《宇宙への風穴》:生物学編

〈連載「訳読‐2」解説〉グローバル・フィクション(その4)

私がこの連載「訳読―2」(今回より{訳読―2b)を含む)において、ブラッド・オルセンの「東西融合〈涅槃〉思想」シリーズの訳読に精を出している理由のひとつが、私たちの存在の根源が、タイトルのように、《宇宙への風穴》をもっていることにあります。ことに私はそれを、「逆算のカウントダウン世代」の一人として、別掲のような『「通過点としての《し》」宣言』という観点からも、自分の永遠の旅立ちにからめてそれをえて考えています。

その4回目である今回は、その《風穴》を、生物学の観点、とくに生命の発生にかかわる遺伝学の分野からみてゆきたいと思います。

そこで取り上げるのは、同著者の「東西融合〈涅槃〉思想」シリーズの第二冊目である『現代の「東西融合〈涅槃〉思想」』のうちの「DNAミステリー」です。

前回では「フリー・エネルギー」に焦点をあて、宇宙の無尽蔵なエネルギーを利用できる可能性を見ました。言い換えれば、その視野は、私のような「冥土への土産」としての関心どころか、現役あるいは若者世代の、将来社会への新たな方向にまつわる視野でさえあったわけです。

そしてそうした視野とは、この連載解説の副題である「グローバル・フィクション」として、今日のこの世界が、いかに虚構にみちた嘘八百な世界であるかという、これまた同時代的視野にもつながっているものでもあります。

今回訳読する「DNAミステリー」の章は、そのタイトルの通り、DNAの由来をさぐるものです。いわば、今日の分子生物学のまさに先端分野での議論への踏み込みです。

そしてそうであるだけに、その議論は専門分野の詳細にかかわっていて、そうした分野の素人である私などには、一方では「猫に小判」、他方では、なんとか頑張ってみても「木を見て森を見ず」になりかねない世界でもあります。

そうした知識のジャングルに踏み込み、訳読をすすめているわけですが、その際に自分で理解するに必要となった背後での基礎知識について、必要最小限に、訳読の本文に〔訳注〕としてそのコメントを入れてあります。

それを読まれる読者にとっては、確かに、細々と挿入されたそうした訳注は“目ざわり”なところも少なくないかと思います。

それほどに、今回の議論は詳細に専門領域に踏み込んでいる内容です。しかし、そうであるだけに、その理解の一つひとつは、そうした《宇宙への風穴》が、単なる個人の思い込みや学問的仮説の域をこえた、科学的真理にせまる議論の一歩々々となっています。むろん周知化されるまでには、今後、“五万の”議論が必要ですが。

ことに今回の訳読のハイライトは、人間の進化において、その進化がどのように起ってきているかの証拠をあげる上で、DNAの働きが人類の進化の鍵をにぎる突然変異にどうかかわり、それが宇宙に開かれた「窓」となっている状態が観測されています。

それでは、その「DNAミステリー」――今回はその前半となりますが――にご案内いたします。

 

 

 

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