“日本嫌い”の日本人が急増?
この新年をきっかけに、どうしたことか、日本から海外への「脱出」希望者が、にわかに増加しているかのように感じられます。当サイトへのヒット数も、今年に入って、目だった増加があります。
ひとによって理由はいろいろでしょうが、自然災害の増加や、ますますささくれ立ちの目立つ世相、年金削減や増税の動きなどが、こうした「急増」の要因なのでしょうか。
このサイトでは、オーストラリアへの移住やロングステイを希望される皆様に、現地からの情報を提供することをおもな目的としています。そうした観点から、今回はことに、若い人向けの話題を提供したいと思います。
前回の記事( オーストラリアって、こんな国ですよ や 当たり前な社会 )でもお知らせしましたように、オーストラリアはこの十年ほどで、大きく変化してきています。
オーストラリアはもともと、国民間の平等や公平を強く追求してきた国ですが、近年の変化を一言でいうと、「結果平等」から「機会平等」に、変わってきたと言えます。少なくとも、国の政策レベルでは、そうした方向にむかっています。もちろん、文字通りの
《全国民》 参加の選挙 (オーストラリアの投票率は「100%」参照) で選ばれた政府がそうした舵取りをしています。
つまり、これまでは、国の政策の重点として、生活水準の向上とともに、社会福祉制度の充実を通じて、その平等を保障することを基本としてきました。それを、この十年ほどで、弱者向けには、最低水準保障はセイフティーネットとして維持はするものの、「オーディナリーな」 (普通の) 国民向けには、あまなく機会を与えることを主眼とし、その結果は、いわゆる「個人責任」に帰される社会と変わってきて (少なくとも、その方向にむかって) います。
そうした結果、たしかに、人々が自分の可能性の開拓のために、以前よりははるかに活発に、政府や社会に頼らずに自分で活動を始めているように見受けられます
(そのぶん、かっての「旧き良きオーストラリア」が遠のき、世知辛い世相になってきている傾向もあります)。
ことに若い世代には、いっそう、“自活自頼”の原理は広がっているようで、この十数年の経済の順調な成長の影響もあって、これまでとはあきらかに区別される、若い「新興ミドルクラス」の形成がみられます。
こうした状況を、オーストラリア行きをねらっている日本の若い人たち向けに「翻訳」してみると、ある程度の英語力と一定のスキル(専門職能)を条件として、オーストラリアでは、現在の日本では考えられないような、意外な機会が存在している可能性があるといえるでしょう。
そうした機会を提供しているのは、持続する力強い経済の成長です。いくつかのセクターでは、拡大を支える労働力の不足が発生しており、経済成長のボトルネックとして、大きな問題となっています。たとえば、鉱山技師、建設関係技師・職人、会計士、長距離トラック運転手、ひいてはヘアドレッサーなど、いろんな職種で、人手不足となっています。これらを一言でいえば、外国へ外注化できない地場産業の職種です。他方、そうした外注化がしやすい、たとえばコンピューター関係などの業種では人材は供給過剰気味です。
そのため、緊急を要するセクターでは、まずは、英語圏の外国からの人材の調達をはかっており、アジア諸国にも範囲を広げている職種もあります。
(2005.2.12)
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