「両生空間」 もくじへ 
 「私共和国」 もくじへ
 HPへ戻る



修行第二十九風景

三年を終えました


  「ボケ防止への第一次プロジェクト」 は、今日をもってひとまず終了の運びとなり、次のプロジェクトに移ることとなります。
 ただ今回の節目は、物理的にも、地理的にも目立った変化を伴っておらず、どこが第二かと言われそうです。
 そうなのですが、非物体的な分野で、それはけっこう違っています。そのひとつが、英語版 「両生空間」 の開始であることは前回の 「空間」 に述べました。
  「修行」 においての新趣向なのですが、これは採りたてて言うほどのことでもない、寿司職人の世界の言わば 「よこせし」 化への対応です。
 と言うより、三年前に、まったく違った分野から飛び込んできた輩には、そう新鮮に映るのも当然といえば当然だったのですが、たとえそれが日本独特の伝統に根ざす寿司の世界のことであるとは言え、この世に存在するものであるかぎり、例の 「神の手」 からは逃れられない、そういう意味では、ありきたりの 「よこせし」 事ごとへの対応です。
 まあ、現象的に、あるいは感情的に強いて言えば、それはあたかも、過去の日本の歴史への復讐劇かのように、日本の伝統のひとつが、隣国、韓国の人達の手によって “蹂躙” されつつある結果のひとつだ、とでも言えそうな表層を持っているのは確かです。
 それを怒ってみることも不可能ではないのですが、むろん、私がそんな日本の伝統を口にできるほど、たとえばこの寿司の世界のベテランであるわけでもなく、まして、オーストラリアにおいてその修行に入った――それがたとえ日本人親方のもとでも――本場も知らぬど田舎育ちといった、場違いかつ己知らずな言い草にすぎません。

 ともあれ、そうして私にとっての寿司職人の世界は、その舞台は今やざら場同然に変じ、寿司職人どころか、経験浅い Sushi−shef の独白程度へと変じつつあります。
 とは言うものの、この深刻度を深める不景気のなかでも、店はともあれ繁盛を続けており、私も望まれて、仕事を続けることができています。しかも、今週からは、週四日しか働かないとのこちらの希望も受け入れてもらいながら。
 かくして、私の第二プロジェクトが始まろうとしています。そしてそれが、 「ボケ防止」 の目的に沿ったものであることはいまだ変わらず、 「少々経験あり」 の身分にはなりながら、このチャレンジを維持してゆく積もりです。
 ところで、私の自転車のメーターは、今日、 「11632」 キロメーターを表示しています。第一次プロジェクトの副産物としてのこのほぼ一万キロの走行距離は、目立たない取り組みではありましたが、私にとっての心身ともの健康の源泉が本当は何であったかを物語るものです。

 (2009年3月7日)

 「両生空間」 もくじへ 
 「私共和国」 もくじへ

 HPへ戻る
                  Copyright(C) Hajime Matsuzaki  この文書、画像の無断使用は厳禁いたします