西オーストラリア州選挙、労働党が政権維持
前号で、「将来、パース住民は、北から遠路はるばるの、それとも、面するインド洋からの、いずれの水を飲むことになるのか」(3700キロの上水用運河計画 参照)、とお伝えした西オーストラリア州の議会選挙は、2月26日の投票の結果、労働党政府が単独過半数を獲得し、政権を維持しました。

         
           【勝利を喜ぶギャロップ労働党政府首相(ABCサイトより)】

こうして、野党自由党の選挙公約の「3700キロの運河計画」は、ひとまず政治公約の世界から消えることとなり、将来のパース市民の水源は、インド洋に頼ることとなりそうです。

労働党政府の勝因の最大のものは、何といっても、州の経済の好調さです。過去一年の成長率は7.5パーセントにも達し、オーストラリアでトップの成果を誇っています(ブーム続く西オーストラリア経済 参照)。

クィーンズランドも含め、こうした高成長中の州は、それに伴うインフラストラクチャーの整備がそれに追いつかず、成長のボトルネックとなりはじめており、道路の渋滞や鉄道輸送力不足、そして電力供給不足による停電の発生など、様々な面で、問題を生じさせ始めています(クイーンズランド、人口増でインフラ整備が緊急課題 参照)。

政権二期目をむかえた労働党政府にとって、こうした経済成長を維持するための政策は、その最大の課題となっています。

公約である海水淡水化プラントの建設をはじめ、不足気味の現状に加え、このプラントに要するエネルギーを提供する新たな発電所の建設も必要です。

さらに、政府の新期政策の最重点分野は、こうした経済成長を支える人、つまり労働力の開発で、勝利宣言をしたギャロップ首相は、そのための教育と職業訓練の拡大を公約しました。

こうした結果を、本サイトの読者のために翻訳してみると、これからオーストラリア行きを目指そうとする人にとって、ことに西オーストラリア州は、相対的ですが、仕事の機会も多く、また、教育や技術訓練の面でも、有利な面があると言えるかもしれません。

そうした政策の具体的内容はまだ公表されていませんが、当サイトでは、それを追ってお知らせしてゆきます。また、西オーストラリア行きを計画している方は、あらかじめ、そうした面もチェックされることをおすすめします。

現在、オーストラリアでは、連邦政府は自由・国民連立政府、各州政府はその全部が労働党政府となっており、みごとな“ねじれ現象”を示しています。

先にもお伝えしたように(与党連合の大きな勝利:10・9総選挙結果 参照)、昨年10月の連邦議会選挙では、自由・国民連立政府が四選を獲得し、その勢いが州議会選挙にもおよぶのではないかと注目されてきました。今回の西オーストラリアでの労働党政府の政権維持は、そうした見方を、ひとまずくつがえすものとなりました。


また、同選挙といっしょに実施された、パース首都圏の小売業の営業時間の延長(月〜金午後9時まで)や日曜開店(6時間開店)の是非を問うた州民投票は、賛成が四割ほどで、否決されました。

政府は、ことに旅行者に便宜をはかることも一つのねらいでこの住民投票を実施しましたが、デパートやスーパーなどの大規模小売り業者や、労働時間が増えて勉強の時間が削られるとする学生などの反対をかっていました。

昨年10月の連邦選挙も含め、どうやらオージーは、変化を好まず、現状維持派になったもようです。

(2005.2.27)

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