干ばつ被害、危機的に

カナナラ

場所によっては三年連続の干ばつのため、オーストラリアの農業は危機的な状況におちいりつつあります。下図が示すように、記録的な干ばつの影響をこうむっている地域は、オーストラリア全土の半分を優に越え、救援を求める農業経営者の割合は44パーセントにものぼっています。

さらに、燃料、肥料、保険料金の値上りや、強含みで推移する豪ドルによる輸出収入の目減りなどが、その打撃をいっそう厳しくし、農業継続を断念する家族や、あげくには、行き詰まった末の自殺者の増加すらもたらしています。


オーストラリアの農業は、政府のとる自由貿易政策により、日本やヨーロッパの農業と比較して、大きく市場の風波にさらされがちです。また、徹底した機械化により、その従事者は少ないとはいえ、農業生産は経済の柱の一つでもあります。そのため、政府は、7月より始まる新年度に、2億5千万ドル(約200億円)の特別枠を計上し、救援にあたろうとしています。

こうした干ばつの影響は、農業地域ばかりではなく、沿岸の都市部でも、上水道用の湖の貯水が警戒水位を大きく切り始めており、各都市での節水が一段と厳しくなっています。

また、こうした水飢饉に備えるため、飲用水確保の緊急の対策が練られ始めており、シドニーやパースでは、水源を海にもとめた海水の淡水化工場の建設が計画にのぼっています。

(2005.05.31) 

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