初の女性首相のBFは “髪結い”
今回の記事は少々週刊誌的です。日本に「髪結いの亭主」という言葉があります。ろくでなしの亭主の妻が髪結い、今でならヘアードレッサーで、収入はもっぱら彼女に頼っているというダメ男の話です。

今回、初の女性首相となったジュリア・ジラード氏(48)は、未婚、子無しで、女性として、まして一国の首相としては異例の人物で、野党自由・国民連合に、女性で未婚しかも子供も産んだことのない人に国民の生活が分るのかといった、ほとんど差別ともいえる批判を言わせた人物です。その線にならって日本流に言えば、ダメ女首相ということにもなります。

報道によれば、2006年以来、ヘアードレッサーをしているボーイフレンドがいて、彼には娘さんもいます(写真参照)。

6月23日、労働党の内紛からケビン当時首相が降ろされ、副首相であった彼女が新首相に昇格しました。個人生活の面で言えば、日本の政界では絶対あり得ない人選と言えそうですが、こういうことがおこるのがオーストラリアでもあります。

ともあれ、彼女は労働者階級出身の、大多数の国民の意思を代表できるに足る、第一級の女性政治家と見られており、今回の選出も、女性であるからがゆえではなく、そのトップクラスの人材がただ女性であったというだけのことのようです。

ただ彼女は、選挙を率いてそれに勝ったがゆえの首相ではないので、来る8末月とも予想されている次回総選挙の結果が注目されます。労働党内では、前ケビン首相の人気の急落により選挙敗北確実と判断され、それが今回の交代劇の背景でした。選挙の洗礼を受けて、正真正銘の女性首相の誕生となるか、今、オーストラリアの政界は予断を許さないながら、新規な雰囲気が漂う状況となっています。

蛇足ながら、オーストラリアに住んでいて興味深いことのひとつは、住民が税金というそれだけのチケット代を取られて鑑賞できる政治家たちの演ずるドラマの迫力です。今回の首相交代劇も、女だてらに海千山千の男どもが牛耳る政界をことのみごとにひっくり返した、ジャンヌダルクならぬジラード革命のごとき面白さがあります。彼女はそのドラマの成功が生きている内に、鮮やかに逆転した人気をてこに早期の選挙戦に打って出る気配です。労働党現政府の完敗が予想されていた次回総選挙ですが、このままで行けは、彼女の革命は成功となりそうです。

   
     写真中央がジュリア・ジラード新首相、右がボーイフレンド、その右が彼の娘

  写真出所:28 June 2010, Australian Financial Review

(2010.6.28)

 
 政治・経済 もくじへ
 HPへ戻る

HPへ戻る