豪炭鉱、採算性が危機的に
オーストラリアの多くの石炭鉱山が、産品価格低下、豪ドル高、ロイヤルティー料金高、炭素税そして労働コスト高により、採算割れの危機に面しています。
豪州炭鉱協会(ACA)の調査によれば、コークス用石炭鉱山の20パーセント以上が採算割れとなっており、52パーセントが現在の産品価格ではトン当たり10ドル以下の利幅となっています。
4月のコークス用石炭の平均価格は、159.40米ドル/トン、燃料用石炭は同87.33米ドル/トンとなっており、オーストラリアでは、標準的な利益水準と見られる15パーセントの利幅に達しているのは、わずか3カ所のコークス用石炭鉱山のみです。
日韓企業がNSW州政府に懸念を表明
こうした状況下、ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州土地・環境裁判所が4月、資源メジャーのリオ・ティントと共に日韓4社(三菱商事、三菱ディベロップメント、新日鉄住友、韓国鉄鋼大手ポスコ)が共同事業として推進するハンターバレーのワークワース炭鉱の拡張計画を却下したことで、同4社が同州首相宛てに、公開書簡を送り、同州の石炭産業政策に対する懸念を表しました。
同4社は、この書簡の中でこう述べています。
- 我々は、すでに同州政府による認可がおりていた同拡張計画を同裁判所がくつがえしたことに、警戒を抱いて注目している。この決定は同州の石炭産業の将来をリスクにさらす、危険な前例となるものである。それは、既存および新たなプロジェクトの継続に必要な許可を得る手続きに大きな不確実性をもたらす。同決定は世界中の資源企業から注目されている。同州政府が州の計画システムに確実性を回復させるのは必至である。我々は、この州に、雇用を作り出し、将来への経済的繁栄をもたらすために、同州内閣メンバーに喜んで協力する所存である。
AFR紙によると、この1月−3月四半期、オーストラリアの燃料用石炭の輸出は、前年比で13パーセント増加した。炭鉱企業は、固定費としてのインフラ費や高い操業閉鎖費用のため、生産を停止することに困難を見出しており、小さな損失程度であるなら、操業を続けることの方が経済的には意味がある。従って、
「こうした厳しい市場状況では、管理事務所の統合、プロジェクトの遅れ、資産の売却、低生産部門の整理などに取り組む努力が、コストを下げ、柔軟度を上げるために不可欠」
と、業界分析家は指摘しています。
資料出所: 20 May 2013, Australian Financial Review.
(2013.5.20)
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