地球をタテに旅すること
地球をタテに移動することの利点は、なんといっても時差に悩まされることがないこと。体の無理のきかなくなったご同輩、この地球的現実の効果は、想像以上に大きいものがありますぞ。

日豪間の時差は、プラスマイナス一時間(夏時間記では二時間)で、たとえ頻繁に移動したとしても、時計を合わせる手間をのぞけば、まず大変さは感じられません。

ただ、その代わりに季節の逆転に遭遇せねばなりません。ですが、これは、好きでない季節をかわすためにも使えるので、いちがいにデメリットとはいえません。

また、日本、すなわち北半球から赤道をこえて南半球に移動することは、別の記事にも書きましたように、この先ますます深刻化が予想される、工業化するアジア地域の大気の汚染から、決定的にのがれられることをも意味します。
 
文字通り「世界の大工場」となりつつある中国を、止むことのない偏西風の風上におく日本は、これからますます、流れてくるその汚れた大気の洗礼から逃れられないことを意味します。くわえて中国は、これからモータライゼーションの時代を迎えます。
 
オーストラリアにも偏西風はありますが、さいわい、その風上はアフリカまでインド洋があるばかりです。豪州大陸の東岸に位置するシドニーでも、その西に横たわるのは農地か山地かあるいは広大な砂漠地帯のみで、顕著な汚染源は見当たりません。
 
すなわち、日本を後にしてタテに旅することは、汚れた空気から逃れられる移動でもあるのです。地球に偏在する汚染を実感する経験です。
 
ただし、そこにも汚染はあります。オーストラリアでは、ことに夏はブッシュファイアー(森林火災)がつき物で、たとえ火災からは免れられても、煙害をこうむることことはままあります。
(2003.10.31)

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