失職知事が再選出される要因となったという若者票は、それを動員させたネット運動の持つ長所短所はあれ、新たな民主主義の萌芽であるのは確かと思う。兵庫の場合、その投票結果と権力乱用は別問題で、再選知事は、再度、その問題の審判にさらされよう。若者票の登場に危なさはあれ、長年、死に票となってきたことよりは、はるかにましである。投票すれば事態が変わる、その実感こそ大事で、それがこうして実感されつつあるのを、今、私たちは目撃しているのだと思う。
11月
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トランプが再選された。自分がアメリカ人なら、彼には投票しなかったろうが、今のアメリカや世界には、どちらでもない、別なアメリカが必要に思う。4年後の次の大統領選挙に、第三の選択が出現してほしいと、期待を抱く。
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10月
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[caption id="attachment_27396" align="aligncenter" width="200"] 咲き始めたジャカランダ。奥の白い屋根はオペラハウス。[/caption]
毎年のことなのだが、今年もジャカランダの季節がやってきて、私のオーストラリア上陸記念日を教えてくれる。40年前の10月26日、私はこの地に足を下ろした。この先どういうことになるのかと、不安に駆られていた38歳だった。それからはや、40年!!
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ペットとするのか、そうでなければ仇敵とするのか、黒白明瞭な、そんなどちらかにしないと落ち着かないのだろうか。ほんとは、その間に無数の濃淡のある、幅広いグラデーションのどこかなのだろうに。
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09月
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本号をもって、この『両生歩き』は、500号に達しました。この機会に、発行者より、読者のみなさまへの心からの感謝を申し上げます。さらに1000号到達のご挨拶ができるかどうか予想はできませんが、それも含め、今後末永く、読者のみなさまのご健勝をお祈りいたします。
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日本の世界的登山家が、パキスタンのヒマラヤであいついで遭難死している。7月27日、平出和也さんと中島健郎さんのふたりがK2で遭難した。二人がその南壁を初登攀したというラカポシ峰は、その麓から見上げた体験がある。まさに眼前にそそり立つ高度差六千メートルの氷壁だった。
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08月
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人生二周目の18年目に入った。二周目ということは、ある意味で、人生のやり直しであり、二度目のチャンスである。誰にだって、初めての一度目は、あれこれ失敗がある。だが、二度目なら、同じ失敗は繰り返さないだろう。その失敗の最大級のものは、二度目はないと思って、一周目で自分の健康資源を使い切ってしまうこと。幸い、残せていたそれがあったので、ここまで来れている。
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メダル獲得数に限らず、近年の日本人アスリートの世界的活躍の水準には胸がすく。スポーツ界はその結果が見えやすいが、きっと、ほかの分野でもそうであるにちがいない。日本の経済力は下り坂だが、人間力はみごとに登り坂。それに比べ、金に固執し、醜態までさらす政治家たちは、まったく流れが判っていない。こうした国民の自力の成長を、一ミリでも見習える能力を持っているのだろうか。
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07月
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「故郷は遠きにありて思うもの」とはいえ、近年の夏の酷暑は、その地を本当に「遠き」にさせている。久々に訪ねたいと思い立っても、伝えられるその酷さに加え、オーバーツアリズムとも聞かされれば、思わずひるまされてしまう。年齢も作用しているが、勝手に抱いている侵害感もブレーキとなっていなくもない。
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それにしても、81歳の老人があれほどの無様さを露呈してでも継続にしがみつくというのは、一体、何を意味しているのだろう。どっちの党にせよ、いいジジイ(片やと私は同い年)が舞台にのさばるほど、人材欠乏どころか、大国の政治がそこまで病んでいる。“陰謀論”視されるのはどうでもよいが、あえてこの醜態が表面を覆いながら、世界の内実はどこに持ってゆかれようとしているのだろうか、と心底思う。
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ごちゃごちゃ言われているが、「新風」にそれだけの集票力があることは証明された。ゆえに次は、この集票力を別の選挙に適用すること。仮にそうして掘り起こせる票数を〈実現資源〉と呼ぶとすると、その選挙では、そうして確保した〈実現資源〉をその議会でどう使うか、その配分や集中を、ネットを通じて直接決める。要するに、票を一票も眠らさないために、その〈資源〉をどう無駄なく〈実現〉に使うのかとの、実にクールでテクニカルな問題。そして政治家とは、その実現のために働く文字通りの公僕。
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世界中で、選挙が既存の軌道から外れ出している。無理もない、既存の政党や組織が、もはや現状に対応しきれておらず、もう足を引っ張る存在にしか見えない。明日は東京都知事選挙日だが、そういう旧来を踏襲するか、未知だが新風を選ぶか、面白い選挙になっている。投票権のない外野席の観客だが、私が都民だったら、今回は、広島から乗り込んできている新風を選ぶだろう。
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06月
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冬のシドニーのお祭り「VividSydney」
[caption id="attachment_26402" align="alignnone" width="200"] オペラハウスへのライトショー[/caption] [caption id="attachment_26400" align="alignnone" width="200"] ハーバーブリッジの下をゆく植民地時代の帆船エンデバー号のレプリカ[/caption] -
[caption id="attachment_26356" align="alignleft" width="200"] 秋の街路樹[/caption]
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05月
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引っ越したマンションは築5年で最新設備が整っている。その一つが消防署に連動した自動火災報知システムなのだが、ほとんど毎週のように作動して、けたたましくブザーを鳴らし、緊急避難の館内放送をする。こうなると「狼少年の話」同然、もう、誰もその警告に従わない。ただ、毎回、律儀に消防車が飛んできて、その作動を止めてくれて、騒ぎは収まる。この敏感過ぎる警報と消防のいたちごっこは、本当の火災への出動よりは遥かにましな彼らの仕事となっている。もちろんそのために、家主は、合計月5万円ほどの地方税と管理費を収めている。
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04月
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素足生活をして、足の裏の感覚を取り戻そうとしている。それにしても、その感覚が鈍ったのは、西洋住宅で、屋内でも履物をはいたままの生活をしてきたからなのか、それとも、加齢による神経関係の障害のためなのか。いま、その想定される二つの原因のうち、前者を素足生活にして消して、後者からの探究をしている。さて、結果は?
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引っ越し騒動もひと段落、新たな住環境が新鮮である。だが、まだそれにフルに馴染めないぎこちなさもその新鮮さの反面。ともあれ、毎日をそうした中で過ごし始めていて、しだいに日常ルーチンが戻りつつはあるのだが、以前の心的のリズムがなかなか再稼働してくれない。住居というイレモノが変わることは、その中身も以前のままとはゆかないようだ。
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03月
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明日で引っ越し後一週間。こうした引っ越し時に特に活躍してくれるものがある。日本から持参してきている大工道具である。古いものはもう50年にもなる。壊れた家具の修繕やら、ちょっとした物作りに重宝する。ことにノコギリは、西洋式のものは使い物にならない。押して切るため、歯が厚く、切れ味も最悪。その点、日本のものは、引いて切るため歯が薄く、切れ味も鋭い。以前、オージーの大工が日本の道具を知って驚いていた。ことにノコギリは、まるでバターを切るみたいに容易だと感動していた。
[caption id="attachment_25629" align="aligncenter" width="200"] もう50年もの付合いのノコ[/caption] -
只今、引っ越し中。移動の距離は2キロにもならないが、生活のリセットという面は同じ。ダウンサイジングもあり、これまでの引っ越しとは様相を異にしている。第一、それをやり切る体力、気力はもうギリギリ。今日が引っ越し当日で、いわば峠。これまでの登り作業から、明日以降から、下り作業となる。縮小は物理空間だけにしたいが、果たして、メタ空間はどれだけ維持できるか。
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02月
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来月に引っ越しをする。そのため、荷物ことに本の整理が必要なのだが、いわゆる断捨離とやらが難しい。一定期間、放置していたか否かで線引きせよという。だが、十年以上も放っておいた本を、ふと思いついて開いた際、今がその読み時だったかの発見をすることがある。そういった旬は、単に棚ざらし期間の長短では計れないから容易でない。
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28年昔の1996年、PhD学位と永住権をほぼ同時に取得した時、知人の元教授は、「次はオーストラリアの市民権だね」と当然視したように言った。彼が指導していたインド出身の学生が直前にそうしたからのようだった。私の周囲でも、移住はしても国籍は変えない日本人が多い。そうした傾向に焦点をあてた連載記事〈半分外人-日本人〉が、22日号より始まる。
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新年早々の地震被害の生々しい状況が、ひと月たった今でさえ、新たなニュースとなっている。それほどに、今度の地震被害は、能登という一種の僻地での被害の特殊性を含め、その悲惨さを改めて伝えてきている。当地オーストラリアという、まるで対岸から火事場を見ているような立ち位置ながら、2011年の3.11東北大震災の後に書いた私の記事〈「自然災害」 という人間啓発〉の思いを新たにしている。
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01月
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)の無人探査機「SLIM(スリム)」の誤差100メートル以内のピンポイント月面着陸は、なんと55メートルであったという。そして坂井プロジェクトマネージャは、その画像を見た時「腰を抜かしそうだった」と目をキラキラさせて語っている。これは私の身びいき見解だが、日本の宇宙開発の、こうしたいかにもその道好きが夢を追っているような在り方に好感を抱く。他国のような、軍事組織と裏腹の物量作戦とは、一線も二線も画されている制約を克服しての達成だ。
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)の無人探査機「SLIM(スリム)」が月面着陸に成功したようだ。ピンポイント着陸となっているのかどうか、あるいは、太陽電池電力が発生していないなど、送られてきているデータを現在分析中のようで、今後の発表がまたれる。ともあれ、着陸成功、おめでとう。
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今年は、昭和で言うと99年だという。その昭和21年生まれの私は、ならば、その8割を占める濃厚な昭和人間ということになる。その私が若いころ、明治生まれの人には、どこか明治気質とでも言える独特な雰囲気を感じたものだ。それと同じようなものを、私は漂わせているのだろうか。だとすると、、、、
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