、シドニーにおける平均住宅売買価格が52万ドル(約3,900万円)、ブリスベンのそれが34.5万ドル(約2,600万円)と聞けば、それもうなずけます(ただし、この平均値は、その期間中に成約のあった物件価格の平均で、厳密には、常に同様条件の物件価格の平均を示すものではありません)。

しかし、こうしたシドニーからの人口流出の傾向が、最近のその住宅価格の下降により、弱まるかもしれないとの観測が出始めています。

不動産業界の調査では、シドニーの住宅価格は、7.5パーセントの値下がりを示しています。

銀行大手のANZは、、シドニー住宅価格は20パーセントほど高く付き過ぎと見ています。したがって、もうしばらく下降傾向が続くだろうと予想されます。

最近の豪ドルの弱まり(この3ヶ月ほどで、1ドル=80円台半ばから10円ほど下降)とあわせて、シドニー地区の住宅市場の軟化は、日本から見れば、いっそう魅力的になってきたと言えるかもしれません。

(2004.6.25)                                                   

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