何も決まらぬ選挙結果
去る8月21日に実施された総選挙は、以来十日が過ぎた31日に至っても、投票結果は全くの互角で、時期政権の行方すら決まっていません。

オーストラリアの選挙制度は特殊で、その投票の際、有権者は投票用紙に挙げられている候補者全員に、自分の支持する程度に応じて順番をつけて投票します。これは優先順位投票と呼ばれているものです。これは、もし、第一位投票だけの集計で過半数の獲得者が出なかった場合、再度集計を行い、最下位の候補者の獲得票数を、その優先順に応じて振り分けて第一位投票数に加算します。これを過半数獲得者が出るまで、次の下位の投票数の分配と続けます。

30日現在、与党労働党のと野党自由・国民連合のこの分配集計の結果(集計80.55パーセント終了)の獲得票数は、割合にして49.99対50.01パーセントと、全くの互角となっています。確定当選者の数でも、双方、73人対73人となっており、勝敗はついていません。

従って、政権の行方は、与野党双方の、4人の無所属当選者の獲得合戦にかかっているのですが、その交渉が、その4人と与野党との間だけではなく、公表されているだけでも、各産業団体、各労働組合などなどに及んで複雑化し、そうは簡単に決着のみられそうもない事態となってきています。

4人の無所属当選者も、いずれどちらかに決めることをにおわす者から、あくまでも無所属を維持するとする者もいます。

いずれにせよ、もはやオーストラリアの政治的行方は、この4人の腹一つにかかってきており、いうなれば、この4人が政府を動かす事態とも言え、国の政策が意外にマイナーな観点で決まってしまう可能性もあります。

ちなみに、その獲得交渉の際、各無所属当選者が表明している「要求リスト」には、自分の選挙区の公立病院への連邦政府からの資金投入などもあり、公正の観点から疑問視される項目も見られます。しかし、政権獲得のためには、それをも飲むこともありえる事態です。

今回の選挙結果は、もちろん、投票集計上の偶然の成すものですが、それが結果的に意味するものは、完璧な二大政党制への幻滅や拒否の現れとも見ることもできます。

 (2010.8.31)

 
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