住居費用負担上昇に政府の支援
オーストラリアの住宅価格の高騰はこれまでにもお伝えしてきていますが、同時に進行する住宅ローン利率の上昇も加わって、一般家計における住居費の負担が増し、ローン返済が困難になるケースや、他の出費を圧迫する家計もめだってきています。そのため、昨年発足した労働党新政府は、7月からの新年度への予算において、選挙公約にも掲げた、関係減税、補助金支出などの具体政策を発表しました。
オーストラリアでは、家賃やローン返済額など、家計における住居費用負担の限界を、家計収入の30パーセントを目安としています。下表は、昨年3月から12月までの4四半期間に、その割合の上昇を示したもので、左より、若い家族が最初に手に入れる住宅価格の中央値、ローン利率、月返済額、年間平均家計収入、負担率を表しています。このように、この一年間で、その負担率は、2パーセントポイントも上昇し、収入のほぼ三分の一に達するようになってきています。
(資料出所: 29 February 2008, Australian Financial Review 紙)
政府の発表によると、その負担度を和らげる政策として、第一に、年金基金やその他の民間基金による住宅への投資者に、住宅一軒あたり6,000ドルの税金控除を与えて賃貸住宅の供給を促進させ、第二に、住宅取得者には、3,500ドルの税金控除をはかるとしています。また、このほかに、現在、オーストラリアの州政府はすべて労働党政府となっていますが、各州政府は、こうした連邦政府の政策と連動して、一軒あたり2,000ドルの補助金ないし同類の支援を支給するとしています。
近年の逼迫する住宅事情により、オーストラリア主要都市での賃貸料も上昇しており、昨年9月までの一年間で、シドニーで14%、メルボルンで16%、パースで23%となっています。
政府の見通しによれば、年金基金などの投資を賃貸住宅供給に向わせることにより、年8〜9%の利回りを確保できるものとしています。
(2008.2.29)
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