オーストラリアはいま資源開発をめぐり世界からの投資が流入していますが、日本のINPEX(国際石油開発)とフランスの石油会社TOTALが子会社をつうじて共同所有するオーストラリア北西部海域のイクシス・プロジェクトが、西オーストラリア政府と北部準州政府との間での誘致競争にまきこまれ、その行方が注目されています。
この120憶豪ドル(1.2兆円)液化天然ガス(LNG)プロジェクトをめぐり、先週、北部準州の首相、ポール・ヘンダーソンは、抜き打ち選挙を8月9日に実施することを発表し、しかも、その選挙の争点を、このイクシス・プロジェクトの地上基地を、自州首都ダーウィンに誘致すること開発企業に保障することとしたものです。
下の地図が示すように、このイクシス鉱区は西オーストラリア州の海域に位置し、これまで、同州内に地上基地を置く前提で開発が検討されてきています。ただ、その基地の候補であるマレット島は、アボリジニーの遺跡や貴重な海洋生物の存在でも知られ、その開発と環境保護をめぐって、それぞれの立場の代表者からなる検討委員会による具体的建設地点選定の決定がまたれており、この決定は9月中にはなされる予定です。
この抜き打ち選挙に勝利すれば、即座の着工とこの先長期にわたる政治的保障を提供できるというのがヘンダーソン首相の言い分ですが、開発企業にすれば、その地上基地はダーウィンの既設の施設を活用するもので、西オーストラリア案に比較して、はるかに長い海底パイプラインを敷設しなければなりません。
もしこの誘致に成功すれば、北部準州にとっては、4000人分の職と5兆円の経済的波及効果をもたらすと見積もられています。
西オーストラリア州と北部準州の間の綱引きは、果たしてどちらの勝利に終わるのか、その行方が注目されています。
資料出所:Australian Financial Review, 26-27 July 2008 とINPEX社ウエブサイト。
(2008.7.28)
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