「ニート」問題、いずこも同じ
日本では、教育も受けず仕事にもついていない、いわゆる「ニート」の若者の数が85万人に達しているとの報道があります。オーストラリアでも、フルタイムの教育あるいは仕事についていない若者が、20万人になっているとの報道があり、一般に「ドロップアウト」問題として捉えられています。

これを対人口比にして比べると、日本の0.7パーセントに対し、オーストラリアの1パーセントとなります。オーストラリアの方がやや大きいですが、オーストラリアの場合、下記のように、パートタイマーもカウントに含まれていますから、それだけ大きくでていることはありえます。つまり、規模の面では、ほぼ同じほどなのかも知れません。

オーストラリアのある機関の調査(2003年)によると、Year 11 の年齢、つまり、日本の中学卒業後、六ヶ月たった時点で、シニア・ハイスクール(高校)にもゆかず、フルタイムの就職もしなかった人の割合が、同年齢のうちの36パーセントとなっています。

ちなみに、その内訳は、パートタイマーが16.8パーセント、失業が10.1パーセント、無業が9.1パーセントです。

オーストラリアでは現在、順調な経済成長により、1970年代末以来の低失業率(5.1パーセント)を示し、労働人口が不足気味で、退職年齢遅延の奨励や、こうした20パーセント近い無業の若者の就業による、労働市場への参加率を高める政策が要望されています。

そうした政策のひとつで、連邦政府の資金により、2003年から実施されてきている制度で、「(進路)選択助言者」とよばれるアドバイザーは、全国で問題のより深刻な地域の109の中学に派遣され、教師の話や本人の適正を判断、就職試験や実業学校入学の手配、あるいは各種職業の見習い職への就業などの手助けを行っています。

最近は、ある特定の好況産業での技能職者の不足が深刻で、こうした無業、あるいは固定職を持たない若者に、これらの人手不足職種への就業を促進する教育や訓練が、今後、いっそう重点的に実施されてゆくものと思われます。

(2005.3.23)

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