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地盤崩れるリタイア生活
世界同時不況による株価の下落、そして、最近の相次ぐ政策金利の低下(現行は4.25%)により、投資や金利に頼るリタイアメント生活は、根本的な見直しを強いられています。
また、こうした資金的環境の変化による見直しばかりでなく、今の60歳代は一昔前の50歳代といわれているように、ベビーブーム世代のライフスタイルの変化が、早くリタイアして悠々自適な生活を送るというかっての理想像をくつがえし始めています。
このライフスタイルの変化は、健康面での見直しも、その背景にあります。たとえば、55歳でリタイアした人の方が65歳でリタイアした人より、より高い死亡リスクがあるという医学調査結果や、また脳活動の調査では、リタイアしないで働き続けている人の方が、痴呆症にかかる割合が低いという結果があるといいます。
ことにベビーブーム世代は、ジム通いを定着させた世代でもあり、運動、社会活動、何か目的をもって生きるといったことに熱心で、あたらしいライフスタイルを作りだしつつある世代でもあります。
また現実生活面では、リタイアメント世代の二世たちの中には、まだ親と同居しているものが多くなっており、親の世代がリタイア生活に移り切れないといった問題もあります。
オーストラリア統計局の最近のデータでは、45歳以上を対象とした調査で、55歳でリタイアを希望する人の割合は1パーセント、65歳でも9パーセントしかいません。また、過去s3年間で、60歳でのリタイアを計画している人の割合は半減しています。また同3年間で、70歳を越えるまでは働くとする人の割合は8パーセントから24パーセントへと急増し、65歳を越えるまででは三分の二の人が働くとしています。
このように、資金、健康、ライフスタイル、二世世代の親依存といった問題が、従来のリタイアメント生活の基盤を崩し、早期のリタイアを避け、働き続けるという選択が広まりつつあります。
また、オーストラリアでは、職業紹介業が若い世代によって運営されており、リタイア世代の必要や要求を良く理解できていないという実態があり、リタイア世代が独自のネットワーク組織を作り始めてもいます。
高齢者の職業紹介を専門としているエージェントには、求職者が増加しており、ことに、必要に迫られ職種をえらばないというケースも目立つという。
好調な経済に支えられ、楽観的な生活スタイルを形成してきたベビーブーム世代ですが、その膨張した生活を見直し、堅実かつ健康的なライフスタイルに向かいはじめているようです。
(資料出所: 213-14 December 2008, Australian Financial Review 紙)
(2008.12.13)
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