来年夏の洞爺湖サミットに向けて、その目玉を環境問題に定めて、環境対策先進国としての役割を強調している日本ですが、オーストラリアの現政府は、5月31日、政府の設置した特別検討チームの報告を受け、地球温暖化対策ことに二酸化炭素排出規制には、性急な対応は避け、ゆっくりとした取り組みを選択してゆくものと見られます。
現ハワード政権は、オーストラリアが世界最大の石炭輸出国という経済的理由から、二酸化炭素排出制限への取り組みには、極めて保守的な姿勢をみせており、京都議定書でも、削減ではなく増加を認めさせ、その批准も、米国と並び、拒否しています。
今回の特別検討チームの設置も、深刻な旱魃で、国民生活にも極めて大きな影響があり、世論の関心も高まっている一方、二酸化炭素排出制限への取り組みを明快にしない政府に、産業側からも、その投資判断を遅らせ、リスクをおよぼすとして、圧力がかかっていたからのものです。
すでに、オーストラリア多くの主要都市では、降雨による飲料水の確保が需要を満たさないことが確実との見通しから、海水の淡水化プラントの建設によりその不足分を補おうとの対策が実行に移されています。
一方、年末の総選挙に向け、野党の労働党は、2050年までの二酸化炭素の60パーセント削減という目標を明らかにし、与党との違いを明らかにしています。
水不足から、農業生産の減産もあいついでおり、農産品の値上がりも始まっています。じわじわと足元に忍び寄ってきている問題がありながら、様子見をしようとする現政府の取り組みが、今後どのような結果となって跳ね返ってくるのか、その行方が注目されています。
(2007.6.1)
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