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<連載> ダブル・フィクションとしての天皇 (第43回)
三月事件」 という未遂クーデタ
「三月事件」 とは、1931年3月に政府転覆の実行が計画されていた未遂クーデタ事件ですが、その関係者の誰もが処罰されることもなく闇から闇に葬られました。そういう謎の事件でありながら、この未遂事件は、その後の未遂では終わらなかった数々のクーデタや謀略事件の “原型” ともなったと見なしうる事件です。
今回の訳読では、この事件についての著者バーガミニの見解の半分の作業しか扱えず、その全貌はまだ見えせん。そうなのですが、バーガミニは 「西園寺の裕仁への警告」
のセクション末に、このクーデタは牧野内大臣の指示により大川周明が計画した謀略であることを明言しています。
牧野と言えば、内大臣として、裕仁の最も身近で重要な助言者です。その彼がそう指示を出しているということは、その謀略に、裕仁が何らの関与もしていなかったとは、とうてい考えられない事件です。
ちなみに、 「内大臣」 とは、広辞苑によるとこう説明されています。
- 天皇の側近に奉仕して皇室、国家の事務について常時輔弼〔補佐〕に当り、御璽〔天皇の官印〕、国璽〔国家の官印〕を尚蔵し、詔書、勅書、その他内廷の文書および請願に関する事務をつかさどった。1945年廃止。
では、いつものように、 「訳読」 にご案内いたします。
(2011年4月7日)
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