INPEX (国際石油開発帝石) がフランスのTOTAL社と共同で開発に取り組んでいるイクシスLNGプロジェクトについて、INPEXは26日、その地上基地を北部準州 (NT) のダーウィンに建設すると発表しました。
これにより、西オーストラリア政府と北部準州政府とが、その建設誘致をめぐって綱引きを続けてきた問題は、北部準州の勝利となり、この誘致を公約に掲げて繰り上げ選挙を戦った同州のポール・ヘンダーソン州首相
(労働党) は、みごとその約束を果たすこととなり、オーストラリアにおける過去最大のプロジェクトが、同州を中心に動き始めることとなりました。
当初の計画では、西オーストラリア州キンバリーの島を地上基地の候補地としていましたが、この決定により、イクシス海底ガス田からダーウィンまでの850キロの海底パイプラインの敷設が必要となります。
26日の発表では、こうした変更や資材の値上がりや環境対策費用の増加により、その投資総額は、当初の60億米ドルから200億米ドル(240億豪ドル、2兆1000億円)へと跳ね上がります。
INPEXのスポークスマンによると、二つの候補地間の建設費用の違いは 「無視しうるほど」 としています。また、この勝利の要因は、NTの認可手続き、土地保有の確実性、政府の支援、INPEX側の時間的に厳しい計画枠に応えられる実情、があったとしています。
またヘンダーソン州首相は、「この決定は、同州の経済の将来を、今後数十年にわたり、明るくすることに貢献する」、と語っています。
計画によると、その建設は2010年に始まり、2014年よりLNGの積み出しが始まり、その段階では、オーストラリアのLNG輸出の50パーセントをしめることとなります。なお、今回の発表は最終的決定によるものでなく、今後一年かけて、その決定を行うとしています。
ダーウィンといえば、真珠湾攻撃からわずが2ヶ月後の1942年2月、日本軍による大規模な空襲が行われた地で、オーストラリアを戦争の恐怖におとしいれました。その空襲には、真珠湾の2倍の量の爆弾が投下されたといいます。町の中心部の公園には、その記念碑が建てられています。それから60年以上が過ぎたとはいえ、日本をめぐるこの明暗は、日豪関係の歴史の多彩さ、一見ほど単純ではない側面を物語っています。
(2008.9.28)
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